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» 2014年05月10日 10時19分 UPDATE

石野純也のMobile Eye(4月28日〜5月9日):au夏モデルの独自性/au WALLET提供の狙い/ソフトバンクが発表会を行わない理由 (1/3)

5月7日にはKDDIが夏商戦向けの新機種やサービスを発表し、話題を集めた。スマホやタブレットはもちろんのこと、特に力を入れて発表したのが電子マネーサービスの「au WALLET」だった。一方でソフトバンクモバイルは当面発表会を行わないという。

[石野純也,ITmedia]

 夏商戦が本格的に幕を開けた。トップバッターとなったのがKDDI。同社は5月8日に発表会を開催し、大画面やバッテリーの持ちをテーマに据え、スマートフォン6機種とタブレット2機種を発表した。ほとんどのモデルが、先行公開していたキャリアアグリゲーションに対応するほか、TD-LTE方式のWiMAX 2+も利用できる。また、3月にコンセプトのお披露目をしていた「au WALLET」も5月21日に開始する。発表会ではau WALLETの詳細も紹介した。

 ネットワーク、端末、サービスと盛りだくさんだったKDDIに対し、ソフトバンクは夏の発表会を開催しない方針だ。端末は適宜発表していくとして、4月25日には「AQUOS Xx 304SH」を5月下旬に発売することを明らかにした。対照的な両社だが、背景はある程度共通している。裏にはスマートフォンが一般的になり、差別化がしにくくなったキャリアの事情も見え隠れする。今回の連載では、この2社の夏商戦に向けた戦略を解説していきたい。

独自性にこだわったKDDIの夏モデル

 夏商戦に向けてKDDIが用意したのは、大画面やバッテリーの持ちにこだわったスマートフォン6機種に、タブレット2機種。「価格競争ではなく、価値訴求でauという会社(ブランド)を知ってもらいたいと考えている」(代表取締役社長 田中孝司氏)というように、春モデルに続き、差別化を意識したラインアップに仕上がった。

photophoto 大画面やバッテリーの持ちにこだわった8モデルを展開。田中氏が「すべての分野でWOWを実現したい(驚きを表す英語の擬音語)」と語るように、端末も手を抜かずに強化していく

 「新しいauならではのモデル」(田中氏)として紹介されたのが、LGエレクトロニクスと共同開発した「isai FL」。秋冬モデルとして登場した「isai」の後継機で、フルHDを超える2K(ワイドQHD)のディスプレイを搭載した、異彩を放つモデルだ。両社のコラボレーションで生まれたUIには、新たに「isaiモーション」という機能が加わった。端末を振ることで壁紙を変えたり、現在地付近の情報を得られたりといった効果が得られる。

photophoto ワイドQHDのディスプレイを搭載した「isai FL」。間近でも画面のドットがまったく見えないほどの精細さだ(写真=左)。端末を振ると現在地付近の情報が表示される「isaiモーション」を採用(写真=右)

 もう1つの差別化の軸になりそうなのが、京セラ製の「TORQUE G01」。京セラは、北米市場にプリペイドやタフネススマートフォンを投入し、シェアを伸ばしていたが、そのブランドを“逆輸入”した格好だ。田中氏がTORQUEを紹介する際に、「かつてG'zという端末があった」と述べていたように、KDDIはNECカシオ製の「G'z One」をスマートフォンでも販売してきた経緯がある。万人受けはしないが、必要としている人には手放せない端末で、後継機を待ち望む声もあったという。

photophoto MIL規格に準拠した、京セラ製の「TORQUE」。ブランドの逆輸入的な展開だが、海外で発売されていたモデルよりも機能面は進化している(写真=左)。スピーカーフォンに一発で切り替えられるボタンを搭載。グローブをしても操作しやすいよう、物理キーも一般的なAndroid端末より多い(写真=右)

 一方で、ご存じのとおり、NECカシオはスマートフォンの開発から撤退してしまった。こうした中、後継機を開発でき、しかも海外で同様のモデルを販売しきた京セラに白羽の矢が立ったというわけだ。スペック的にはほかのモデルよりやや見劣りして、キャリアアグリゲーションやWiMAX 2+にも対応しないが、MIL規格対応の頑丈さで一定の需要はつかめそうだ。

 これら2機種のスマートフォンに加えて、タブレットではASUSの「MeMO Pad 8」を導入する。8インチのディスプレイを採用し、ほかの製品とは異なり「国内初のIntelチップを搭載したモデル」(田中氏)となる。日本でもASUSなどのメーカーが独自の販路でIntelのチップを搭載した端末を発売していたが、キャリアとして導入するのは初。省電力性能に定評があり、価格面でも有利なことから、2台持ち用の「シェアプラン」を普及させるきっかけになるかもしれない。

photo AUSUの「MeMO Pad 8」。ペットネームこそ同社のWi-Fi版と同じだが、チップセットはIntelの最新モデルだが、キャリアアグリゲーションには対応しない。なお、展示会場にはモックアップしか置かれていなかった

 他社と差別化を図れるモデルを用意した一方で、人気のブランドをきっちり押さえているのは、秋冬春と同じ戦略だ。「GALAXY S4」は導入しなかったが、「GALAXY S5 SCL23」は他社に先駆けて発表できた。Xperiaは、「Xperia Z2」こそ発表されなかったが、機能の近い「Xperia ZL2 SOL25」をラインアップに取りそろえている。「AQUOS SERIE SHL25」は3辺狭額縁のディスプレイを採用したフラッグシップモデルで、こちらも今までのauには欠けていた5インチ超、3辺狭額縁のAQUOSだ。Xperiaのタブレットラインも初めて採用しており、「Xperia Z2 Tablet SOT21」が発売される。

photophoto 高速オートフォーカスなどに対応した「GALAXY S5」(写真=左)と、「Xperia Z2」の機能と「Xperia ZL」の形状を受け継ぐ「Xperia ZL2」(写真=右)
photophoto 3辺狭額縁のディスプレイを採用した「AQUOS SERIE」もラインアップに取りそろえた(写真=左)。スペックアップした「URBANO」も用意する(写真=右)
photo au初となるXperiaタブレットの「Xperia Z2 Tablet」

 すべて5インチ以上で、他社にあるコンパクトモデルが手薄だが、これについて田中氏は「小さい画面がいいお客様もいる」と認めつつ、「(大画面モデルを)提案していきたいという思いが少し強い」とコメント。グローバルではハイエンドモデルに5インチ以上のディスプレイを搭載するのが当たり前になっている現状を踏まえ、国内でもこうしたトレンドは根付くと考えているようだ。

 これらに加えて、「HTCのJシリーズも、新しいものを出す予定。少し時期はずれるが、乞うご期待」(田中氏)というように、HTCの新機種も準備している。

photo HTC Jシリーズの後継機を開発していることも明かされた
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