こうした不満を解消すべく、AQUOS Kでは3つのポイントに着目して従来のケータイから進化させた。
1つ目が「最新のネットワークとデバイス」。下り最大150MbpsのLTEに対応するほか、プロセッサはクアッドコアCPUを積んだQualcommのSnapdragon MSM8926を採用。一般的なケータイのCPUと比べて、約4.3倍の処理能力を持つという。カメラもAQUOSスマートフォンと同等のものを備え、リアルタイムHDR、フレーミングアドバイザー、翻訳ファインダーなどを使える。ディスプレイはケータイとしては高精細なqHD表示(540×960ピクセル)対応の約3.4型(約328ppi)液晶を搭載。IGZOは搭載していないが、肌色や赤をよりキレイに見せる「PureLED」を採用している。
ディスプレイはタッチパネルには対応していないが、キー面に静電式センサーを使ってタッチパネルのようにスライド、タップ、ピンチの操作ができる「タッチクルーザーEX」を採用。すべての場面で使えるわけではなく、ブラウザ、カメラ、フォトビュワーなどで有効になる。
スマホユーザーの視点だとタッチパネルが欲しいところだが、「AQUOS Kは、フィーチャーフォンユーザーに新世代ケータイを届けたいというコンセプトで開発し、フィーチャーフォンとしてあるべき姿を目指した。タッチパネルやGoogle Playを前提にするのではなく、今のケータイユーザーが快適に使えるよう考えた」と中田氏は話す。
バッテリーの持ちが気になるところだが、ケータイとしては大容量な1410mAhのバッテリーを搭載し、連続通話時間は約620分、連続待受時間はLTE接続時で470時間を実現する。省電力性能に優れたCPUや、シャープがスマートフォンで培った省電力技術により、同社によると、従来ケータイ以上のスタミナを実現しているという。
2つ目が「オープンなインターネット環境」。AQUOS Kは標準でPCサイト用のブラウザを搭載しており、インターネット上のコンテンツを自由に楽しめる。FacebookやTwitterなどもブラウザで利用することになるが、「HTML5で作られているので、アプリと同じくらいサクサク使える」(シャープ担当者)という。LINEは専用アプリがプリインストールされる予定。EZwebは利用できないが、KDDIが「auスマートパス」でアプリを提供していく。通信面ではLTE/3Gに加えてWi-Fi接続も可能だ。
ケータイでは珍しく、スクリーンショットを撮れるのも特徴だ。電源キーとベールビューキーの同時押しで撮れる。
3つ目が「共通化された統合したプラットフォーム」。1〜2つ目とも関連するが、OSにAndroidを採用したのは「スマホで実現できたものを即フィーチャーフォンで実現できる」(長谷川氏)というメリットがあるため。LINEアプリもAndroidだから開発しやすかった面もあるのだろう。
フィーチャーフォンユーザーをターゲットにしているため、Google Playは搭載していないが、中田氏は「今後についてはいろいろな戦略を考えていきたい」とした。
シャープは2011年、ソフトバンク向けにダイヤルキーを搭載したスウィーベル型の端末「AQUOS PHONE THE HYBRID 007SH」やスライド型の「AQUOS PHONE THE HYBRID 101SH」を投入したが、これらはフィーチャーフォンと同じ形状はしているものの、中身はスマートフォン。投入する狙いもフィーチャーフォンユーザーをスマホへ移行させるためだった。AQUOS Kは、外観はもちろん中身も“ケータイ”。「これを待っていた」というフィーチャーフォンユーザーも多いだろうし、スマホユーザーの中にも魅力を感じてAQUOS Kに移る人も一定数いるだろう。
シャープが推している「エモパー」や「IGZO」搭載への期待も高まる。スウィーベルやスライドの形状も見てみたいし、画面が露出するなら三辺狭額縁のEDGESTスタイルにしても面白そう。ここ数年、スポットライトの当たることがほとんどなかったケータイが、今後どのように進化していくのか。その先駆けとなるAQUOS Kの動向を注視したい。
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