前述したように、スマートフォン市場の成熟により、現在、支配的なプラットフォームを持つアップルが、大きなイノベーションを起こすことは難しい状況だ。やり方を間違えれば、今ある地位を自分で捨てることにもなりかねない。iPhoneは、もはや多数派となったスマートフォンの象徴でもある。
しかし、アップルにはまだ出すべきカードがある。それはこれまで守ってきた領域のデベロッパーへの解放だ。セキュリティや複雑性の回避、消費電力対策など、さまざまな理由から、これまでiOSのアプリ実行環境は小さな箱庭に押しとどめられてきた。
これまでは、その方が利点が大きかったが、サードパーティ製キーボードの解放、アプリ間連携の解放、GPUパフォーマンスの解放など、各種APIの大量追加にみられるように、これまで手を出せなかったiOSの深部にも、デベロッパーがアクセスできるようにしている。
iPhone/iPadの元に集まったデベロッパーに、iOSの一部を託し、新たな市場ジャンル開拓のスペースを用意、より効率的で魅力的な開発環境を提案することで、プラットフォームとしての足固めを狙っているのではないだろうか。
もし、アップルの思惑通りにデベロッパーの支持を集めることができるなら、iOS 8はアップルのプラットフォームを、もう一段上のレベルに引き上げる重要なリリースとなるだろう。
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