「iPhoneは競合ではなく選択肢。Androidファンを増やしたい」 ━━「Nexus6」でメガキャリアとLCCに対抗するワイモバイル石川温のスマホ業界新聞(2/2 ページ)

» 2014年11月20日 12時00分 公開
[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」
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━━ 10月からPHSのナンバーポータビリティが始まったが、ユーザーの動きはどうか。

寺尾COO 外から見るとPHSの数字が大きく減ったように感じる。実際に何が起こっているかと言うと、PHSからNexus5など、中で大きく動いている。他社とのやり取りで行くと、我々のほうが少し勝っている。PHSも入れてですね。MNPの勝ち負けの数字を具体的には言えませんけど、勝ち負けでいうと我々のほうが勝ちベース。外から見たときにPHSの数が減ったように見えると思います。2Qもそうですし、3Qも大きく見えると思いますが、PHSからスマホにアップグレードされている方が多い。

 もともとPHSのお客さんがスマホに移行したいというので、障壁があったんだなと、改めて感じているところですね。

(★ キャッシュバックは減った今、MNPするよりも、ワイモバイルでPHSからスマホに乗り換えた方が賢明というわけですな)

━━ MNPで他社に勝っているのはどういったところが評価されているのか。

寺尾COO 我々、料金とかサービスを入れていますが、やはり一番強いのは料金なのは事実だと思います。お客さんにアンケートをお答えいただいても料金で、その次にサービスというのが出てきます。料金の安さというのはお客さんに強く受けている所だと思う。

(★ たいていのひとは基本料金で1回10分、300回までの音声定額で充分だろうし。大手3社の2700円プランを嫌い、iPhoneをSIMフリーで購入して、SIMカードのみの契約で、ワイモバイルを使うというユーザーも増えてきそう)

━━ 格安スマホ会社に流れているよりもワイモバイルなのか。

寺尾COO そうですね。実態はちょっとわからないです。調査をやっていて、動いてるのは事実です。格安SIMに留まっているのかわからないところです。

 ワイモバイルのお客さんでも、格安SIMと比較されて、結果、我々のところに入ってもらっているというデータも出ています。我々は音声も含めてワンパッケージで提供していますし、値段というのは価値との相対になりますので、そういう意味ではまだまだ競争力はあるのかな。

 先ほど、エリックも言ってましたけど、業界全体で切磋琢磨しながら、全体が成長していけば良いかなと。シェアという料金プランを作らせていただきましたけど、いろんなものがネットワークにつながってくるじゃないかと。

 そこを何とか狙っていきたいなと。10年前にパソコンにWi-Fiが入るなんて誰も思っていなかったじゃないですか。Wi-Fi入りのパソコンが5000円や1万円高かった時代だったが、いまでは当たり前になっている。

 そういう時代がすぐ来ると思うんですよ。その時に我々の料金はいろんな方がいろんなものをつなげる新しいサービスを作っていけるかなと。今日の断面だけをみると、格安のSIMカードと比べられますけど、我々はあらゆるものがネットワークにつながることを目標にして、新しい料金や新しいサービスを設計している。

(★ どんなデバイスにもSIMカードスロットがある、という時代が早く来ないかな)

━━ 楽天が格安スマホに参入してきたが、そこはどう見ているか。

ガン社長 直接大きな影響はいまのところわからない。楽天さんのやり方でマーケティングや商品など魅力がたくさんあると思う。我々も今回、Nexus6とかシェアプランとかパケットマイレージとか合わせて、魅力は十分にあるかと。充分、対抗できます。

(★ 楽天モバイルはネットのみで販売しているうちは脅威ではないと思う)

━━ シェアプランだが、端末単体で御社から販売するというのもあるのか。

寺尾COO 今回のMediaPadも単体で販売します。いままでは回線と端末をセットに売るケースがほとんどだったが、これからは端末だけ、外から持ってくるなど、いろんな組み合わせが出てくると思います。

(★ Nexus9も売ればいいのにと思ったが、どうやら「Nexus9はパソコン的な位置づけであり、家電量販店がWi-Fiルーターと組み合わせて売るのが望ましい商材」ということで、採用されなかったらしい)

