「日本Androidの会」でMVNOとSIMビジネスと日本メーカーとキャリアの将来を考えたそこまでいっていいんですか(2/3 ページ)

» 2014年03月22日 19時47分 公開
[長浜和也,ITmedia]

海外でできて日本でできない理由とは

 石川氏は、数多くの海外取材における経験から、まだまだ規模が小さい日本と比べて、普及が進んでいる海外のSIMとMVNOビジネスの実例も紹介した。それによると、米国ラスベガスでは自動販売機でプリペイドスマートフォンが購入でき、スペインでは、キャリアショップでMVNO取扱いのSIMを販売していて、追加チャージも可能など、キャリアのビジネスにおいても重要になっている。上海では訪れる日本人を優遇するプランを用意したSIM販売を行っているという。

 海外では、韓国など本人認証が厳しい一部の国を除いて契約手続きも簡単で、石川氏が経験した事例でも米国でiPadのプリペイドプランが設定画面から簡単にできたり、ドイツのT-MobileでWebページからプラン契約がすぐにできたりする。また、オリンピックに合わせて訪問したロシアでは、現地キャリアのMegafonが、2014ルーブルでLTEを容量無制限で使えるスマートフォン向け特別SIMを用意していて、街のどこでも購入できたそうだ。

ロシアでは2014ルーブルでLTE使い放題のSIMが購入できた

 その上で石川氏は、日本におけるMVNOの問題点は、キャリアが現在行っているキャッシュバックで、端末が実質的にかなり安い価格で入手できるのに対して、SIMロックフリー端末が数万円もするため、ユーザーは価格で選んでしまい、端末の実力が評価してもらえないことと、本人確認が厳しいことを挙げている。同時に、海外と同様にパスポートと宿泊場所の住所で本人確認ができ、自動販売機なども利用してプリペイドスマートフォンやSIMが手軽に買える環境が必要と訴えた。

 また、SIMビジネスの拡大には、海外で販売しているSIMロックフリー端末の利用促進のため、技適マークの緩和も必要も唱えた。MVNOにおいては、提供キャリアが実質的にNTTドコモだけとなっているので、KDDIとソフトバンクモバイルからの調達も認め、そのためにNTTドコモに課せられてる禁止行為規制の見直しも必要とという。

 なお、石川氏は、「いよいよ iPhone時代が終わるか」という言葉とともに、キャッシュバック問題に言及し、NTTドコモなどキャリアの経営を圧迫しているキャッシュバックについて、「iPhone 6が登場するタイミング」で、キャリアの考えが大きく変わる可能性を示唆している。また、ソフトバンクモバイルでは、Androidシフトが始まっていて、Xperiaシリーズの取り扱いもあり得るとしている。KDDIでも、Firefox OS導入端末の取り扱いを予告するなど、iOSだけに依存するのではなく、iOS、Andorid、そして、Firefox OSと3つのOSをバランスよく取り入れていく姿勢がみえている。

 その上で、石川氏は今後登場する2014年夏商戦のスマートフォンでは、NTTドコモとKDDIではVoLTE対応モデルが登場し、KDDIでは、WiMAX 2+対応スマートフォンが加わり、ソフトバンクモバイルでは取り扱うメーカーの数が増えるだろうと予想した。

キャリアそれぞれで、iPhone一極依存を見直している。その理由はキャッシュバックによる経営圧迫からの脱却で、具体的にはAndriodへのシフトであったり、Firefox OSやAndroid、iOSそれぞれのデバイスをバランスよく取り入れることであったりする

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