3万円台で要注目のSIMフリースマホを徹底比較――スタミナ&ベンチマークテスト編 最新スマートフォン徹底比較(3/3 ページ)

» 2016年03月16日 10時00分 公開
[島徹ITmedia]
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国内ネットワークへの対応周波数帯をチェック

 格安SIMの大半はドコモの回線を借りて提供しているが、最近ではauの回線を利用したSIMや、Y!mobileのSIMにも注目が集まりつつある。また、スマホ側の対応周波数帯が少ないと、同じドコモの回線でも利用できるエリアが違ってくる。これら各社回線への対応について比較してみよう。

 通信速度はいずれも下り最大150Mbpsだが、これは通信速度制限のない回線での理論値だ。実際には速度制限のないドコモ契約のSIMでも100Mbpsを超えることは少ない。格安SIMで使う場合は、そもそも低価格なぶん通信速度は遅くなっているので、通信速度の理論値はそこまで気にする必要はないだろう。高音質通話の「VoLTE」は、arrows M02とAQUOS SH-M02のみが対応する。ドコモ回線の格安SIMでも、VoLTEによる高音質化の恩恵を受けられる。arrows M02はau回線の格安SIMでも同様にVoLTEを利用できる。

 SIMスロットは2スロットあるモデルもあるが、日本では同時に1つのSIMしか利用できない。2つのSIMを同時に利用できるのは、片方に海外のGSMネットワーク対応SIMを入れた場合だけだ。国内利用では意味がないと考えていいだろう。

通信関連のスペック
通信速度(下り/上り) VoLTE 対応SIM
KIWAMI 150Mbps/50Mbps microSIM、nanoSIM(microSDと排他仕様)
ZenFone Selfie 150Mbps/50Mbps microSIM×2
Huawei GR5 150Mbps/50Mbps microSIM
IDOL 3 150Mbps/50Mbps microSIM
AXON mini 150Mbps/50Mbps nanoSIM×2(片方はmicroSDと排他仕様)
arrows M02 150Mbps/50Mbps nanoSIM
AQUOS SH-M02 150Mbps/50Mbps nanoSIM

 次に対応回線と周波数帯だ。周波数帯の表記は日本の総務省のものを用いている。なお、メーカーのカタログでは2.0GHz帯(Band1)ではなく2100MHz(Band1)など、LTEやW-CDMAの規格を定めた3GPPの用いる表記を記載していることが多い。この場合はBandの表記が同じなら同じ周波数帯を指していると判断すればいい。

NTTドコモの対応ネットワーク
LTE W-CDMA
2.0GHz帯(Band1) 1.7GHz帯(Band3) 1.5GHz帯(Band21) 800MHz帯(Band19) 700MHz帯(Band28) 2.0GHz帯(Band1) 800MHz帯(Band6/19)
KIWAMI
ZenFone Selfie
Huawei GR5
IDOL 3
AXON mini
arrows M02
AQUOS SH-M02

auの対応ネットワーク
LTE
2.0GHz帯(Band1) 1.5GHz帯(Band11) 800MHz帯(Band18/26) 700MHz帯(Band28)
arrows M02

ソフトバンク、Y!mobileの対応ネットワーク
LTE AXGP(TD-LTE) W-CDMA
2.0GHz帯(Band1) 1.7GHz帯(Band3) 900MHz帯(Band8) 2.5GHz帯(Band41) 2.0GHz帯(Band1) 1.5GHz帯(Band11) 900MHz帯(Band8)
KIWAMI
ZenFone Selfie
Huawei GR5
IDOL 3
AXON mini
arrows M02
AQUOS SH-M02

 まずは多くの格安SIMが利用している、ドコモのネットワークへの対応について見てみよう。特に重要なのは、多くのエリアをカバーする2.0GHz帯と、郊外や山間部をカバーする800MHz帯への対応だ。以前はW-CDMAの800MHz帯には非対応のモデルも見られたが、今回の7機種はLTEとW-CDMAの両方とも対応している。東名阪エリアで高速な1.7GHz帯にも全機種対応している。ドコモの回線を利用した格安SIMなら、どのモデルもエリアで困ることはないと見てよいだろう。

 AQUOS SH-M02の1.5GHz帯対応や、今後エリアが広がる700MHz帯対応は、利用する場所がイベントなどで極端に混雑した場合に速度低下を軽減する効果が期待される。ただし、格安SIMでよく見られる、MVNOの帯域不足による速度低下に対しては効果がない。

 7機種の中でauの回線に対応しているのはarrows M02だけだ。mineoやUQ mobileが提供するVoLTE対応SIMなら、通話とデータ通信の両方を利用できる。auがメイン周波数帯として利用している800MHz帯と2.0GHz帯に対応しているので、エリアの面で問題はない。

 ソフトバンクとY!mobile回線のエリアについては、2.0GHz帯と1.7GHz帯に加えて、ソフトバンクがプラチナバンドと呼ぶ、郊外や山間部の多くをカバーする900MHz帯への対応が重要だ。900MHz帯に非対応のAXON miniとAQUOS SH-M02での利用は避けた方がいいだろう。


 今回の7機種では、国内でのスマホ提供実績の多いメーカー製端末がいずれのテストでも安定した結果を残した。特に、HUAWEI GR5とZenFone Selfie、日本向け機能重視ならarrows M02のコストパフォーマンスが優れている。税込4万円を超える価格に目をつぶれば、質感や持ちやすさに優れたAXON miniも満足度が高い。AQUOS SH-M02は安く購入できる手段が限られるが、キャップレス防水やバッテリーの持ちは魅力だ。KIWAMIは動作がやや不安定なのは気になったが、手ごろな価格で他社より高スペックを実現したのは確か。今後の改良に期待したいところだ。

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