さて前回できなかった人物編。その前に、実はiPhone6系とiPhone 6s系ではホワイトバランスがちょっと変わった。面白い例を1つ。単なる岩の写真である。iPhone 6s/6s PlusとiPhone 6 Plusで色合いがちょっと違っているのが分かるかと思う。
iPhone 6 Plusの方は全体に青っぽい。iPhone 6s系は少し赤みが出ている。ホワイトバランスを完全に合わせようとするとiPhone 6 Plusの方が近いんだろうが、iPhone 6s系の方がリアルに見える。特に背景の森の感じが違う。
ちなみに、手前の岩をタップしてそこにAF/AEを合わせた写真だともっと差が出る。
このように画素数が上がったのみならず、微妙にホワイトバランスの調整もより細かく見直されているのだ。これ、人を撮るときに差が出てくる。普通の屋外の写真なら特に違いは出ない。
これが夕刻の木陰のような場所(色温度が高い場所)となると、発色がこれだけ違ってくるのだ。iPhone 6s系の方が肌色がきれいに出る。
多分、地面に落ちた紅葉とかそういうのを撮るときにもこの差は効いてくるんじゃないかと思う。まだ試してないけど。
もう1つ人物系で大きなポイントは「セルフィー」。要するにインカメラのこと。これが120万画素から500万画素に上がった。昨今の自分撮りトレンドに合わせてきた形だ。インカメラは固定フォーカス式なので、AFのことは考えずにさくっと撮ればOK。普通に画素数が上がってクオリティも上がった。
で、インカメラの欠点はアウトカメラに比べてセンサーの性能がちょっと劣る(アウトカメラに比べて小さなセンサーを積んでいるから暗所に弱い)ことと、照明を持っていないこと。アウトカメラは横に小さなLEDがついてて簡単なフラッシュの役割をするから。
そこでAppleは考えた。というか、こういう細かいとこがAppleらしいんだが、インカメラ側には「でかい液晶モニターのバックライト」があるじゃないか。それを光らせればいい感じの面光源になるじゃないかと。それを「Retina Flash」と名付けたわけである。Retina Displayを使うからRetina Flash。このときは通常の3倍の明るさで一瞬だけ光る。これがけっこう効くのである。
このアイデア自身は新しいものじゃない。実はAppleがMacで使ってた。Macが積んでいるFaceTime用カメラ(まあ内蔵Webカメラのようなもの)で自分撮りをする「Photo Booth」ってアプリがあるんだけど、これで撮ると、撮影の瞬間、画面全体が真っ白に光るのだ。あのアイデアをiPhoneに持ってきたわけで、考えてみたらなんてことないんだが、インカメラ側にLEDを搭載するよりコストもかからないし、LEDと違って面光源ってのもいい。実際にはこんな感じ。
かなり暗い場所で試したので、発光なしの方が背景もちゃんと写っていて自然に見える。発光ありの方は、暗いところで無理やり撮っているのでISO感度が2000まで上がってノイズですごいことになっている。ただ発光させることでISO感度も抑えられるし、面光源なので光り方もあまり不自然じゃないし、ここまで暗くない場所でもキャッチライト(目に白い光が映ってちょっと瞳がキラッとする)として使える。
例えば背景がイルミネーションだと(ちょうどそういう季節だし)、顔が逆光で暗くなってしまうが、これを使えば背景も顔もいい感じに明るく撮れるはず。ぜひお試しを。なお、Live Photosはインカメラの時も効くので、それを見ると光る様子がよく分かる。
というわけで、クオリティを重視するならデカいけど光学式手ブレ補正が静止画でも動画でも効くiPhone 6s Plusを、機動力重視ならiPhone 6sを、という感じか。特に差が出るのは動画時の手ブレ補正。
逆に静止画時はシャッタースピードをコントロールしている分、iPhone 6sだから手ブレしやすいという感覚は全くない。そのあたりはよく考えられているのである。いずれにせよ、きっちり進化していて買い換えて損のない写りである。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.