「NuAns NEO」開発秘話 iPhoneフォロワーから脱して独自のこだわりで挑むアドバイザーの本田雅一が語る(4/4 ページ)

» 2016年02月25日 06時00分 公開
[前橋豪ITmedia]
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Continuumサポートの裏側

―― NuAns NEOは日本で発売されるWindows 10 Mobile端末として、初めてContinuumをサポートしていることも大きな特徴です。ここを押さえてきたのは「やるなあ」と思いました。

本田 NuAns NEOの企画では、最初から一貫してContinuumのサポートを狙っていました。Windows PhoneおよびWindows 10 Mobileの端末では、MicrosoftがQualcommとともに基本的なシャシースペックを定義しており、そこからベースプラットフォームを選んで開発します。

 2015年春の段階で提示されていた中上位クラスのプロセッサがSnapdragon 617(当時の愛称は違いましたが、現在の名称で記載しています)で、このプロセッサ以上ならばContinuumが使える、ということで採用しています。

 プロセッサとしての能力は、前年のハイエンドスペックを超えるもので、その下にバリュークラスとエントリークラスがあるのですが、最初からこの617で行くと決めていました。その上のSnapdragon 810や808は高価すぎて7万円以上の製品になってしまいますから、こちらも除外していました。

Continuum NuAns NEOは国内販売の端末で初めてContinuum(for Phones)をサポート。NuAns NEO本体にワイヤレスで外部ディスプレイ、キーボード、マウスを接続することで、スマホ用アプリをまるでPC用デスクトップアプリのように利用できる(アプリ側の対応も必要)

―― ただContinuumについては発表当初、「暫定サポート」という言い方でした。その後「正式サポート」だと発表され安心しましたが、なぜこのような経緯になったのでしょうか?

本田 まず、Snapdragon 617はMicrosoftが純正スマートフォン「Lumia」に搭載しなかったこともあって、採用するメーカーがありませんでした。Continuumを使わないのであれば、もっと安いプロセッサでも十分な性能が出るからです。Windowsは結構速いんですよ。このため、Microsoftの開発優先順位が下がり、チップを開発・提供するQualcommも2015年内に立ち上げると話していたSnapdragon 617の出荷が2016年にずれこんでしまったんです。

 そうした中で最初に手を挙げて開発をスタートしたのが、われわれでした。Snapdragon 617でのContinuumサポートを見送る話があったというウワサもありますが、実際にはそういった連絡は一度もありませんでした。

 ただし、チップを提供しているQualcommですらSnapdragon 617でContinuumが動いているところを見たことがない。全く実績がないものだから、Microsoftも正式サポートなんて言えないわけです。

Snapdragon 617 Continuumをサポートするため、プロセッサはSnapdragon 617と開発当初から決めていた

―― それでNEOの発表時には暫定対応だったんですね。

本田 ただ、いつまでも「できるはず」では困るので、MicrosoftにContinuumサポートを正式にうたえるよう働きかけていました。決め手になったのは、初期のNuAns NEO試作端末上で実際にContinuumが動いているところを、Qualcommに見せることができたことですね。

 それは10月のことで、製品発表時には既に動いていたんですよ。Qualcomm自身、どの程度のパフォーマンスで動くのか、全く分かっていなかった。しかし、実際に動いている端末が出てきたことで、MicrosoftにSnapdragon 617のサポートを強くプッシュしたと聞いています。

 われわれの設計・生産パートナーはWindows 10 Mobileに力を入れているところで、Qualcomm、Microsoftを含む3社でパートナーシップを組んでいたため、連絡が緊密だったこともプラスに働いていました。最後はMicrosoftにNuAns NEOの試作端末を送って検証してもらうことになり、発表会の時点では内諾を受けていたんですよ。

―― そういう経緯だったんですね。まだまだ聞きたいことはありますが、長くなったので、ちょっと休憩を入れましょう(つづく)。

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