MVNOのSIMを利用しつつ格安通話サービスを使って通話料を抑えようという企画の第3回目。これまでは「無料VoIPアプリ」と「050IP電話サービス」を試してきたが、今回は「楽天でんわ」「G-Call」「LINEでんわ」の3サービスをチェックする。
この3サービスは携帯電話と同等の音声品質でありながら、国内通話料が(旧プランの)半額以下ということで注目された。また、一部を除き、利用している携帯電話の電話番号が着信側に表示されるので、相手にはこれまでの電話と同じく自分からの電話だとわかり、コールバックしてもらえるのも利点だ。そこで、ここではこの3サービスを「090番号表示通話サービス」と呼ぶことにする。
今回紹介する090番号表示通話サービスは、その仕組みから2タイプに分けられる。楽天でんわとG-Callは、通話先の電話番号の前にプレフィックス番号を付けて発信する。これによって格安の電話回線を経由してつながり、電話料金が安くなるという仕組みだ。電話回線を使っているので、通話品質は携帯電話と同等だ。
一方、LINE電話は、無料VoIPアプリや050IP電話サービスと同様に、音声データがインターネットを経由して届けられるパケット通信を利用している。一般的にIP電話は遅延やノイズが多いといわれるが、LINE電話は「複数の大手回線事業者のプレミアム回線を採用し、通信量が多いことが見込まれる主要対地間の専用回線使用やOS・端末別最適化にも注力し、クリアで途切れにくい音声品質を実現」しているとし、従来のIP電話サービスよりも高音質で通話ができるとアピールしている。
通話し放題プランが各キャリアで始まっているので、通話をよくする人はそちらを利用した方がお得だが、MVNOの音声対応SIMを使って月々の携帯電話料金を抑えようとしているなら、090番号表示通話サービスは導入を考えてみるべきサービスだ。多くのMVNOの通話料が30秒20円(税別)で横並びのところ、30秒10円、あるいはそれ以下で通話できる。無料VoIPアプリのように無料通話とはいかないが、通話品質がよく、普通の携帯電話と同じ感覚で会話できる。050IP電話サービスと違って、相手にはいつもの携帯電話番号が表示されるので自分からの電話だとすぐ分かってもらえる。
楽天でんわとG-Callを利用するには、音声通話対応SIMが必要だ。LINE電話は、サービスの申込時にSMS認証をしてしまえば、データ通信専用SIMでもSMS対応SIMでも発信はできる。しかし着信には電話回線網を経由しているため、相手からの電話は受けられない。また、楽天でんわとG-Callは申し込む際にクレジットカード(一部デビットカード)の登録が必要だ。
本稿ではMVNOの音声対応SIMを利用するという想定だが、主要キャリアの契約でこれらのサービスを利用する場合、家族や同じキャリアの携帯電話を利用している相手にかける場合は注意したい。相手先に関わらず発信すべてに通話料がかかるので、家族や同一キャリア内の通話も有料になってしまう。ただ、楽天でんわのアプリは無料通話相手を区別する機能を搭載しており、無駄な通話料を払わなくて済むようになっている。
3サービスのチェックは前回同様、端末はドコモの「AQUOS ZETA SH-06F」を利用した。SIMは音声通話対応の「BIC SIM」を利用している。Androidアプリを利用して検証したので、iPhone版とは機能や操作が異なる部分があるのはご了承いただきたい。
楽天でんわは、相手の電話番号の前にプレフィックス電話の「0037-68」を付けることでフュージョン・コミュニケーションズの電話網を経由し、通話品質はそのままで30秒10円(税別)で電話をかけられるサービスだ。現在使っている携帯電話番号がそのまま相手側に表示されるので、相手はサービスの利用を意識することがなく、自分からの電話だと分かってもらえる。
基本使用料は発生せず、通話料だけが利用申込時に登録したクレジットカードでの後払いとなる。通話料100円(税別)につき楽天スーパーポイントが1ポイントたまるのが特徴で、楽天カードで通話料を支払うとポイントが2倍になる。
楽天でんわはフィーチャーフォンやPHSでも利用できるが、スマートフォン向けの「楽天でんわ」アプリを使うと、アドレス帳のデータが同期され、相手先を選ぶだけで自動的にプレフィックス番号付きで発信されるので便利だ。また、もともと無料で通話できる家族や同一キャリアの相手を登録すると、プレフィックス番号を付けずに発信する「無料通話リスト」の機能も備えている。
なお、楽天でんわは現在(2014年11月10日時点)、新規契約の先着10万人に、3分以内の通話なら何度でも0円でできる(3分を超えた場合は、それ以降30秒20円(税別)の通話料がかかる)特別プランを提供している。
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