審査員に「なんでやねん」、スマホでメンコ、歴史+ライフログ――「SPAJAM2014」本選の最終プレゼン

» 2014年07月07日 22時24分 公開
[田中聡,ITmedia]
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 スマートフォンアプリの競技会「スマートフォンアプリジャム2014」(SPAJAM2014)の本選が、7月4日から6日にかけて開催された。ハッカソン部門は、4日に発表された「日本文化を好きになる」というテーマでアプリを開発し、最終日の6日にプレゼンテーションを行う。5日の中間発表を経て、どんな内容に仕上がったのだろうか?

 最終プレゼンでは、まず企画部門を勝ち抜いた3者が発表。ハッカソン部門とは異なり「2020年のアプリ」がテーマとなっている。スマートフォンをヘリコプターとして飛ばして自動でさまざまなシーンを撮影してくれる「HeliPhone Camera」(中道寿史氏)、フレキシブル液晶を搭載したネイルチップをスマホからコーディネートできる「Nail〜着替えるネイル〜」(郷古拓実、柳田雄也氏)、あらかじめ設定しておいたメールや肉声などから、故人と会話ができるデジタル遺影アプリ「e-Yeah」(工藤尚弥、太田久美子、眞貝維摩氏)が紹介された。

photophoto 「HeliPhone Camera」は、スマートフォンのバッテリーから給電して飛ばせる(写真=左)。ネイルチップ+スマホだけでネイルをコーディネートできる「Nail」アプリ。ネイルサロンに通わなくて済むことがメリット
photophoto 故人とコミュニケーションができる「e-Yeah」
photophotophoto 左からプレゼンターの中道氏、郷古氏、工藤氏

 続いて、ハッカソン部門の11チームがアプリを紹介。前日はほぼ徹夜だったチームも多かったようだが、2日間の成果が試されるとあって、どのチームも気迫あふれるプレゼンを披露してくれた。各チームの持ち時間は5分で、制限時間内にいかにアプリの魅力を伝えられるかが腕の見せ所となる。

 アンチキラキラ女子チームは、女子高生がサラリーマンの背中からダルマを投げ、どれだけこけしのピンを倒せるかを競う「コケシボーリング」を紹介。ゲームシステムは「Angry Birds」がモチーフになっていてなじみやすい。審査員からは「ダルマを何度もぶつけないとピンが倒れないような仕組みもほしい」との声もあった。

photophoto 「コケシボーリング」を発表するアンチキラキラ女子チーム

 進撃のDMTC~Attack on Hacker~は、中間プレゼンのときと同様に、外国人観光客に向けた「MotenashiMap」を発表。シャイな日本人のために、訪日外国人を簡単にもてなせるアプリとなっている。日本人はあらかじめ「ガイド」として自分を登録し、外国人は自分の目的を満たしてくれるガイドにコンタクトを取れる。基本的にガイドと外国人が「会う」ことが前提となっているので、審査員からは「テキストメッセージだけでやり取りする方法も欲しい」との要望も出た。

photophoto 「MotenashiMap」を発表する進撃のDMTC~Attack on Hacker~

 株式会社グッドラックスリーは、すごろくを遊びながら日本文化を学べる「じぱんぐ双六」を紹介。カッパ、雪女、鬼など日本の妖怪をモチーフにしたキャラクターをコマに使い、日本の歴史を体験していく。残念ながら制限時間内にゲームのデモを紹介できず、肝心のゲーム内容がうまく伝わらなかったようだ。

photophoto 「じぱんぐ双六」を発表する株式会社グッドラックスリー

 Circulationは、コスプレの投稿アプリ「Cos Pad」を開発。コスプレの人気ランキングの閲覧やカテゴリー検索ができるほか、閲覧したコスプレに対して「萌え(いいね)」を押せ、その履歴を後から閲覧できる。コメントの投稿も可能だ。

photophoto 「Cos Pad」を発表するCirculationの三瓶さん。自らのチームを「専門学生のチームなので、企業の方や、高学歴の方が手こずる相手ではないと思います」と紹介して会場を笑わせた

