―― 端末は、年間通しで売っていくものになるのでしょうか。
中馬氏 Wi-Fiタブレットは2年やって45万ぐらいで、これは1年周期でアップデートしています。テクノロジードリブンではなく、サービス、サポートドリブンなので、新しいものをどんどん出すのは難しい。マチュア(成熟した)ものだけを扱っていく方針で、ラインアップで勝負するのとは、むしろ真逆です。
ただし、アプリのバージョンアップも必要だし、1年に1回はOSのメジャーバージョンアップもあります。最低でも1年おきにラインアップを変えていかないと、最新のOSには追いつけません。そういうことをやらないというのであればガラホを選ぶ選択肢があったのかもしれませんが、僕らがやりたいのは、あくまでスマホです。
―― そのような中で、最新技術であるVoLTEに対応した理由は、どこにあったのでしょうか。
中馬氏 一番大きいのが、やはり音質です。年齢層が高く、音声通話も比較的使われるセグメントを狙っていたからです。端末をツインマイクにして感度を向上させるなど、テクニカルなやり方はありましたが、VoLTEにすれば音声がクリアになるのは明確な事実です。将来的にはauもVoLTEにシフトする方向が見えていますし、拡張性を考えても、1xが残るよりはピュアVoLTEにした方が、今後の端末の選択肢も多くなります。
―― 防水端末も追加すると予告していましたが、こちらは違ったユーザー層を狙っているのでしょうか。
中馬氏 基本は2つのスタンダードなモデルでやろうと思っています。僕らは世帯のサービスで、家族にはいろいろな方がいます。携帯電話は個人のサービスなので、年齢層はさまざまになりますからね。そういうところを狙っています。
―― 確かに、若者だと普通のスマートフォンの方がいいと言いそうですからね。
中馬氏 ただ、韓国だと半分は20代、30代に売れているというデータもあります。俗に“Galaxy疲れ”といわれていた、もうちょっと自然にケータイを使いたいということで持っているようです。だから、僕たちも、あまりこうだと決めてかかってはいません。
―― 韓国でも、スマートフォンからの揺り戻しがあるということですね。発表会のネットでの反響を見ていると、ガジェット好きからも欲しいという声は挙がっていました。ただ、単体販売はしないんですよね?
中馬氏 SIMロックもかかっていますし、料金設定も含めて、テレビを使っている人でないと、オンデマンドサービスを受けられません。ですから、魅力が半分になってしまうんです。おまかせサポートに入っていただければ、ご自宅に駆けつけることもできますが、単体販売だとそれもできません。J:COM MOBILEの良さをご体感いただけるには、やはりフルサービスに入っていただきたいという考えです。
―― エリア外で契約できない理由も、そこにあるのでしょうか。
中馬氏 はい。何が起きるかというと、テレビがないので、まず魅力が半減してしまいます。オンサイトサポートもできず、さらに魅力は半減です。できなくはないのですが、クオリティが十分出せないものはやらないというのが、うちのポリシーです。
今、オンデマンドサービスはテレビのオプションになっていますからね。あくまでテレビセントリックになっているので、必然的にエリア外だと提供はできません。ただ、ここはもう少しに柔軟にやってもいいのかなと思っていますので、世の中の動きを見ていくつもりです。
―― 生放送が見られるのは魅力なので、テレビがなくても契約したい人はいそうですね。
中馬氏 プロ野球でいえば、今年(2015年)12球団がようやくそろいました。コンテンツも今、急激に拡大しているところです。ただ、J:COMはもともとブロードキャストベースの会社で、固定インターネットを提供しているとはいえ、ユニキャストのトラフィックにはあまり慣れていません。オンデマンド系のサービスについては、慎重にやっているところです。モバイルだと、さらに考え方が変わってきますからね。どういう風に負荷分散するのかまで考え、丁寧に広げていき、今回は満を持してモバイルサービスを始めるところにこぎつけました。
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