UIと同じく、ARROWS M01では従来のキャリア向けARROWSにある機能の多くが非搭載だ。しかし、日本のユーザーには必要と思われる機能は厳選して搭載している。
その1つが伝言メモ機能だ。電話に出たくても出られないときに便利な伝言メモは、日本メーカーが率先して搭載してきた機能で、ARROWS M01にも搭載されている。音声通話対応の格安SIMカードは、センター保存式の留守番電話サービスに対応していないことが多いので、役立つ場面も多いだろう。
周囲の騒音に合わせて通話相手の音声を自動的に調整する「スーパーはっきりボイス4」や、2台のマイクを使って自分の声をより明瞭に相手に伝える「スーパーダブルマイク」といった富士通ならではの通話サポート機能も充実させた。スマホはあくまで携帯「電話」であるという富士通の意思の表れといえる。
画面の見やすさという点では、画面輝度を自動的に調整することで屋外での視認性を向上する「スーパークリアモード」も搭載した。ARROWS M01ではディスプレイに有機ELパネルを採用している。有機ELパネルは液晶パネルと比較すると色の再現性に優れ、より鮮やかな表示が期待できる反面、屋外での視認性で劣る傾向にある。スーパークリアモードを使えば視認性を向上できるため、外での使用が多い人にはありがたい機能になっている。
防水/防じん性能も忘れてはいけない。防水はIPX5/IPX8等級に、防じんはIP5X等級にそれぞれ対応している。突然の雨に降られても、水だめに誤って落としてしまっても、(本来の想定からは外れるが)風呂に入っているときでも安心して使える。
ARROWS M01のメインメモリは1Gバイト、ストレージは8Gバイトと、大手キャリア向けのARROWSと比べるといずれも少なめである。乗換案内などの実用系アプリやSNSを使う分には十分だが、音楽や動画を楽しむとなると少々心もとない。外部ストレージは最大32GバイトのmicroSDHCカードに対応しているので、別途microSDカードを買って音楽ファイルや動画ファイルはそちらに保存する、という方法でフォローできる。
外部拡張という観点では、USB機器を接続する「USB On-The-Go(OTG)」にも対応していることも見逃せない。2014年冬モデルでUSB OTGのサポートを復活したARROWSだが、このM01も例外ではなかった。通常形状のUSBコネクターを接続するにはアダプター類が必要になるが、仕事で使うUSBメモリ内のデータをM01で確認したり、ちょと長めの文章を書くときにUSBキーボードをつないだり、便利に活用できる。
無線LAN(Wi-Fi)はIEEE802.11a/b/g/nに対応。最大下り通信速度は150Mbpsでネットワークに不満はない。Bluetoothは「Bluetooth Smart」とも呼ばれるBluetooth 4.0に対応。最近話題のAndroid Wear搭載端末と組み合わせて使うこともできる。
また、Wi-Fi Directを利用した映像伝送規格「Miracast」もサポート。M01で映し出している映像をMiracast受像器に伝送できる。コンパクトなMiracast受像器もいろいろ出てきており、HDMI入力の付いたテレビやプロジェクターに受像器を接続させてもらってプレゼンをする、なんてこともたやすく実現できる。
SIMロックフリースマホのARROWS M01は、通信規格と周波数帯さえ対応していれば、いろいろなオペレーター(キャリア)のSIMカードを利用できる。M01の対応周波数帯は以下の通り。
LTE
2.1GHz(Band 1)/1.7GHz(Band 3)/1.5GHz(Band 21)/800MHz(Band 19)
3G(W-CDMA)
2.1GHz/800MHz
GSM
1.9GHz/1.8GHz/900MHz/850MHz
サポートするLTEと3Gについては、ドコモとの親和性が高い仕様だ。多くの格安SIM事業者はドコモから回線を借りているため、安心して使える。そのほかの事業者についても、一部の周波数帯が対応しているため、まったく通信できないということはない。
海外に行った際は、現地のSIMカードを使って割安に通信することも可能だ。先日海外旅行に出かけたが、M01は現地のさまざまなオペレーターのSIMが使えるため大活躍してくれた。国内外問わず、どこでも割安なスマホライフを送ることができる。
これまで海外端末が主流だったSIMロックフリースマホ市場。そこに国産代表として現われたARROWS M01は今までのARROWSとは異なり、素のAndroid端末に近付けつつも、日本市場に求められる最低限の機能をしっかり搭載したことが魅力である。価格は海外端末より若干高めな設定ではあるが、防水/防じん性能や伝言メモなど、海外スマホにはない機能があることを考えると、決して高い価格ではない。何より、MADE IN JAPANブランドに信頼と安心を求める人には一押しの製品だといえる。
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