―― スマホ時代になって窓口の回転率が下がり、待ち時間の長さも問題になっています。
寺内さん スマホの機種変更であれば初期設定だけで終わらせたいのですが、ずるずる操作案内までするとなるとカウンターに拘束される時間が長くなってしまいます。あとはフロアに移動して案内できるのが理想ですが、そのままの流れで聞かれますので。接客の中で短縮できる部分、例えばデータコピーなら他のスタッフに任せるなど心掛けています。
発券機を引いた後であれば、フロアスタッフが前倒しでヒアリングします。機種変更だったら機種やプランを聞いて、タブレットやドコモ光を訴求しておく。ある程度内容を固めておいて窓口では手続きするだけで済むような、体感時間を縮める工夫はしています。スタッフが行う月1回の全体ミーティングで、体感時間を減らす方法を話し合うこともあります。
―― そもそも手続きの平均時間はどのくらいなのでしょうか。
寺内さん スマホ1台の機種変更なら1時間くらいで、タブレットやドコモ光も契約するとなるともっとかかります。ケータイからケータイへの機種変更は30分程度なので、スマホだとほぼ倍ですね。ケータイの場合プランはそのまま、データ移行も手続きの間に機械にかければ済みますが、スマホの場合は新しい端末の設定が終わらないとデータコピーに移れません。
またiPhoneからiPhoneへの移行であれば、初期設定とドコモのメール設定だけでいいのですが、OSが変わるとなると大変です。ケータイやAndroidから、iPhoneに移るお客さまの中には、Apple IDの作り方や基本的な使い方が分からない方もいます。その場合は冊子を作ってお渡ししますが、「このまま窓口でやりたいから手伝って」と頼まれることもあります。
―― スマホの操作案内をお願いする人はやはり年配の方が多いのですか。
寺内さん 若い人は知っている方が多いので操作案内はあまりしませんね。ご年配の方で初めてのスマートフォンとなると、電話の掛け方から教えることになります。スマホを持ったはいいけど「ポカーン」とする方、割といらっしゃいます(笑)。
ですからタッチパネル操作に慣れていなければ、まずタブレットからというご提案もします。ご年配の方でケータイとタブレットの2台を併用される方は結構多いですよ。
―― スマホへの移行やタブレットとの2台持ちの場合、料金への懸念は多くありませんか?
寺内さん はい、そこはすごくネックなところです。例えばケータイの月額料金が約2000円として、スマホだと7000〜8000円になると先にお伝えすると、「もっと安くならないの?」と大抵言われます。
ですからスマホ1台を持つのと同程度の金額で、ケータイとタブレットの2台持ちにすれば、スマホでの目的を達成できるとご提案します。電話は今まで通り安心して使えるし、調べ物は大画面でできるし、電池持ちも分散されますと。スマホ1台だとどうしても操作に不安がある方も多いですしね。
―― iPhoneが発表されるとわれわれメディアは毎回ざわつくのですが(笑)、ショップはどうですか。
寺内さん iPhoneが発売される秋はすごく忙しいですね。特に初めてドコモでiPhoneを取り扱うことになったiPhone 5sのときは、ほんっとに忙しかったです! 当時1年目の私は雪が谷大塚店にいたのですが、予約開始2日前に情報が来て、そこから全部iPhoneのことを勉強しました。予約開始後は人が多すぎるために現場が混乱し、お客さまにお叱りを受けたこともありました。頭の中はパニックでしたね……。先月発売されたiPhone SEは予約が結構ありましたが、商品自体があまり入荷していないこともあり、秋ほどの忙しさはありません。
―― 寺内さんが日々の業務で心掛けていることは何ですか。
寺内さん 手続きしている間もお客さまが退屈されないよう話をするなど、なるべくお客さまとコミュニケーションを取ることです。もともと人見知りな性格で、表情が固まることがあるので、楽しく接客できるようになればいいなと思います。その上で、端末やサービスの獲得目標が店単位で与えられるので、その獲得率も上げていきたいです。
現在入社4年目ですが、入社以降獲得率が多い方ではなく、ずっと悩んでいた時期がありました。しかし最近はドコモ光やdカードの提案のやり方をつかめてきて、先月(3月)ついに当店ナンバー1の成績を残せました。初めてトップになり、悩みがやっと吹っ切れたんです。周りからは「遅咲きだね」とよく言われますが、努力を認めてくださるので、やりがいをもってやっています。
ドコモは顧客を起点とした取り組みなどが評価され、2015年個人向け携帯電話サービス顧客満足度調査において第1位を受賞しています。その背景には、顧客の声を吸い上げるシステムや、スタッフの資格認定制度、スタッフ自身の努力と工夫が隠されていました。一方で、スマートフォン時代におけるショップの課題も見えてきました。ドコモがショップ運営でどんなかじ取りをするのか、その手腕に注目が集まります。
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