“完成形”は“究極の集大成”に――「Xperia Z5」メディアラウンドテーブルIFA 2015(2/2 ページ)

» 2015年09月08日 23時00分 公開
[井上翔ITmedia]
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質疑応答

 一通りの説明が終わった後、ラウンドテーブルに参加した報道陣との質疑応答が行われた。世界初の4Kディスプレイを搭載するXperia Z5 Premiumを中心に、さまざまな質問が寄せられ、それに伊藤氏が答えた。主な質問と、その回答は以下の通り。

―― Z5 PremiumでHDR(ハイダイナミックレンジ)表示はできるのか

伊藤氏 今回展示しているBRAVIA(テレビ)は対応しているが、Z5 Premiumは対応していない。我々はソニーの(技術的)アセットをどのようにスマホに適用するか、ということをテーマとしているので、今後の検討課題となる。

※筆者注:テレビ(映像出力機器)における「HDR」は、高コントラスト(明暗差)映像を映し出す規格のことで、カメラにおけるHDR(高コントラスト撮影)とは意味合いが異なります

―― スマホ版の「NETFLIX」は上限解像度がフルHDだと思うが、(Z5 Premiumでは)それをアップスケール表示するということか。直接4Kで配信することはないのか。

伊藤氏 4K配信は、サービス側の(コンテンツとアプリの)準備もあるが、(マシン)パワーの兼ね合いもある。現状では、フルHDのコンテンツを受け取って、アップスケールして4Kで見る、という組み合わせが最適だと考える。

―― 熱対策は大丈夫か。

伊藤氏 Z4以降、いろいろご迷惑をお掛けしている部分でもある。いろいろな角度からの精査を行い、Z5シリーズではハード・ソフト両面で手を入れて、心配のいらないところまで最適化できたと思っている。

―― USB端子に「Type C」を利用することは検討しなかったのか

伊藤氏 我々は、新しい技術を常に追いかけて、的確な導入時期を検討している。Z5シリーズのタイミングでは、ボディのサイズ感や防水性能などのパッケージの面で“まだ”であると判断した。

―― 3機種を一気投入したのには意図があるのか。

伊藤氏 もともと、フラッグシップモデルと、そのコンパクトモデル、という2機種展開を考えていた。

 ユーザーの動向を見ると、今までは「Latest(最新)」で「Greatest(一番すごい)」技術をどんどんスマホに押し込む、という方向が見えている。しかし、スタミナ(バッテリー持ち)、テクノロジー、高画質といった普段使いをする上でのバランス感覚を、フラッグシップでも求められるようになった。(ベースの)Xperia Z5はそこを狙ったモデルだ。

 一方で、ソニーの中で培った「これは入れたい」という新しい技術はどんどん出てくる。今は“一歩先”でも、今後スタンダード(標準)になっていくものを展開する場所として、もう1ランク上の最上位機種であるZ5 Premiumを用意した。

―― コンパクトモデルが欧州を中心に支持を集めている、という話が(ラウンドテーブル中に)何度かあった。日本が一番コンパクトモデルの需要が高いと思っていたので意外だ。

伊藤氏 (コンパクトモデルは)欧州で特に人気が高い。大画面への好みは地域差が大きく、アジアではどんどん大画面化が進む傾向にあり、欧州は一番いいカメラが入っていながらフットプリント(占有領域)が小さくて持ちやすい、という理由でコンパクトモデルが人気だ。日本は欧州と同じような傾向で、ベースモデルとコンパクトモデルがちょうど半分ぐらいになっている。

―― (コンパクトモデルが人気なのは)価格の面もあるのではないか。

伊藤氏 Xperia Zシリーズのコンパクトモデルは、プレミアムな商品として提供していて、(スマホ全体の中では)決して安い価格帯ではない。プレミアムな体験を、どのサイズで楽しむか、という軸で(支持を受けていると)考えている。

