もう1つ、CESで顕著だったのが、スマートフォンで培われた技術を採用した製品の数々だ。目立っていたのが「スマートテレビ」。ソニーやシャープは、OSに「Android TV」を採用。一方で、Samsung Electronicsは自社が主導で開発を進めてきた「Tizen」を、テレビ用のOSとして活用している。パナソニックは「Firefox OS」を、LGエレクトロニクスは「WebOS 2.0」と、OSの状況はスマートフォン以上に乱立している格好だ。
こうしたOSを採用することのメリットは、いくつかある。テレビでスマートフォン用のアプリが動くのは、その1つ。スマートテレビは放送以外の映像配信サービスにもシームレスに接続できる。そこに新規のサービスを加えたければ、アプリをインストールするだけでよい。スマートフォン感覚で、新規サービスを簡単に増やせるのはメリットだ。また、CESでは、ソニーブースでAndroid用のゲームがテレビで動く様子を見ることができた。コントローラーを接続すれば、ゲーム機など追加の機器を接続する必要なくこうしたゲームを遊べる。
とはいえ、それ以上に大きいのは、これらのOSを採用した結果、ユーザーインタフェースが整理され、スムーズに動くことだろう。従来のテレビとは異なり、スマートフォンのような感覚で快適に必要なサービスを見つけ、それを使える。リモコンにはタッチパッドが採用され、ボタン操作が中心だった従来のテレビよりもスマートな操作が可能だ。iPhoneが登場したとき、まず注目されたのは、タッチパネルを用いたスムーズな操作感だった。その後、タッチパネルでの操作はまたたく間にスマートフォンのスタンダードになったが、Android TVやFirefox OS、Tizen、WebOS 2.0の採用が進めば、テレビの世界でもUIの変化が起きるかもしれない。
テレビと並んで、CESで大きなポジションを(物理的にも)占めていたのが、自動車だ。NVIDIAの「Tegra X1」は車載用を主なターゲットにしているほか、QualcommもAndroidを搭載したデモカーを展示。Samsungも「Gear S」で「BMW i」をコントロールするデモを行っていたりと、CESの会場はさながらモーターショーかと思える光景だった。ほかにも、Appleの「CarPlay」やGoogleの「Android Auto」に対応した製品が多数登場した。
このように、スマートフォンのテクノロジーは、携帯電話以外の分野へも波及しつつある。そしてそれらが相互につながるIoTの世界も見えてきた。以前から青写真は語られていたことだが、今回のCESでは、具体的な製品が多数登場したことで、そのリアリティも大きく増したように感じられた。もちろん、これらの製品のハブになるスマートフォンにも、引き続き注目していきたい。
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