最近では、中国移動のTD-LTE対応スマートフォンでは、iPhone 5sとiPhone 5c以外のモデルにも人気が集まっている。Androidスマートフォンで新製品を多数投入しており、サービス開始から4カ月経った2014年4月には約20機種を販売している。メーカーもサムスン電子、LG、HTC、ソニーモバイルコミュニケーションズといった海外メーカーを中心にTD-LTE対応品を用意した。
サムスン電子が2014年春のフラッグシップモデルとして投入する「GALAXY S5」も中国でいち早く出荷を始めている。世界で採用例が多いFDD-LTE方式に対し、TD-LTE方式はまだ採用している国が少ないが、中国移動の端末ラインアップを見る限り、TD-LTEが「マイナー」とは思えない印象を受けるほどだ。
Lenovo、Coolpad、Huawei、ZTE、Hisense、K-touchなど、中国の大手メーカーも続々とTD-LTEスマートフォンを投入している。各メーカーが注力するのは、4Gサービスに加入する利用者の多くがARPUの高い客ということを見込んでか、やはりハイエンドモデルになる。
一方で、Coolpadでは5.9型ディスプレイを搭載するファブレット「8970L」、5型ディスプレイ搭載のハイエンドモデル「8736」、そして、1000元を切る低価格モデル「8720L」と早くも3機種を投入した。ちなみに、Coolpadは2014年中に中国移動、中国聯通、中国電信向けにLTEスマートフォンを30機種程度投入する予定だという。中国移動向けだけでも年内に10機種以上が登場することになるだろう。
Coolpadが1000元以下の製品を出したように、低価格の製品も3〜4機種が登場している。中国移動にとっても1000元クラスのLTE対応スマートフォンは2Gユーザーが3Gを飛び越え4Gへ移行する起爆剤になると考えて注力している分野だ。中国移動にとってLTEは高度な新しいサービスでもあるが、3Gの代替という位置づけでもある。そういう意味で、ターゲットユーザーは「中国13憶の全人口」であるに違いない。
1000元を切る低価格スマートフォンでは、Lenovoが最初の製品を出したほか、ディズニーと提携した「Magic2」という製品にも注目だ。大学生やOLなどのディズニーファンをターゲットにしているだけでなく、’990元とTD-LTE対応スマートフォンの中では2014年4月時点で最安値であり、ディズニースマートフォンが高級モデルではなく1000元を切る普及価格で出てきたということは、中国移動が本気で4Gユーザーを拡大しようと考えていることを、実は最も分かりやすく示しているといえるだろう。
(後編では、中国聯通や中国電信など“後発”参入となった中国キャリアの反撃について紹介する)
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