ニュース
» 2015年05月25日 22時06分 UPDATE

KDDI研究所、60GHz帯通信とLTEを協調動作させる通信方式を開発――WTP2015へ出展

KDDI研究所は、60GHz帯とLTEが協調動作してデータを転送する新たな通信方式を開発。また、5月27日から開催となる「ワイヤレス・テクノロジー・パーク2015」へも出展する。

[エースラッシュ,ITmedia]

 KDDI研究所は、5月25日に60GHz帯通信とLTEを協調動作させる新たな通信方式を開発したと発表した。

 これまで60GHz帯の電波は1Gbps以上の広帯域伝送路を提供できる一方、遠くまで電波が届きにくかった。これに対し、LTEを協調させて60GHz帯の高速回線を十分に活用できる通信手法を考案。実際にAndroid搭載端末上で動作させることに成功し、難しいとされてきた移動通信サービスへの応用が期待できるという。

 また、5月27日から29日まで東京ビックサイトで開催される最先端無線通信技術の展示会「ワイヤレス・テクノロジー・パーク2015(WTP2015)」へ出展。60GHzでの新たな通信方式に対する取り組みや車両内のミリ波構築技術、低コストで設置できるBLE(Bluetooth Low Energy)とスマートフォンのセンサーを用いた屋内測位技術について展示する。ブース番号は15-2-7。

Photo KDDI研究所の展示ブースイメージ

リリース本文

 以下、リリースの本文です。

研究の背景

モバイルトラヒックの急増により、周波数資源が不足しており、より高周波数帯の利活用が必要とされています。特に各国で研究が進められている第5世代移動通信方式(以下、5G)が目指す性能を実現するために、ミリ波帯に関する研究開発が活発になされています。しかしながら、高周波数帯の電波は減衰が大きく、遠くまで電波が届きにくいことから、広いエリアをカバーすることが難しく、移動通信サービスでの利用が難しいとされてきました。この課題の解決策として、LTEのような広域通信により補完する方法が考えられますが、現在インターネットで広く用いられているTCP/IP通信においては、通信を始める前の処理時間がかかるため、高周波帯通信とLTEの切り替えに多くの時間を要し、継続的な通信ができないという課題があります。また、ユーザが体感する通信速度は、エンドーエンドでの回線品質に影響されるため、基地局とインターネットを結ぶ有線区間の回線速度が原因で、十分な通信速度を得られないという課題もあります。

技術的詳細

上記の課題を解決するため、60GHz帯通信とLTEを協調動作させる通信方式を開発しました。その技術的ポイントは以下の2点になります。

  • ユーザが今後必要とするコンテンツを”先回り”させるシステムの開発
  • 新しいネットワークアーキテクチャ技術として研究が進められているCCN (Content Centric Networking) 技術※2を使用

60GHz帯のエリアに入ってから通信を確立するための制御信号のやり取りを行っていたのでは、エリアに入ってすぐにデータ転送ができないという課題もあります。これに対して、LTEエリアであらかじめユーザが到達するであろう60GHz帯エリアを予測し、必要なコンテンツを先回りダウンロードさせることにより、ユーザが60GHz帯エリアに入ってすぐにダウンロードが開始できます。

CCNは、ネットワークの役割をサーバとの間の接続から、コンテンツの取得に変えようという考え方に基づいた技術です。すなわち、これまで複数ネットワークを利用する時に問題となっていた、サーバとの接続性やネットワーク間の切替えが必要ありません。これにより、60GHz帯とLTEとで最適なデータ転送をシームレスに結合することを可能としています。さらに、ネットワークが現在転送している「コンテンツ」を知ることができるようになり、それに基づいて先回りさせるコンテンツを容易に決定することができます。

Photo

今回の成果

今回、前述の新しい通信プロトコルを設計し、LinuxR OSならびにAndroidTM OS上に実装いたしました。また、CMOS LSI[1]を用いた60GHz帯ミリ波無線プロトタイプ[2]を使用して、LTEと60GHz帯を協調させて動画のダウンロード再生ができることを確認いたしました。

これにより、60GHz帯とLTEをユーザが意識することなく利用できるため、動画など大きいサイズのコンテンツをダウンロードする際の終了時間の短縮とともに、LTEのトラヒックの60GHz帯へのオフロードを実現し、今後モバイルトラヒックが増加した際においても、LTEネットワークの混雑を避け、快適なネットワークを提供できることが期待できます。実機を用いた検証試験の結果では、ダウンロード時間をLTEのみを使った場合と比較して5分の1以下にまで削減し、LTEのトラヒックを最大約90%、60GHz帯にオフロード可能であることを確認いたしました。

なお、本実験結果は、東京ビックサイトで開催されるワイヤレステクノロジーパーク(WTP2015、5月27日 (水) 〜5月29日 (金)) において、デモンストレーションを行う予定です。また、今後関係機関と連携し、2016年度上旬に大規模な実証実験を予定しており、実用化に向けた検証を行う予定です。

Photo

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.