「リスニングPLUS」というコーナーでは、英語が聞き取れない原因を解明し、ユーザーに合ったトレーニングが提供される。スピードのせいなのか、聞き取れない音の種類があるのかなどを判定した上で、1万問ほどある問題から組み合わせて処方箋になるトレーニングを提供する。
英語サプリのレッスンの文章は全てタグ付けされており、書き取りのトレーニング時に、ユーザーの書き方を把握することで、苦手な部分が分かるようになっているという。英語が聞き取れない人は、なぜ聞き取れないか自分でも分からないが、「キーボードの入力位置や音声を聞いた回数、間違っている場所などを認識してデータを蓄積することで、なぜ聞き取れていないのかを解明します。そして、ユーザーの傾向に合わせたトレーニングを提案します」(笹部氏)。教師が個別で指導できない分、音声認識エンジンという技術を使ってフィードバックを与え、学習効率を高めているのだ。
書き取りのトレーニングと音声認識機能では開発グループも時間をかけたと、加藤氏は振り返る。
「音声認識をしっかり使い込んで、中間音などをしっかり判定できるようにしました。ただ、作るもの自体が複雑で、できあがってきた画像や音声を学習できるものとして提供する段階で、開発プロセスを調整するのが難しかったです」(加藤氏)
例えば書き取りのトレーニングで単語を入力するキーボードは、難しくてもユーザーがトライできるように、タップできるキーを数個に限定して表示する。この形に至るまでに何度も修正を重ねたという。
「最終的には、ユーザーが続けやすいかを自分たちで試して作り直しました。開発期間が実質3カ月と短かったので、評価して修正するサイクルを、全体のスケジュールに合わせるのが難しかったですね」(加藤氏)
笹部氏は過去に、大学生向けのオンライン英会話サービス「英会話サプリ」の運営も行っていた。そこで感じた課題も、英語サプリ開発のきっかけになったという。
「英会話サプリはマンツーマンのオンライン英会話サービスで、話せるようになるとうまく活用できるのですが、話せない状態では何を話せばいいのか分からないというユーザーの声がありました。私自身も、会話以前に、自分である程度の型を身に付けないと話せるようにならないという実感があり、まずはセルフトレーニングから入っていく必要があると考えていました」(笹部氏)
実際、英語サプリは1人で英語の勉強ができるので、見知らぬ先生と会話をして恥ずかしくなることもなく、トライするハードルが低いと感じる。また、オンライン英会話サービスのように、決められた時間にPCの前に座っている必要もなく、電車の中や空き時間でも勉強できるので手軽だ。とはいえ、英語サプリで最高レベルのLv.6は、TOEICで750〜800点を取れるレベルの内容。音声のスピードをネイティブスピーカー並みのナチュラルスピードにすると、かなり難しいという。
英語サプリは、手軽に始めて、続けるとかなりのレベルに到達できる本格英語学習アプリだ。英語サプリで慣れてから、英会話サプリで外国人の先生とのリアルな英会話をすると、相乗効果が期待できそうだ。
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