ディスプレイには製造メーカーを見分ける特徴がいくつか存在する。その1つが“アライメントマーク”である。液晶ディスプレイは複数のガラスを重ねて作るため、ガラスを重ねる時にずれないよう目印を付ける。この目印の形状がディスプレイメーカーごとに異なり、場合によっては工場まで特定可能な場合がある。
Z4はソニーの端末なので、同社が日立ディスプレイと東芝モバイルディスプレイと合弁で設立したJapan Display(JDI)製であると予想していた。事実Z3まではそうであった。しかし今回のアライメントマークを見ると、どうもJDIのマーキングとは違う。そこで液晶パネルの裏側の刻印を調べてみたところ、台湾のAU Optronicsの型番と一致した。恐らくJDIとAUOのパネルを併用しているのだろう。
これは大変興味深い点だ。モバイル分野でのAUO製液晶パネルは日本や韓国に続く2番手的な存在と見られていたが、最上級モデルに採用されたとなると、同社のクオリティが先頭集団に追いついたことを意味する。
日本のパネルメーカーはこれまで、圧倒的な性能上の優位性を誇っていたが、今や同じ土俵で勝負をするメーカーが増えている。あくまで推定だが、性能や品質が同じである場合、JDI製パネルよりもAUO製パネルの方が廉価と思われ、コストダウンを実現した可能性が高い。
Z4が採用した米Qualcommの8コアプロセッサSnapdragon810「MSM8994」には、現時点で2つのバージョンが存在する。最初の製品は発熱や消費電力の問題を抱えていたといわれ、第二世代として導入されたのがMSM89094のバージョン2である。
しかしこれも発熱問題などを抱えており、2015年秋には改善を施したバージョン3がリリースされる。そのためバージョン2の価格は下げられ、通常は20ドル程度するプロセッサが15〜18ドルで調達できたと見られる。これもコストを下げる要因の一つとなったは間違いなさそうだ。
auのウェブサイトによると、本機は8つの通信周波数帯に対応する。サポートする周波数の数に合わせて、自動的に増える電子部品がいくつかある。それは特定の信号だけを通過させるフィルタ、アンテナ共用のためのデュプレクサ、ノイズ対策用のMLCC(積層セラミックコンデンサ)などである。
基板面積が限られている場合には、これらの部品を超小型基板に超高密度実装してからメイン基板に搭載することが多い(外観は1つのICに見える)。コンパクト化の効果は絶大だが、モジュールの加工費が別途必要で、一度モジュール化するとバラして再利用できず、コストアップの要因にもなる。
しかしZ4はディスプレイが5.2型と大きく、筐体サイズも大きいため、基板面積にもゆとりがある。このためこれらの電子部品はモジュール化されず、メイン基板上に直接実装されている。
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