「auスマートバリューで優位に戦える」――KDDI田中社長が光回線とスマホのセット割にコメント

» 2015年01月30日 21時20分 公開
[田中聡,ITmedia]
photo KDDI 代表取締役社長 田中孝司氏

 KDDIが1月30日、2014年度第3四半期の決算会見を行った。

 2014年度第1〜第3四半期の営業収益は3兆3510億円、営業利益は5850億円で増収増益となった。営業利益は前年比で9.7%増で、代表取締役社長 田中孝司氏は「通期の2ケタ成長に向けて順調に進ちょくしている」と手応えを話した。

 第3四半期のau純増数は約78万件で、第1四半期の49万、第2四半期の58万を超えたほか、MNPの純増数も第3四半期が最高だった。auの通信ARPUは3460円。2014年8月に開始した新料金プランの影響で、前年比で0.2%の微増にとどまった。auスマートフォンの販売台数も拡大。auユーザーのスマホ比率は53%になり、うちLTEスマートフォンは46%を占める。

 「auスマートパス」の会員数も順調に推移しており、14年12月には1205万会員に達した。クレジットカードを用いたプリペイド型の電子マネーサービス「au WALLET」の申込件数は、1月12日に900万を突破した。

photophoto 14年度1〜3Qの業績(写真=左)。3Qの純増数とMNP純増数は共に増加している(写真=右)
photophoto 通信ARPUは新料金プランの影響で微増にとどまった(写真=左)。auユーザーのスマホ比率も伸びている(写真=右)
photophoto auスマートパスの契約数も順調に推移している(写真=左)。au WALLETの契約数は1000万目前に来ている(写真=右)

ネットワークは4G LTEとWiMAX 2+をダブルで強化

 今後は国内モバイル事業の競争力を高めるべく、ネットワーク、端末、料金、サービスの4分野で強化を図る。

photo モバイル事業で注力する領域

 ネットワークは4G LTEとWiMAX 2+の2種類を強化する。4G LTEでは、下り最大150Mbpsの通信に対応した基地局数が、14年12月に2万局を突破した。2015年度には下り最大225Mbpsとさらに高速化を図る。WiMAX 2+は3月から下り最大220Mbpsの通信サービスを提供し、まずはモバイルWi-Fiルーターが対応する。WiMAX 2+のエリアは、2015年3月にはWiMAXと同等の水準まで拡大する予定。

 VoLTEの対応機種も充実させ、冬春モデル合わせて5機種が対応した。auのVoLTE対応機種は3Gに対応しないが、4G LTEの人口カバー率は99%に達している。「プラチナバンドをベースに、広範囲でVoLTEが利用できる」(田中氏)

photophoto ネットワークは4G LTEとWiMAX 2+を強化していく(写真=左)。VoLTE対応機種も充実させていく(写真=右)

 スマートフォンの浸透率はau全体では53%だが、小学生と60代は28%にとどまっている。田中氏は「セグメントごとの対応が必要」(田中氏)と考え、ユーザー層を絞った端末やサービスを提供する。ジュニア向けには「miraie」、シニア向けには「BASIO」、ケータイユーザー向けには田中氏が「ガラホ」と呼ぶ「AQUOS K」を用意した。miraieとBASIO向けには専用の料金プランも提供する。スマートフォンの最新機種への買い替えを促進すべく、割賦の支払金を最大7カ月分、KDDIが負担する「アップグレードプログラム」も2月6日に開始する。

photophoto ジュニアとシニア層のスマホ浸透率は全世代と比べて低い(写真=左)。春モデルでは特定層に絞った機種を用意する(写真=右)
photophoto ジュニア、シニア層向けのサービスも用意(写真=左)。スマホの買い替えを促進する「アップグレードプログラム」も開始する(写真=右)

「シンプルで、しかも1人1人がお得」なのがau

 対象の固定回線とau携帯をセットで利用すると、au携帯の利用料金を毎月最大934円〜1410円割り引く「auスマートバリュー」は、auスマホユーザーのうち48%が利用しており、「未利用者に比べて解約率が低い傾向にある」(田中氏)のが特徴。また、auひかりの契約者の中では59%がauスマートバリューを利用している。

photo auスマートバリューの契約数はauユーザーの約半数に

 決算会見の前日にはドコモが、当日にはソフトバンクがNTT東西の光回線を利用した固定通信サービスと、スマートフォンとのセット割を発表した(セット割は「ドコモ光パック」と「スマート値引き」)。固定とモバイルのセット割は、KDDIがすでにauスマートバリューを提供しているが、ドコモ光パックとスマート値引きは、これの競合サービスといえる。

 田中氏は、ドコモ光パックやスマート値引きが、当面はKDDIの業績に大きな影響を及ぼすことはないとみる。「まだまだ、卸に関して具体的なルールが落ち着いているとは思えない。パブリックコメントの最中でもあるし、具体的なガイドラインが決まるのに時間がかかる。光の回線の上にはテレビや電話が付いて売られている。そういう人たちも含めて、卸になったらどうなるかという運用ルールがまだまだ整備されていない。当面は混乱が発生するのでは」と見解を述べた。

 ドコモとソフトバンクのセット割の内容については「あまり深く理解できていないけど、ざっと読む限りは……。当社が“思い”を持って2012年に始めたauスマートバリューには、そうやすやすと追いつかれないんじゃないかと思っている」と自信を見せた。

 ドコモ光パックは、固定通信とスマートフォンの料金をセットで割り引く仕組みを採用しているのに対し、auスマートバリューはスマートフォン側の料金を割り引くもの。田中氏は「固定側の回線を割り引くか、モバイル側の回線を割り引くは相当悩んだ」と話す。「本当にいろいろな調査をして、お客様はモバイルを割り引いてほしい(と思っている)という結論になった」ことから、携帯料金を割り引くことにした。

 家族でauスマートバリューに申し込んでも、1人1人に同じ割引額が適用される。家族間で月間データ容量を「シェア」するのではなく、0.5Gバイト単位で贈り合える「データギフト」を提供しているのも「お客さんが決められるように」(田中氏)するため。「シンプルで、しかも1人1人がお得……『SHO』です」と田中氏は即興で(?)新しい略語を用いながらauのメリットを説明した。

 「現時点においては、auスマートバリューは、シンプルで、それなりの割引額が入っているので、優位に戦いを進められるんじゃないか」と田中氏は自信をのぞかせる。一方、ドコモ光パックは割引期間に制限がないが、auスマートバリューの割引額が最大2年間(3年目以降は減額)であることについては「検討課題だ」とした。

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