先に述べているように、MWCではFirefox OSを擁するMozilla陣営の動きが活発だった。25ドルという低価格なスマートフォンを発表する一方で、ZTEやLGエレクトロニクス、Huawei、TCLといったメーカーは、以前よりもスペックの高い機種を開発、発表している。ZTEはデュアルコアCPUを備えた「Open C」を投入、TCLも「Fire C」「Fire E」「Fire S」「Fire 7」で、Firefox OS搭載モデルを4機種に拡大する。
より安価な端末と、より機能の高い端末にFirefox OSを広げる一方で、MozillaはMWCに合わせ、日本のコンテンツプロバイダーとの取り組みも発表している。プレスイベントには楽天やリクルートの関係者も参加しており、HTML5で作られたアプリをアピールしていた。すでにLINEも対応しており、今後も徐々にアプリが増えていくことが期待できる。
一方で、2013年のMWCで同じ“第3のOS”として注目を集めたTizenは、いまだにスマートフォンの分野では商用機を発売できていない。MWCにはTizen Associationがブースを出展していたが、ここにはSamsung電子とZTEの端末が置かれているのみだった。Samsung電子といういちメーカーが主導しているという点が、参加するメーカーを広げる際のネックになっているという声もあるだけに、今後もスマートフォンが増えていくかは不透明だ。この点ではFirefox OSと明暗が分かれた印象を受ける。
こうした中、Tizenはスマートフォン以外の組み込みに近い用途に活路を見出しつつある。2013年、韓国で発表された「NX300M」は、OSにTizenを採用しており、Wi-Fiなどでほかの端末と接続できる。また、Samsung電子がMWCに合わせて発表したGear 2やGear NeoのOSも、Tizenになった。同社の関係者によると、スマートウォッチにあえてGoogleが主導権を握るAndoridを採用することのメリットは薄いといい、開発の自由度が高いTizenの搭載に至ったようだ。
低価格向け端末のプラットフォームとして徐々に存在感を増すFirefox OSに対し、スマートウォッチやカメラに活路を見出すTizen。第3のOSとして注目を集めた2013年のMWCから1年経ち、それぞれが別の道を歩み始めようとしているようだ。
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