ワイモバイルが月額2980円の新料金プランを発表――寺尾洋幸COO「インターネットの楽しさを届けたい」石川温のスマホ業界新聞(1/2 ページ)

» 2014年07月25日 12時00分 公開
[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 7月17日、ワイモバイルの新製品・新サービス発表会が開催された。終了後にはエリック・ガン社長、寺尾洋幸COOの囲みが行われた。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2014年7月19日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額525円)の申し込みはこちらから。


―― 短い準備期間だったと思うが、今日の発表内容は想定していたものの何合目あたりか。

寺尾洋幸COO まだ道半ばですよね。いろんなアイデアがあって、ヤフーのメンバーと議論をしている。

 僕らがやっていることはまだまだどこでもできることだし、ヤフーじゃなくてもできること。これからヤフーと組んで、パケットマイレージももっともっと世界は広がると思う。ヤフオクだったり、ショッピングだったり、もしかしたらGyaoだったり、LINEだったり、Twitterだったり、いろんなところに広げていけると思う。そのあたりの最初の一歩が今回のサービスだと思う。

エリック・ガン社長 いろんなステップがあるんですけど、第一ステップは今日、発表したものができた。第2ステップ、第3ステップ、これから徐々に頑張ってサービスを広げていきたい。ぜひ期待していてください。

(★ 正直、買収中止のゴタゴタがあったにも関わらず、よくこのタイミングで発表できたと、感心したほど。関係者のみなさん、お疲れ様でした)

―― プレゼンで、ポケットWi-Fiをフルコースのなかの前菜と言っていたが、前菜はいつまで出し続けるのか。

エリック・ガン社長 前菜が一番、美味しいんですよ。まだ頑張ってやりたい。最初の2つの商品(PHS、ポケットWi-Fi)がヤフーとの連携ができていない。スマホは連携ができているが、PHSとポケットWi-Fiでヤフーの連携を広げたい。いつできるかわからないですけど、これから頑張りたい。

(★ ポケットWi-FiとYahoo!の連携って、どんなことができるのかな。想像がつかないだけに楽しみ)

―― イー・モバイルのころはヘビーユーザーがターゲットだったが、ワイモバイルではレイトマジョリティにターゲットが変わるのか。

エリック・ガン社長 スマホの普及率は50%しかないので、残りの半分、ガラケーとかで、スマホを全く持っていないユーザーも居る。2980円の料金設定、ガラケーに近い料金設定にしているのも事実。ガラケーのユーザーとしても、同じような料金で300回の通話もついているので入りやすい。1GB使ったら、3GBのプランもある。スマホを持っていないユーザーをターゲットにしていきたい。

(★ レイトマジョリティを獲りに行くなら、スマホじゃなくて、むしろケータイだと思う。最強のガラケーをつくって、激安でPHSを使わせればいいのではないかな)

―― 海外ローミングの価格破壊は考えていないのか。

エリック・ガン社長 いまは従来通りで。考えます。

(★ 海外ローミングは相手もあることなので、どうにもなりませんね)

―― Nexus5は端末代込みでわかりやすかったが、これからは別立てになるのか。

エリック・ガン社長 その時は端末が一つだけだったが、今回は2つの端末で仕入れ価格も違う。かなりリーズナブルな値段で、コミコミでも5000円台になっている。

(★ 端末代金サポートを辞めるというのが、一般ユーザーにどのように支持されるか注目かと)

―― ヤフーと連携していくが、これからもNexusシリーズも出し続けていくのか。

エリック・ガン社長 もちろん。Nexus5は昨年11月から発売して、大ヒット商品になっている。これからグーグルさんとも調整していく。

(★ グーグルブランドをヤフーブランドで売るって、なんか違和感)

―― 仮に新製品が登場してもか。

エリック・ガン社長 そうです。もちろん。ヤフーの連携は上位レイヤーで、NexusはNexusで別・

(★ 新製品、出るのかな?)

