インタビュー
» 2015年05月08日 11時04分 UPDATE

MVNOに聞く:バリュープログラム+3つの“し放題”で差別化を――「NifMo」の戦略を聞く (1/2)

ニフティがMVNOとして提供している「NifMo」は、当初からセット端末を販売し、ショッピングに応じて通信料に還元する「バリュープログラム」を提供。そして「3つのし放題」を打ち出すなど、独自色が目立つ。そんなNifMoの戦略を担当者に聞いた。

[石野純也,ITmedia]

 NTTコミュニケーションズやビッグローブなど、大手ISPが続々とMVNOに参入し、シェアを高めていく一方で、老舗のISPであるニフティはデータ通信の提供にとどまり、大きな動きがなかった。そんな中、同社が新たな通信サービスとして始めたのが「NifMo」だ。他社とは異なり、参入当初から端末とのセット販売を打ち出し、当時発表された「ZenFone 5」の取り扱いを開始。その後、2015年3月には富士通製の「ARROWS M01」も発売した。

 サービス面でも新規性を打ち出した。スタートと同時に始めたのが「NifMo バリュープログラム」。アフィリエイトの仕組みを毎月の利用料に還元するサービスで、もともと安価な料金をさらに抑えられるのが特徴だ。より初心者にターゲットを絞り、端末の保証サービスや訪問サポートといったオプションも充実させている。

 まだ詳細は発表されていない、IP電話を用いた音声定額も開始する予定だ。MVNOでも音声通話対応が一般的になる中、MNOとは異なり、定額プランが提供されていない。音声部分はMNOから卸で借りているため、ほぼどの会社も料金は30秒20円(税別、以下同)。電話の多いユーザーにはやや割高だ。音声定額はこうしたニーズに応えるものとして、注目を集めている。

 ほかにも、NifMoバリュープログラムをリアルな店舗に拡大。写真のプリントを定額で行うサービスと合わせ、「3つのし放題」をうたう。時系列で振り返るとNifMo開始からまだ半年もたっていないが、サービスは矢継ぎ早に打ち出している印象だ。そんなニフティでMVNO事業を担当するネットワークサービス事業部 MVNO推進部 丸山人詩氏、佐々木雅彦氏に、事業開始から今に至るまでの経緯や、今後の展開を聞いた。

新サービス「NifMo」を開始した理由

photo ニフティの佐々木氏

―― 最初に、MVNO事業を開始した経緯を教えてください。ISPという意味では、後発組に見えますが、何か理由があるのでしょうか。

佐々木氏 ドコモさんの音声サービスという意味では確かに2014年11月からになりますが、AIR-EDGEやWiMAX、データ通信のLTE「@nifty do LTE」は以前からあり、昔からインターネットサービスを提供しています。アナログの時代から光、モバイルと追っかけながらサービス自体はやってきています。家族で1台を光やADSLに使っていたときから状況が変化し、1人1台、場合によっては複数台の端末を使うようになってきた中で、音声サービスが受け入れられるようになり、市場環境が整ったことで2014年末にサービスの提供を開始しています。

―― NifMoは音声サービス以外に、ドコモとの相互接続でサービスを開始したという点で初めてになるのでしょうか。

佐々木氏 もともとの@nifty do LTEもNifMoも、ドコモさんとは直接接続せず、MNVEを介しています。設備を大きな会社と共有することで、コストの削減をしています。

―― ISPだと、MVNEをやられる会社も少なくないと思いますが、なぜMVNEを使ったMVNOという形にしているのでしょうか。

佐々木氏 1つはスピードというところに軸を置いたためです。すでにやられているところと組むのに優位性がありました。また、コンシューマー市場で求められているのはベーシックなサービスです。今のところ、自前でやるのは得策ではないという判断ですね。

―― 今のところということは、今後の可能性は考えているということですか。ちなみに、MVNEがどこなのかも、公表できるようでしたら教えてください。

佐々木氏 もちろん検討はしますし、可能性としてないことはありません。ただ、直近ではないですね。MVNEについては、一応非公開ということにさせていただいています。

―― サービスを立ち上げてからもう少しで半年になりますが、反響はいかがでしょうか。

佐々木氏 スマホとSIMのみ、両方を販売していますが、セット販売が非常に多いのが特徴です。音声通話を契約する方やMNPも多いです。そこを踏まえて見ていくと、詳しい人が2台持ちで契約するというより、メインの1台にする方が増えています。実際の利用者からの反応もいいですし、スマホも高いスペックのものを取り扱っていて、回線も大手と変わらないように使えるということで、ご満足いただけています。

