スマホ、ウェアラブル、通信キャリア、MVNO――2014年に気になった私的トピックITmediaスタッフが選ぶ、2014年の“注目端末&トピック”(編集部田中編)(2/2 ページ)

» 2014年12月31日 18時00分 公開
[田中聡,ITmedia]
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通信キャリアでインパクトが大きかったのは「KDDI」

 2014年の通信キャリアで個人的に「面白い!」と感じたのはKDDIだった。ファブレット「Xperia Z Ultra」「G Flex」や独自スマホ「HTC J butterfly」「isai FL/VL」、クレジットカードを用いたプリペイド型の決済サービス「au WALLET」、予告通り発売にこぎ着けたFirefox OSスマホ「Fx0」など、auならではの端末やサービスを積極的にリリースした。3社が発表したVoLTEも、「シンクコール」「ボイスパーティー」といったau独自の機能も載せた。KDDIの田中社長は常々、「同質化の戦いから新しい価値を訴求したい」と述べていたが、2014年はそれを体現できたといえる。

photophoto au WALLET カード(写真=左)とFirefox OSスマートフォン「Firefox OS」(写真=右)

 ドコモは他社に先駆けて音声定額サービスを開始し、ほか2社も同じ料金体系で追随し、結果的に2014年の料金はドコモが引っ張った形になった。これは見事だったが、旧プランの新規受付を早々に停止し、毎月の利用料金から割り引く「月々サポート」も、新料金プラン契約者しか対象にしないなど、どこかちぐはぐな面もあったと感じる。選択肢を増やすはずの新料金プランが、逆に選択肢を狭めてしまったのは残念でならない。

 ソフトバンクは孫社長の宣言通り、2014年はまとまった製品発表会は行わず、孫社長のコメントが聞けるのは決算会見が中心になってしまった。目立った発表といえば、米Sprintと共同調達したAQUOS CRYSTALの発表会くらいか(しかし孫社長は登壇していない)。Pepperの発表もインパクトは大きかったが、モバイルの分野かと言われれば違う気もする。「スマ放題」「アメリカ放題」などの発表もあったが、大手3キャリアの中ではインパクトが不足していた感は否めない。ソフトバンク傘下のワイモバイルは、冬の発表で「シェアプラン」を打ち出して「Iot」を推進するなど(関連記事)、徐々に“らしさ”が感じられるようになった。

MVNOも“新しい価値の提供”が求められる

 2014年を語る上で「MVNOの台頭」は外せない。ITmedia MobileでもMVNO関連の記事にはかなり力を入れているが、正直ここまでプレーヤーが増えてくると、どのMVNOがどんなプランを出しているのか、我々でもよく分からなくなってしまう。料金、データ量、繰り越し、ターボ機能、速度制限の有無などで違いはあるのだろうが、回線はほとんどがドコモ、端末も大きな違いはなし……となると、この中から1社を選ぶのは至難の業だ。選択肢が増えることは歓迎したいが、むやみやたらに選択肢が増えるのも考え物だと思う。

photo 現在の主なMVNO

 例えばフリービットのように回線から端末、サポートまでを一貫して行うか、ケイ・オプティコムのようにドコモ以外の回線を使うか、はたまたキッズやシニア向けに独自の料金体系や端末を用意する(ここはキッズ/シニア向けスマホ開発の実績のあるシャープや富士通にがんばってもらいたい)……といったことをしないと、差別化は難しくなるだろう。もちろん、ネットワークとサポートの品質が重要なのは言うまでもないが。

 また、2020年の東京オリンピックの開催に向けて、今後は外国人向けのプリペイドSIMを扱うMVNOもさらに増えていくだろう。「TRAVEL JAPAN Wi-Fi」プロジェクトなど、訪日外国人向けにWi-Fiスポットや観光情報を提供するサービスも盛り上がっているが、Wi-FiスポットとプリペイドSIMをセットにしたサービスも登場している(ワイヤレスゲートが提供予定)。

 大手通信キャリアと同じく、MVNOも同質化が進みつつあるが、今後は“新しい価値”をどれだけ提供できるかも重要になってくるはずだ。

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