―― この発表のタイミングは大手3社を見てからなのか。他社を見て、練り直したりしたのか。

エリック・ガン社長 システムの調整がネックだった。パケットマイレージとか、最初から全部発表できるようにしたかったのが事実で、いまがベストのタイミングだった。システムの調整はいまも頑張っているところ。

(★ とはいえ、NTTドコモが月額2700円の完全かけ放題を提供したことで、ヤフーとして攻めにくくなったのは事実だろうけど)

―― ソフトバンクに比べてワイモバイルの優位点はどこにあるのか。

エリック・ガン社長 向こうは最大の武器を持っていて、大人気の端末が揃っている。我々の店舗数よりも3倍以上多い。ソフトバンクモバイルはドコモやKDDIと戦うため、規模が全然違う。

 我々は1000店舗で規模を絞ってやっているが、ターゲットが違う。我々はまだスマホを持っていない人を中心にやっていく。

寺尾洋幸COO ちょっと補足をすると、さきほどもインターネットの楽しさ、便利さを手元に届けたいというのがあったが、今回はスマホの料金だけを発表しているが、必ずしもスマホだけではないと思っている。

 お年寄りの方など、いままでインターネットの良さ、楽しさを味わっていない方、50%のケータイユーザーの方というのは、アンケートを採ると満足しているという答えが返ってくる。

 でも、格安のスマホが出たらなぜ使うかと言えば、試してみたいからという。実は使いたい。でも、その障壁があって使えないというお客さんはいます。

 シニアの方だと、別にスマホの形でなくていいと思う。インターネットを手元に届ける仕掛けをやっていきたい。

 ソフトバンクとガチで戦うと言うよりも、我々は違う領域を含めて、インターネットの楽しさとか、便利さを広げていきたい。スマホの値段や端末ラインナップではバチバチぶつかるかも知れないが、広い意味でインターネットを広げていきたいというのが我々とヤフーが共同事業をやっていきたいというのが狙いです。

(★ シニアに優しいスマホを提供しようとなると、それはNexus5でもなければ、STREAM Sでもない。安い端末を調達しつつ、ローカライズするというのは、かなり苦労しそう)

―― ヤフーへの売却中止の影響は。

エリック・ガン社長 社内調整が大変ですよ。社員への説明とか大変だった。大きな財務のインパクトはない。スケジュールやシステムの調整があったのは事実です。

―― 社員にはどのように説明したのか。

エリック・ガン社長 新聞で報道されたとおりで、今回は中止にしました、と。これからヤフーとの連携は継続していきたいと説明しました。

―― 3大キャリアがいて、格安スマホがあって、どのポジションを狙っていくのか。

エリック・ガン社長 真ん中なんですよ、サンドイッチで。大変ですけれども、通信キャリアではなく、インターネットを楽しく、安い料金で利用してもらうのが特長。料金だけ見るお客さんもたくさんいて、3大キャリアの端末やサポートに魅力を感じる人もいるが、真ん中の客層もたくさんいるので、ターゲットを取っていきたい。

―― 優位性はどこにあるのか

寺尾洋幸COO 格安スマホを実際に使うには、ある程度、リテラシーがないと使えないのではないかと思っている。いろんな会社があるが、難しいですよね。SIMを差し替えて、APNを書き換えたり何とかというのは、サポートしてあげないとできない。

 それがレイトマジョリティの方にとってベストかと言えば、いろんな議論があると思う。

 我々は、イー・アクセス、ウィルコムのころは土管屋さんで、上位のアプリケーションを持っていなかったので、そういった方にわかりやすいものを提供できていなかった。

 今回、ヤフーと組んだことで上位のアプリケーションも下位レイヤーもセットでご提供できる。ヤフー側のメンバーも協力してくれている。

 いままで、彼らも下位レイヤーを持っていなかった。上と下を連携して、一個のパッケージを提供する。ここで展示しているのが、そうなっているかと言えば、まだまだ半ばです。

 でも、(ワイモバイルで)それができると思っている。上と下のセットにすることによって、逆にガラパゴスに戻っているという指摘もあるが、レイトマジョリティの方から見れば、使い方とか、ご紹介していかないと難しいと思う。

 そこを我々のポジションにしていくべきだと思っていますし、そういったお客さんが入ってこられない理由は価格ですので、価格を抑えた形で、上位のアプリをしっかりと持つのが我々が築けるポジションなのではないかと思う。

 それが狙っていくべきマーケットだし、やらなければいけないこと。

 繰り返しになりますが、場内に展示しているのは道半ばです」

(★ 確かに、イオンの格安スマホでは、レイトマジョリティは絶対に使いこなせないし、端末の品質も保証できない。そこを救ってあげるのがワイモバイルというのは納得。ワイモバイルの製品、サービスをイオンの販路で売れば良いんじゃないかな)

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