6月24日からNTTドコモで「VoLTE」が始まる。24日段階で対応機種はソフトウェアアップデートを行う予定のGALAXY S5のみとなるが、夏モデルで順次、対応機種が増えていく。
NTTドコモではVoLTEを「高音質通話」としてアピールするが、実際のところ「VoLTE=高音質」というわけではない。
尾上誠蔵CTOは「高音質はコーデックによるもので、海外ではVoLTEではなくてもHDボイスサービスを提供しているキャリアはある」という。
海外では高音質サービスを「HDボイス」と呼んでいるところがある。これはコーデックにAMR-WBを使っており、通常の3G回線交換サービスで使われているAMR-NBとは異なるものだ。
海外の一部のキャリアでは、回線交換サービスにAMR-WBを使って「HDボイス」を提供しているということになる。
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2014年6月21日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額525円)の申し込みはこちらから。
また尾上氏は「海外はなんちゃってVoLTEが多い。標準化をきっちりと守ったVoLTEはNTTドコモが世界初なのではないか」と語る。
すでにアメリカや韓国でVoLTEサービスが始まっているが、導入時期を急いだために、一部、独自仕様が混じった状態でサービスが提供されているようだ。そのため、韓国では、サービス開始当初は、複数のキャリアでVoLTEが導入されたものの、キャリア間でのVoLTEによる通話はできなかった。
しかし、逆にその状況を生かし、ユーザー数の多いキャリアでは「VoLTEで話せる相手が多い」という顧客獲得の訴求ポイントになったようだ。
NTTドコモも、契約者数が多いと言うことで、仮にKDDIがVoLTEサービスを始めても、しばらくは相互接続を行わないという可能性も出てくるかも知れない。
VoLTEで韓国、アメリカに先を越されたNTTドコモであるが、尾上氏によれば「複数のメーカー端末が同時にサービスインするのは世界で初めてかも知れない。クアルコムベースとサムスンベースの端末が同じネットワーク傘下に入って稼働するのは世界でも珍しいはず」と語る。
確かにアメリカの2つのキャリアによるVoLTEはサムスン端末のみが対象となっているが、NTTドコモではサムスン電子だけでなく、シャープ、ソニー、富士通で使えるようになる。大規模にVoLTEサービスをスタートさせるというのは世界でも珍しい事なのかも知れない。
株主総会でも加藤社長が「今後、発売するスマホではすべてVoLTE対応になる」と明言していたことを考えると「もしかすると秋に発売されるiPhoneもVoLTE対応になるのか」と思いたくなってくる。
「iPhoneはVoLTE対応になるのか」と尾上氏にぶつけたところ、残念ながら口を固く閉ざしてしまった。
iPhoneが対応してくれば、急速にVoLTEは普及するだろう。
NTTドコモでは6月から「カケホーダイ」を始めているが、6月18日現在で365万件を突破。「1日10万ペースで増えている」(加藤社長)という。ユーザーの利用状況としては通話時間、回数が大幅に伸びている傾向があるという。
やはりLINEと比べても手軽に、かつ安定した品質でしゃべることができるというのが大きいようだ。カケホーダイユーザーが発信しすれば、相手は着歴からかけ直してくることになる。結果、お互いが音声通話で会話する機会が増えてくるはずなのだ。
通話定額サービスとVoLTEによって、スマホでの「音声通話でのコミュニケーション」がさらに見直されることだろう。
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