新型iPhone発売に向けて、各社のアピール合戦が続いている。
15日、NTTドコモはネットワークに関する説明会を開催。今回のiPhoneから2GHz(最大112.4Mbps)と1.7GHz(最大150Mbps)のキャリアアグリゲーションに対応し、最大262.5Mbpsの速度で通信が可能になる。
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2015年9月19日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額540円)の申し込みはこちらから。
他社はすでにiPhone 6でもキャリアアグリゲーションを訴求していたが、NTTドコモでは1.7GHz帯のみでの150Mbpsとなっていた。
今回から晴れてキャリアアグリゲーションが実現でき、さらに国内最速となる262.5Mbpsになったことで、アピールしたかったのだろう。
ただ、iPhone登場時のエリアや速度の比較は、すでに「お腹いっぱい」という感もあり、昔に比べると注目度は低くなったように思える。
数年前は、iPhoneでの速度やエリア、それこそauのiPhoneであった○印問題など、ネットワーク品質は話題に事欠かなかった。週刊アスキーを筆頭に、「どこでソフトバンクが速かった」「エリアの広さならau」といった調査記事であふれていた。
そのなかには、いま注目を浴びている「ステマ記事」も数多く紛れており(キャリアが媒体に調査をさせ、良い結果だけを抜き出してトップ扱いにして記事化など)、あまりに記事が多すぎて、どれを信用して良いかわからない状況になっていた。
結果として、読者がエリア調査比較記事に飽きてしまい、またステマ記事ということで信頼性もなく、さらにステマ記事が追放される昨今の風潮もあることから、いつのまにかiPhoneのネットワーク比較記事は廃れていったのだった。
今回、NTTドコモがキャリアアグリゲーションを開始し、KDDIやソフトバンクでもTD-LTEのキャリアアグリゲーションに対応できるなどの進化はあるものの、ネットワーク比較記事がどこまでユーザーに響くかは未知数と言わざるをない。
「どれも大して違いないでしょ」とか「もう、どこでもそこそこ快適に使えるからいいじゃん」といったように、ネットワークの同質化がすっかり定着してしまい、キャリア選びの選択基準にはならなくなってきた。
そんな逆境のなか、NTTドコモが262.5Mbpsをどのようにアピールするか、手腕が問われている。
そんななか、次の競争軸は料金に移行してきた。
KDDIが1700円のスーパーカケホを発表したが、ソフトバンクとNTTドコモも相次いで追随。
KDDIとしては、ライバル2社の追随は予想してたものの、もうちょっと時間的に遅れるかと思っていたようだ。特にソフトバンクがその日のうちに対抗策を打ってきたのには相当、驚きを隠せなかったようだ。
他社が1700円と5GBを組み合わせなければならず、実質、値上げになるのに対し、KDDIは3GBから組めるという点が、数少ないメリットとなっている。
「昨年、カケホーダイを先に発表したNTTドコモにリベンジする」と誓った田中プロ。他社にあっさりと追随を許したが、今後は「3GBで組めるのはKDDIだけ」というのをアピールして、iPhone発売を迎えるようだ。
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