丸山氏 市場全体で見るとまだSIMカードのみが多いと聞いています。一方で、NifMoはほとんどというとちょっと言いすぎですが(笑)、半分以上がスマホとのセットになっています。

端末は保証サービスにもこだわり

photo ニフティの丸山氏

―― 端末は2機種を出していますが、売れ行きはいかがでしょう。

丸山氏 お客様の属性が違うので一概には言えませんが、もともとスマホをバリバリ活用してきた方はZenFone 5を好まれるようです。一方で防水、防じんで国産がいいという方がARROWS M01に行かれるようです。どちらかというと、ARROWSの方が年齢層は高くなっています。

―― この2機種をラインアップした理由を、改めて教えてください。

佐々木氏 当初はZenFone 5から始めて、後にARROWS M01を導入しました。もともとはハイスペックを好まれるお客様が多かったのですが、国産や防水、防じんが欲しいというニーズが多かったこともあり、広くお客様のご要望に応えるという意味で取り扱いを始めています。

photo ASUSの新機種「ZenFone 2」や、富士通の防水スマホ「ARROWS M01」をセットで販売している

―― 割引や割賦販売などにも積極的ですね。

丸山氏 24カ月、200円ずつ割り引く「機器セット割」を行っています。SIMカードだけを渡されてもどう使えばいいのか分からない方が多いので、そういう参入障壁はできるだけ取り払いたいと考えています。ここでは正直利益を取らなくてもいいという割り切りでやっています。うちの強みは、回線でストックビジネスができていることですから。

―― 保証も当初から充実していました。

佐々木氏 初めてスマホを持つお客様が多いですからね。フィーチャーフォンをお使いだったりして、これからスマホを使う方が多い。ISPの既存サービスでもそうですが、世の中のお客様はサポートを手厚くすることを望まれています。大手キャリアのように店舗は持てませんが、一方で私たちは以前から店舗を持たずにサービスを提供してきました。その分、保証やレクチャーのようなサービス、出張サポートを整備してきたのです。

―― つまり、ISPのときと同じように、リアルな店舗がない分だけサービスを充実させているということですね。

丸山氏 はい。保証については、ヤマト運輸さんのグループ会社であるヤマトマルチメンテナンスソリューションズさんとやらせていただいています。運送をやられているので、場合によっては端末が壊れてから2時間ぐらいで代替機をお届けできるのが強みです。通常は2日以内ですが、都内であればさらに短い時間でお届けすることが可能です。

―― 今、3つの料金プランを出されていますが、割合はいかがですか。

丸山氏 市場全体で3Gバイトが多いということで、やはりボリュームゾーンはそこになりますね。もちろん、もともとキャリアでフルに使ってきた方が移られると、3Gバイトでは足りず、5Gバイトや10Gバイトのプランを契約する方もそれなりにいらっしゃいます。

―― 音声通話のあり、なしも選べますが、やはりありの方が多いですか。

丸山氏 音声通話ありの比率がかなり高いのは見えています。さらに、MNPしていただく方も、それなりの比率になります。

―― MNPだと、現状回線の切り替えをしてから輸送するため、電話番号が使えないブランクが生まれてしまいますが、それでも多いのはすごいですね。

丸山氏 ですから、今来ている方は、本当に覚悟されている方だと思っています。ご指摘の部分はやはり私たちの課題で、まずはヨドバシカメラさんのカウンターに、即日開通の仕組みを入れるようなことはやっていきます。また、今だと3日間は回線が止まってしまいますが、これをいかに短くできるかの努力はしていて、もうちょっとはいけると思います。

―― ヨドバシさん以外で、リアルな店舗との取り組みがあれば教えてください。

丸山氏 何社から量販店さんとはやっていて、継続して調整しています。ただ、現状ではドコモさんのMNPの仕組みがMVNOに対して厳しいのではと思います。エアでアクティベーションする仕組みができれば、MNPがより一般化するのではないでしょうか。

―― 確か、au系のMVNOにはそういう仕組みが導入されていますね。

丸山氏 それが理想です。

―― それとは別に、ニフティさん自身でショップを持つことはないのでしょうか。

丸山氏 当初の構想にはありましたが、まずはサービスを立ち上げるところに時間がかかっています。ただ、構想がまったく消えたわけではありません。ニフティも実は店舗を持っています。「東京カルチャーカルチャー」という店舗ですが、そういうところにブースを置けば、立派な小売店になります。今後もそういう展開がないわけではありません。

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