スマホの不安を“スパ”っと解決?――「シンプルスマホ2」温泉特典の背景

» 2014年10月29日 02時55分 公開
[平賀洋一,ITmedia]

 ソフトバンクモバイルは10月28日、シャープ製のシニア向けスマートフォン「シンプルスマホ2」を発表した。

photophoto 「シンプルスマホ2」

 シンプルスマホ2は、2013年夏モデルとして登場した「シンプルスマホ 204SH」の後継機種。ディスプレイサイズを204SHの4型から4.5型に大型化し、解像度もワイドVGA(800×480ピクセル)からHD(1280×720ピクセル)表示へとアップ。これまで約490万画素だったカメラも約800万画素にスペックを向上させた。

 通信面では新たにFDD-LTEとAXGPの「Hybrid 4G LTE」をサポートして、より高速な通信を可能としている。気になるバッテリーは容量2400mAhで、1度の充電で3日間以上の利用できるとしている。

photophotophoto 片手でも操作しやすい4.5型液晶を搭載。卓上ホルダも同梱

 防水仕様のボディに、押しやすい物理式ホームキーと発話キ−の採用、そして万が一に備える緊急ブザーの搭載などは、従来モデルから変わっていない。Google Playに非対応のため自分でアプリをインストールすることはできないが、データ量が少なくて済むことから月間200Mバイトまでの専用データ料金を用意。通話定額プランの「スマ放題」と合わせても月5000円で利用できる。

 端末の販売価格も、MNP利用時には実質負担0円、新規契約時は実質負担680円と抑えた。機種変更時の実質負担額は1280円だが、3G携帯電話からの機種変更では合計1万4400円(毎月600円)分を割り引くキャンペーンを実施し、新規契約と同じ実質680円で販売する。

 こうした新モデルのスペックや料金以上に興味深いのが、シンプルスマホ2に関連したキャンペーンの充実ぶり。大江戸温泉グループの施設で“何度でも”使える500円分のWebクーポンを全員に進呈するほか、同グループで利用できる1泊2日の宿泊券を抽選で30組60人にプレゼント。さらに3000円分のLINEプリペイドカードを抽選で1000人にプレゼントする。

 また購入者だけでなく、それ以外の人もシンプルスマホ2の使い方を無料で学べる「スマホ教室」を全国の大江戸温泉グループ12カ所で開催するほか、日本で一番早く桜が咲く沖縄でシンプルスマホ2を体験できるツアーをANAセールスで販売する。

photophoto 説明会は、東京・お台場にある「大江戸温泉物語」の大広間で行われた

 同日に東京・お台場の「大江戸温泉物語」で行われた製品発表会では、ソフトバンクモバイル 事業企画部 部長の新宮由久氏とシャープ商品企画室室長の澤近氏京一郎氏が、シンプルスマホ2の開発背景とキャンペーンの狙いを説明した。

photophoto ソフトバンク新宮氏(写真=左)。シャープの澤近氏(写真=右)

 ソフトバンクが調査した60歳以上のスマホ保有率は、わずか16%。低い保有率について新宮氏は、「高齢者には、『通信料金や端末代が高くなりそう』『操作が複雑そう』『使いこなせないのでは?』というスマホへの共通した不安がある」と分析し、シンプルスマホ2では上記のように料金と端末を低コストで提供することで料金面での不安をなくしたいと説明した。とくに新料金プランの「スマ放題」を契約する場合、シンプルスマホ2向けのデータ料金が利用できるため、フィーチャーフォンよりも1000円安く利用できるという。

photophoto シニアのスマホ保有率はわずか16%(写真=左)。スマホへの不安は料金面が大きかった(写真=右)