 海賊コスプレで目立っていたパイレーツ・オブ・イチミヤン 〜ポセイドンのめざめ〜は、スマホ上で擬似的にメンコを楽しめるゲーム「バトルメンコ!」を披露。商品のバーコードを読み取ってメンコをゲットし、相手にメンコを裏返すと、自分のものにできる。プレーヤーが投げたメンコは相手の画面に表示される。プレゼンでは実際にバトルの様子を見せ、ゲームの内容をイメージしやすいよう工夫していた。

photophoto 「バトルメンコ!」の対戦を披露するパイレーツ・オブ・イチミヤン 〜ポセイドンのめざめ〜

 朝風呂ブラザーズは、写真を撮って投稿すると1分以内に回答が来るという外国人向けアプリ「NANI-COLLE?」と、日本文化に関する質問に30秒以内答えるクイズゲーム「ナニコレ?」の2つを発表。NANI-COLLE?のデモムービーでは、外国人がNANI-COLLE?でシャンプーハットの使い方を理解して、ハッピーになる様子が紹介された。

photophoto 日本文化の雑学に関する2つのアプリを紹介する朝風呂ブラザーズ

 俺たちアクワイア開発軍!は、残業社員と怪獣が戦うという一風変わったゲーム「地球防衛会社-残業編-」を発表。残業社員のエネルギーによって生まれる(?)日本文化を表す言葉をひたすらタップして怪獣を倒していくという内容。開発陣いわく「日本の魂をぶつけられる」そうだ。主人公が残業社員である必要性はよく分からないが、「わけの分からないところがいいと思う」と審査員からは絶賛されていた。

photophoto 「地球防衛会社-残業編-」を紹介する俺たちアクワイア開発軍!

 中間発表では企画が決まっていなかったGONBEは、大阪出身のチームらしく「ボケたら突っ込んでくれるアプリ」を発表。大阪人特有の突っ込みワード「なんでやねん」に着目し、スマホを振ると「なんでやねん」(録音した本人の声)を発する。プレゼンターは「会議で誰も反論できないような空気に一石を投じることができる。上司のギャグがパワハラレベルでつまらないとき、タクシーの運転手さんの話がつまらないときなど、すべては『なんでやねん』が解決する」と熱く語っていた。司会から「ゲーム性もあるかなと思いますけど?」と振られた審査員のガンホー森下社長が、「いやゲーム性は全くないと思いますけど……」と返すと、すかさずGONBEのメンバーがスマホを振って「なんでやねん」と突っ込み。これには森下氏も「うまい(笑)」と脱帽するしかなかった。

photophoto 「なんでやねん」で突っ込みまくっていたGONBE

 チームMizukiは、外国人に日本のことをよく知ってもらうべく、日本の情報をカードにして配布する仕組みを提案。4枚集めるとお店のクーポンをもらえる、友達とカードを交換する、プロモーション用のリアルカードを配布するといった使い方を想定している。さらに、スマホが近づくと、Beaconを活用して自動で情報を配信する「neo提灯(ちょうちん)」も提案。施設内にある提灯から、スマホへ役立ち情報が配信されるわけだ。防災情報を含んだカードもあるので、非常時には命を守るツールになることも強調していた。

photophoto カードと提灯を使ったビジネスモデルを提案するチームMizuki

 ひとりっこりぃずは、ライフログアプリ「moves」と歴史をミックスさせた「hinomoto」アプリを発表。当日と同じ日に起きた歴史上の出来事、当日の自分の歩数が、伊能忠敬が日本地図を作るために歩いた歩数と比べてどれくらいか(1/247000伊能忠敬など)、当日の摂取カロリーが、平安時代の1日の摂取カロリーと比べてどれくらいか(0.045平安時代など)といったことが分かる。ライフログを取りながら、日本の雑学も学べる。

photophoto 「hinomoto」アプリを発表したひとりっこりぃず

 Myxomycetesが発表したのは、飲み会のコールを盛り上げてくれる「CallJAPAN!」。キャラクターを選んで端末を振り続けると、「飲んで飲んで飲んで〜」とコールが鳴り続けるのだが、素早く振らないとコールもゆっく〜りになってしまい、その異様なかけ声が笑いを呼んでいた。端末をスピーディに振り続ける動作だけでも盛り上がれそうだ。

photophoto 「CallJAPAN!」アプリをデモするMyxomycetes

 最優秀賞はハッカソン部門がシリコンバレースペシャルツアー、企画部門が賞金30万円。果たして栄冠を手にするチームは? 審査結果は7月15日に発表される。

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