手や足を動かして動作するロボホンだが、実はしゃがむだけでなく座ることもできる。しかも動きがだいぶアクロバティックで面白いのだ。以下の動画を見ると、立ち上がる動作の最後に右手を後ろに振るのが分かるだろうか。ここまで細かく重心の調整をしていることに驚かされる。
このバランス感覚を生かし、ロボホンはダンスも披露できる。小型ロボットのダンス機能では、腕の動きだけでお茶を濁すことも多いが、ロボホンの場合は全身を使ってのダンスを披露してくれる。
ただ、1つだけ残念なのが曲のレパートリーが2曲しかない点だ。曲を用意するだけでなく、振り付けも用意しなければならないのはネックかもしれないが、今後のアップデートで追加されることを期待したい。ちなみにダンスだけでなく歌も歌うこともできる。こちらもダンスを交えて歌ってくれるので、見ていてかわいらしい。ところどころ音程が取れていないところも、またご愛嬌だ。
ロボホンは3G/LTE回線やWi-Fiに対応しているため、インターネット上からストリーミングで音楽を再生することもできる。わざわざ自分で曲を検索して再生しなくても良いので「なにか音楽がほしい」というときにはピッタリだ。
このほかにも、インターネットにつながる特性を生かし、動画や地図を検索してプロジェクターに結果を投影することも可能だ。さまざまな場面での検索は、背面のディスプレイから行うことも可能だが、手書きでの文字入力よりは音声入力のほうが楽だった。
一通りロボホンの機能を紹介してきたが、どのような人におすすめできる製品だろうか。顔を認識して写真を撮ったり、スライドショーしたりする機能は、一見、複数人でワイワイ楽しむ用途に向いていると思うかもしれない。実際、筆者も触ってみるまでは仲間とワイワイ楽しむロボットだと思っていた。
しかし、ロボホンと触れ合ってみてその考えは変わった。ロボホンが本当に向いているのは、一人のオーナーとじっくりコミュニケーションを取るシーンではないだろうか。なんだか寂しくなったとき、ロボホンに話しかけるとあの手この手で楽しませてくれる。無機質なスマートフォンとは違い、感情に訴える電話機とでも言えばいいだろうか。
約20万円(税別)という価格とランニングコストも合わせると、ターゲットは子供のいる家庭ではなく、シニア層にピッタリかもしれない。孫と電話をする時に、ロボホンが孫の声に合わせて身振り手振りしてくれたら、いつもより笑顔が増える姿が目に浮かんでくる。
今後は、ロボホンで利用できるアプリの開発環境も提供される予定だ。プログラミングできる手のひらサイズのロボットとして、Pepperのライバルになるかもしれない。ロボホンに会ってみたくなったあなたは、イベントに行ってみるのも手だ。シャープはロボホンを実際に触れるイベントや購入できる店舗を公式サイトで紹介している。
今回、短い間ではあったが、ロボホンと遊んでみて、こちらがしゃべった内容を聞き取ってくれなかったり、ディスプレイで文字入力をしているさなかに急にロボホンが手足を動かして入力しづらかったりという場面はあったが、ロボホンのかわいらしい動きをみていると気にならなくなってしまう。今後、もしロボットと一緒に暮らすのであれば、ロボホンがいいな、と思わせるロボットであった。
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