 また大江戸温泉グループで開催するスマホの体験教室や沖縄へのツアーを通じて、スマホを利用する機会や活用方法を広げたいと意気込む。

 「50代から60代が最も興味を持っているのは、国内旅行。シンプルスマホ2は“旅をもっと楽しく”をコンセプトに、全国に温泉・宿泊施設を持つ大江戸温泉物語グループ、また利用者の満足度が高いANAセールスとのキャンペーンを企画した」(新宮氏)

photophoto 「シンプルスマホ2」ではトータル5000円と、フィーチャーフォンより低いプランを設定(写真=左)。従来のシンプルスマホユーザーは、LINEが使えないのが不満だった(写真=右)
photo シンプルスマホ2にプリセットされたLINEアプリ

 これからスマホを持つシニア層の不安を取り除くだけでなく、すでにシンプルスマホを持っているユーザーの不満も解消したい。その一つが、「LINE」のプリインストールだ。同社のシンプルスマホ/シンプルスマホ2はGoogle Playにアクセスできないため、自分で自由にアプリをインストールできない。

 前モデルのシンプルスマホユーザーからは、LINEアプリが利用できないため、「孫や子供とLINEを楽しめない」という声が多く寄せられたという。そこでシンプルスマホ2には、文字サイズを大きめに設定した独自バージョンのLINEアプリをプリインストール。さらにLINEプリペイドカードのプレゼントキャンペーンも実施し、有料スタンプの購入など一歩進んだ使い方にも触れてほしいとしている。

photophoto 商品の特徴(写真=左)。従来モデルから画面サイズをアップし、解像度も向上させた
photophoto バッテリー持ちも改善(写真=左)。LINEを始め利用頻度の高いアプリやサービスをキャッチアップし、独自の「旅の思い出」を追加した(写真=右)

 シャープの澤近氏はシンプルスマホ2ならではの機能として、「旅の思い出」アプリをアピールした。旅の思い出はその名の通り、カメラで撮影した写真をアルバムにまとめ、さらに撮影した場所を地図上にマッピングするアプリ。シンプルスマホ2が搭載する4.5型HD表示のS-CG Silicon液晶システムと800万画素カメラを生かすのはもちろん、撮りためた写真を自動でまとめてくれるのが魅力だ。

photophoto 「旅の思い出」アプリ

 またディスプレイが大きくなったことで、ブラウザや地図が見やすくなり、日本語入力も快適になったという。フィーチャーフォンライクなシンプルなメニューはもちろん、画面の気になる場所を拡大するズーム機能と文字サイズの拡大機能、タッチパネル操作に振動でフィードバックを伝える押し感タッチ機能など、ユーザー層にマッチする便利機能も継承。「スマホ初心者でも楽しく、簡単に使えることを目指して開発した」と製品の特徴を訴えた。

気になる日常のサポート体制 連続する“スマホ体験”をどこまでフォローできるのか

 温泉施設やツアー先でスマートフォンを体験してもらおうという、シンプルスマホ2の発売記念キャンペーン。購入者は500円相当のクーポンを繰り返し利用できるなど、旅行好き・温泉好きのシニア層にはマッチする取り組みといえる。これを機会にスマホに興味を持つ、あるいは実際に触れてみる人も増えるだろう。

 また通信料や端末料金を下げることで、「スマホは高い」というイメージを拭い去ろうとしている。しかしシニア層へのスマホ普及を本格的に進めるのであれば、旅先など非日常なシーンだけでなく、日常的なスマホ体験の提案と手厚いサポート体制の提供が重要だ。

 例えばNTTドコモのらくらくスマホ/らくらくホンシリーズは、無料の専用電話サポート「らくらくホンセンター」を設置。操作方法が分からなくなったら、問い合わせができる仕組みを用意している。一方シンプルスマホ2では、特に専用サポートは用意せず、通常の問い合わせ窓口で対応する予定だという。実際にそうしたサポートを使うか使わないかは別として、困ったときにその答えを専門に教えてくれる窓口の心強さは計り知れない。

 温泉の割引や限定ツアーとは違った形で、シンプルスマホ2“ならでは”のサポートやサービスを期待する潜在的なシニアのスマホユーザーも多いのではないだろうか。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2024年