iPhone 5s“洋上”接続テスト──東京湾〜相模湾編勝手に連載! 海で使うIT(2/2 ページ)

» 2014年04月16日 20時58分 公開
[長浜和也,ITmedia]
前のページへ 1|2       

3キャリアでそれぞれ個性がある洋上エリア

 今回の航海は、横浜港大桟橋出港が15日の23時で、東京湾を南下して剣埼灯台から(伊豆)大島の風早崎灯台に向かって針路南西で進み、16日2時30分にほぼその中間で進路北東と反転して北上、来た航路をそのまま戻って6時に帰港している。測定は、往路の23時30分から2時30分にかけて7回行っている。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルそれぞれの、測定海域における受信感度(アンテナアイコンの数)と受信電波の種類は以下の通りになる。

キャリア NTTドコモ KDDI ソフトバンクモバイル 測定海域
測定項目 アンテナアイコン数 受信BAND アンテナアイコン数 受信BAND アンテナアイコン数 受信BAND (Plan2Navのプロットから)
23時30分 3 1 3 横浜港出港口
0時00分 3 3 3 横浜ベイサイドマリーナと八景島の中間沖
0時30分 4 BAND 19 2 BAND 18 2 BAND 3 観音埼灯台北西沖
1時00分 4 BAND 19 2 BAND 18 4 BAND 3 横須賀火力発電所沖
1時30分 1 BAND 19 3 BAND 18 2 BAND 1 剣埼灯台南南東沖約4海里
2時00分 5 3G 2 BAND 18 3 BAND 3 城ケ島灯台南沖約10カイリ
2時30分 1 3G 1 BAND 1 4 3G 剣埼灯台と風早埼灯台のほぼ中央

Plan2Navで表示した測定海域。23時30分にはベイブリッジをくぐって横浜港を出た(写真=左)。0時には根岸湾と八景島の中間海域(写真=中央)。0時30分には観音埼灯台に接近している

1時には東京電力の横須賀火力発電所の沖合を超え(写真=左)、1時30分には剣埼灯台の沖合遠くを進んで東京湾を離脱した(写真=右)

2時には城ケ島灯台の南沖遠くを進み(写真=左)、2時30分につるぎ埼灯台と大島北端の風早埼灯台のほぼ中間海域で反転した(写真=右)

 どのキャリアも、往路航海を通して圏外になることは“ほぼ”なかった。KDDIは最後までLTE接続を確立している。ただし、受信感度的にはNTTドコモとソフトバンクモバイルと比べると低いスコアが続いていた。LTE接続は航海のほとんどの期間を800MHz帯のBAND 18でつながっていたが、最後の剣埼灯台と風早埼灯台の中間海域だけ2.1GHz帯のBAND 1をつかんでいる。

 NTTドコモは剣埼灯台より北の海域(東京湾の中)では受信感度でKDDIとソフトバンクモバイルより優勢だが、剣埼灯台を超えると一気に受信感度が低くなり、三浦半島から離れ始めると、3キャリアの中では最も早く3G接続に切り替わった。洋上で捕まえていたLTEは800MHz帯のBAND 19だ。3Gの受信感度は最初良好であったが、最終測定海域では、ようやくアンテナアイコンが1つ、測定時間ではなかったが、短時間(10分ほど)圏外となるケースも確認できた。今回の測定作業で唯一の圏外だった。

 ソフトバンクモバイルは、東京湾を出てしばらくはLTE接続を維持したが、最後で3G接続に移行した。洋上でつかんでいたLTE電波は、剣埼灯台沖で2.1GHz帯のBAND 1だったほかは、城ケ島の沖合10カイリでもイー・モバイルが提供する1.8GHz帯のBAND 3だった。サービスエリアの範囲が3キャリアより少ない印象のイー・モバイルだが、三浦半島で航海するアマチュア船長の間では、以前からイー・モバイルが「意外と使える」と言われていたが、今回の調査は、それを裏付けているといえるだろう。

 以上が、横浜港から出て東京湾を南下し大島北端を目指す航路における3キャリアのエリアについて調査した結果だ。当日の天候は晴れ。波は穏やかで海面は安定していたが、洋上はややもやがかかった状態だった。なお、今回テストしたポイントの高さは海面から30メートルを超える高層デッキであったため、電波の到達条件としては、小型のヨットやパワーボート、中型のフェリーと比べて有利だったことは留意しておく必要がある。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2024年