―― スマートフォンの機能は成熟してきて、端末での差別化が難しくなってきています。ドコモとしては、どのように差異化を図っていくのでしょうか。
加藤氏 やっぱりその上で動くサービスですね。dマーケットが中心になります。また、私どもは「共創」と言っていますけど、これからいろいろなところとコラボレーションしていきます。スマートフォンとネットワークの中でできることはたくさんあると思っているので。
―― 直近では「すきじかん」が印象に残っています。加藤社長も力を入れてプレゼンされていました。
加藤氏 私ぐらいの年代……シニアは、ある程度活動の時間やお金もあるような方々です。言葉として当たっているかは分かりませんが、これまで企業戦士として頑張ってきて、日本の成長を支えてきた方は時間がなかった。「あれもやってみたかったなぁ」なんてことが、たくさんあると思うんですよね。
「そば」は、「今さらそばかよ」と実は思っていたんですけど、やってみると奥深くて楽しいんですよ。教えていただいた先生の指導が良かったです。先生がおっしゃったのは、「僕は、ものを覚えることが、なかなかできないんです。人が1回でやることを、3度も5度やるんです。だから、教えるのが上手ですよ」――。まさにその通り。他の人生観や自然観も、なかなか奥深い。それがそばというところにも表れている気がしました。
―― すきじかんは、ドコモショップでも案内します。また、ドコモショップで生命保険を扱うことも発表しています。今後はショップの役割も変わってくるように思えます。
加藤氏 今もdマーケットを中心に(ショップでも)やらせていただいていますけど、そういうことになっていくと思いますね。
―― スマホ時代になって、ショップの回転率が悪くなっていると聞いています。
加藤氏 説明することが、わりと多くなってきますから。これをもっともっと効率化できないかなと思っているんです。
―― そこに保険やすきじかんなど、別の説明が入ると、スタッフの負荷も増してしまうのではないでしょうか。
加藤氏 携帯電話と保険のラインは別にしようと思っています。ただし、すべての窓口で保険をというわけにはいかないので、これから試行錯誤ですけどね。
―― 人員もさらに増やしていく。
加藤氏 そういうことですね。それ(保険)専用の方は資格も要りますし、まずはそういうスタッフを育てる必要があると思います。
―― 12月から、いよいよdポイントが始まります。KDDIはau WALLETカードを展開し、ソフトバンクはTポイントとの連携を進めていますが、どういう軸で競争していきますか。
加藤氏 幅広くオープンなものにしていきたい。いろいろなところとコラボレーションしたいですし、提携企業も増やしたい。よく見ていただくと、条件もいいと思います。そもそも、iDやDCMXのクレジットカードを(事業として)持っているのが基盤になっていますから。単なるTポイントとはちょっと違いますよね。ドコモのお客さんでなくても使っていただけます。
―― クレジットカードとポイントサービスが統合されるとあって、なかなかサービスの全容を理解するのが難しいとも感じます。
加藤氏 難しいと思います。だから、キャンペーンをやりながら認識していただきたいと思います。
―― 他キャリアのユーザーにも使ってもらう狙いは。
加藤氏 オープンなものにしたいから。dマーケットのサービスも他キャリアの方に使っていただけます。
―― dポイントを使える加盟店をどこまで増やしていけるかもカギを握っています。
加藤氏 ガンガン増やしていきたいと思います。
―― 店舗数の目標はあるのですか。
加藤氏 それは特に。100だとか、ここで止めていいというのはありません。
―― au、ソフトバンクと比べたときの優位点を教えてください。
加藤氏 やっぱりiDやdカードと連携しているところ。通信の支払いにも使えますよね。ゴールドだと、(通信の)支払いで10%(のポイント)が付きますから。Pontaポイントとの相互交換もできます。
―― ドコモは5G(第5世代の通信規格)への投資も積極的に行っています。5Gが普及した未来は、どんな世界になっているでしょうか。
加藤氏 どうでしょうね。10Gbpsだとか1Gbpsだとかがステップにあると思いますけど、これまでも、10年先や5年先を見たときに、「そんなに速いスピードがいるのか?」と言われてきました。ただ、サービスが後からできて、そのサービスが高速通信だからこそできた。そのサービスが進化するに従って、さらにスピードが必要になる――これの繰り返し。どんどん進んでいくと思いますね。
―― ドコモとしても、それを生かせる端末やサービスを出していく。
加藤氏 端末は必要ですよね。そのときにサービスは、いろんな方がいろんな知恵を出していただけると思いますね。「+d」もありますし、共に創っていくということです。スマートライフ領域の手応えもありますので、頑張っていきます。
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