ルーター契約後は、すぐに使い始めることができる。SIMはその場で店員がセットしてくれ、電源を入れれば「4G」の表示とアンテナバーが立つはずだ。ノートPCやスマートフォンからWi-Fiを検索すれば、ルーター製品名のE5375にちなんだSSDが見つかるはずだ。あとはルーターのリアカバーの裏に記載されているパスワードを入力すれば、接続完了だ。
接続速度は深セン市内で下り10〜20Mbpsと快適だ。ただ繁華街の夕方は数Mbpsと速度が落ちることもあり、利用者の多いエリアではまだ安定しないかもしれない。それでも同じ場所で3Gを使うと、ほとんどデータが流れなかったことを考えると、やはりLTE回線の方がはるかに使いやすかった。
一方、地下鉄内はまだLTEカバレッジはされておらず、3Gに落ちてしまう。今回は常時LTEを使うためにルーターのモードを4G固定にしていたが、地下鉄に乗るときは回線モードをオートにし、自動的に3Gに切り替わるようにしておいた方がいいだろう。E5375の各種設定や管理はブラウザで「192.168.1.1」を開き、ユーザー名とパスワードにそれぞれ「admin」を入れるという、他国で販売されている同社製ルーターと同じだ。
毎月の利用分はオンラインで確認ができる。中国移動のWebページを開き「我的移動」をクリック。契約時に契約書に書かれた携帯電話番号と、設定してもらったパスワードを入力、画面表示されている確認コードも入力して「登録」をクリックすれば、現時点での利用分を確認できる。なお、当日の利用分は確認できず翌日にならないと反映されないこともたまにあるようだが、このあたりはスマートフォンのデータ利用分などから当日分を推測すればいいだろう。
なお、毎月の無料データ分を超えた場合は0.29元/Mバイトの従量料金がかかると店員から説明があった。あらかじめ1年分の基本料金がプリペイドSIMには預け入れられているため、そのデポジット分からマイナスされてしまうので注意が必要だ。とはいえ、中国移動のWebサイトでの説明を見ると「無料データ分を使い切った場合はデータ通信は翌月まで利用できない」とも記載されている。このあたりはどちらが正しいのか、次回の中国訪問時に、1Gバイトを実際に使い切ってみて確認してみようと思う。
最後に今回のルーター契約は1年契約だが、1年後は13カ月目、14カ月目に基本料金が請求されるものの、お金が入っていなければ13カ月目で利用が一時停止、そして15カ月目に自動解約になるとのこと。1年後に再訪問する場合はその場で解約すればよいし、再訪できない場合はそのまま放置して自動解約を選んでもいいようだ。
中国の4Gサービスは始まったばかりであり、対応端末もまだ少ない。FDD-LTEのサービスが始まれば手持ち端末を利用できるなど、より使い勝手も高くなるだろう。とはいえ、年に数回の訪中予定のある人や、今すぐ中国でLTE回線を試してみたいという人は中国で4G契約を行ってみるのもいいだろう。一方、年に1〜2回程度の訪問ならば、中国で利用できるルーターのレンタルサービスを使った方がまだまだ簡便だろう。訪中の多い人は今回の契約を参考にしてほしい。
山根康宏 :香港在住の携帯電話研究家。一企業の香港駐在員時代に海外携帯電話に興味を持ち、2003年に独立。アジアを中心とした海外の携帯電話市場の状況や海外から見た日本の携帯電話市場についてなど、海外の視点からコラムや記事を日本のメディアに執筆するほか、コンサルティング活動も行う。携帯/SIMカードコレクターとしても知られ、所有する海外端末数は1100台以上(2013年5月時点)。
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