━━ シェアプランで音声をサポートしなかった理由はあるのか。

ガン社長 もともと目的は一枚目のSIMカードは音声とデータ、スマホのSIMなんですけども、IoTの時代はデータ専用のSIMカードを広げてやりたいと思っています。もし、音声だったらもう1枚、2980円で加入することもできるし、シェアの場合はIoTの世界を広げたいと思っている。

(★ 家族を狙うのはドコモがやるべきだし、「家族丸ごとワイモバイル」という人も少ないことを考えると、妥当なプランかも)

━━ 7GBは少ないイメージもあるが。

寺尾COO ご利用状況を見ながら、LLとかキングLとか作っていくことになると思います。お客様の動向を見ながら、作っていくことになると思います。

(★ そのうち、10GBぐらいは必要になってきそう)

━━ カケホーダイオプションの加入率はどれくらいなのか。

寺尾COO 具体的な数字を申し上げるのはどうかと思うんですけど、それほど高くないです。

ガン社長 もともと基本料金に300回も入っているから、もう充分。商品力は魅力あるのではないか。たくさん使いたいお客さんはいると思うが、セット率は高くないと思っている。

寺尾COO ぜんぜん低いです。

(★ 300回で充分だと思う)

━━ PHSやWi-Fiルーターがスマホに乗り換えることで、ARPUは上がっているのか。

寺尾COO 想像の通りです。

━━ 相当、上がっている感じか。

寺尾COO そんなには。

━━ 収益的にはプラスに働いている感じか。

寺尾COO 大きな意味においてはそうですね。

━━ PHSは最終的には巻き取っていきたいのか。

寺尾COO あのー。巻き取っていくというか、ガラケーの市場規模が小さくなっていきますので、その受け皿としてスマホを提供していきますし、PHSはPHSとして、本当に安く、きっちり電話だけしたい人向けに当面、続けていくことになると思う。

 ただ、これが10年、20年先になったときに、PHSというシステムがいるかと言えば、これはまた別の話になる。もう20歳ですので、40年、同じシステムが続くというのは現実的ではないと思う。

(★ 確かに20年も持つ通信技術も大したものだ。この先、どれぐらいまで持つのだろうか)

━━ iPhone6が競合だと思うが。

ガン社長 競合より選択肢なんですね。OSは全然違う。ユーザーインターフェイスも違うし、Androidに慣れているユーザー、私の家族もそうですが、iPhone6に切り替えて、結構、使いにくいと思っているんですよ。ずっとAndroidのファンなんですけど、Androidのファンクラブを広げたいのは事実。iの世界じゃなくて、Aの世界もある。ユーザーに対する選択肢。カレンダーとか本当に使いやすいし、メールの連携やGoogleAppsとか。使い方が違うんですね。

 Android4.4とかエンジニア、技術は最高だが、ユーザーインターフェイスから見ると、使いにくいところもあった。今回、だいぶGoogleさんが頑張って、かなり大きな違いなんですよ。ぜひ使ってみてください。使いやすいんですよ。アニメーションもたくさん出て可愛いんですよ。

(★ 最近、AndroidがCMをしていて、防水とかテレビが見られるとか、さらっとiPhoneと比べての優位性をアピールしているのが面白い)

━━ ただで売っているiPhoneと比べると、毎月の利用料が安いのが魅力なのか。

寺尾COO トータルのコストパフォーマンスだと思います。大手さんは料金を高めに設定するか、バラバラにして、お客様の選びやすいようにするか、端末もハイスペックは高いですし、使いやすいものはそれなりの値段で出せるようになりましたし、選択肢が広がっているのではないかと思います。

取材を終えて

 シェアプランはとてもいいと思う。他社では子回線をひも付けるのに月額500円が必要だったり、基本料金が1700円だったりと「高い」というイメージしかない。

 しかし、ワイモバイルは7GBプランであれば無料で3枚まで追加できるのは魅力だ。MVNOと比べればちょっと割高かも知れないが、タブレットや余計に持っているスマホなどはワイモバイルのSIMカードで運用してもいいかとも思う。AXGP網も使えるわけで、iPad Air 2などにも最適なのではないか。

 Yahoo!との連携は、もうちょっと増えてもいいではないか。さすがに前回のタイミングでは時間がなかったので仕方ない。しかし、すでに体制も落ち着いてきているわけだし、「Yahoo!にしかできないサービス」を本格的に展開しないことには、楽天モバイルにも先を越されかねない。

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