―― Z5 Premiumは(名前の通り)“プレミアム”な価格になるのか。

伊藤氏 価格については今日お答えすることはできない。ただ、より幅広い人に楽しんでもらいたいので、(Z5と比べて)倍の価格になる、ということはない。

―― Z5 Premiumの5.5型、という画面サイズは4K解像度に合わせたものか。

伊藤氏 そうです。2つ理由があり、Z5と比較して倍の画素密度(ppi:ピクセル毎インチ)を実現したかったことと、片手で持ちやすいサイズ感にこだわったことにある。

―― ここまで来たら、4Kモデルを「Ultra」にしても良かったのではないか。

伊藤氏 いろいろな画面サイズを検討していて、Ultraについても「次はまだか」という話を何度も聞いている。いつかはまた(Z Ultraシリーズを出したい)、という思いはあるが、今回のZ5 Premiumでは、より幅広い方に使ってもらうために、より使いやすいサイズ感にこだわった結果、このサイズになった。

筆者注:「Ultra」とは、約6型のディスプレイを持つ「Xperia Z Ultra」のこと。この機種は、スマホとタブレットの中間(いわゆる「ファブレット」)のサイズ感が、一部の熱狂的な支持を集めた。海外では、「Xperia C5 Ultra」というUltraを名乗るモデルが新たに登場したが、「Xperia C」シリーズは新興国市場向けなので、現時点で日本で販売される予定はない

―― Z5 Premiumで4Kを感じられるシーンは。

伊藤氏 4Kで(動画や写真を)撮って、4Kで見ると、一番最適化された表示になるので、それが一番体感しやすい。過去のコンテンツやYouTubeなどをアップスケールで表示すると、今までと全く違う画質で見られると思う。肉眼ではフルHDと4Kの見分けが付かない、という指摘もあるが、写真の奥行き感や空気感まで含めて評価の声をいただくこともある。4Kという数字にこだわらず「一番いいクオリティ」で映像に集中できることが、(Z5 Premiumの)最大のメリットであると考える。

―― Xperiaの新機種の投入サイクルを見直すという話があったと思う。今回の3機種は今後1年間のフラッグシップモデルである、と考えて良いのか。あるいは、半年後にさらなるフラッグシップモデルが出てしまうのか。

伊藤氏 フラッグシップモデルの投入サイクルについては、延ばしていくことを基本に考えている。ただ、新しいテクノロジーが利用可能になるタイミング、あるいは事業者(キャリア)との話がうまくかみ合ったときには商品展開したい。Z5は、カメラ、ディスプレイ、オーディオの進化がかみ合ったところで出てきたものだ。

 ただ、基本方針としてフラッグシップモデルを必ず半年ごとに出す、ということは考えておらず、少しずつ(モデルの)ライフサイクルを延ばしていきたい。あとは、お客さまの声も聞いていきたい。

―― グローバル機をそのまま日本で売る、という考えはないのか。

伊藤氏 今のところは、キャリアと一緒にXperiaブランドを盛り上げていく、という方向で考えている。また、日本の場合はFeliCa(おサイフケータイ)もあるので、全くそのまま(グローバル機と)同じ仕様で、というのも(市場の需要を考えると)難しい。

―― ブランドとして「Xperia Z」は続けていくのか。

伊藤氏 プレミアムスマートフォンとしては途切れることはないと思う。Z5シリーズは、Z1からの“集大成”、もっと言えば“究極の完成形”、あるいは“究極の集大成”だと思っている。この究極の完成形が、次のXperiaへの架け橋になると考えている。

取材とラウンドテーブルを終えて

 筆者も含めて、IT関係のライター・編集者・ジャーナリストにはXperiaユーザーが多い。そのため、ラウンドテーブルでは、非常に熱心な質問が相次いだ。また、展示会場では、一般来場者も加えて、Xperiaコーナーに非常に多くの人が押しかけていた。

 現在、日本メーカーのスマホで、世界市場で善戦している唯一の存在がXperiaである。IFA 2015のソニーブースを見ていると、「日本も忘れられていないのだな」という思いが何となくわき上がってくる。

 「Xperia Z5」シリーズは、伊藤氏が「究極の完成形」と言っているように、Xperia Z4(Z3+)で問題になっていることをほぼ解消している上に、メインカメラの刷新、指紋認証センサーの搭載、ノイズキャンセリングとハイレゾ再生の両立、Z5 Premiumに限れば4Kディスプレイへの挑戦といった技術的な新機軸を、ユーザーが使いやすいように取り込んでいる。

 見た目からすると「変わり映え」を感じにくいXperia。しかし、中身は時代とともにしっかり進化していて、ユーザーにもそれがしっかりと伝わっていることが、Xperiaブランドの強みなのかもしれない。

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