1万円台の低価格SIMフリースマホを徹底比較――スタミナ&ベンチマークテスト編最新スマートフォン徹底比較(4/4 ページ)

» 2016年06月07日 06時00分 公開
[島徹ITmedia]
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国内ネットワークへの対応周波数帯をチェック

 SIMロックフリースマホを格安SIMで利用する際、まず確認すべきなのがSIMの形状と、NTTドコモやソフトバンク(Y!mobileを含む)のネットワーク周波数への対応状況だ。国内の格安SIMの大半はドコモのネットワークを利用しており、ドコモの周波数に対応していないと通話や通信を利用できない。ソフトバンクやY!mobileのSIMを利用する場合も同じく、ソフトバンクの周波数に対応しているかを確認する必要がある。

 各機種の最大通信速度とSIMの形状は、通信速度はいずれの端末も最大150Mbpsとなっている。格安SIMでは実測50Mbpsを超えることすらまれなので、実際の利用で気になることはない。速度を追求したいのなら、より高性能なスマホを購入すべきだ。

 SIMスロットは、多くの機種がmicroSIMのみに対応している。格安SIMを契約する場合はnanoSIMと間違えないよう気をつけよう。2スロットモデルもあるが、日本では同時に1つのSIMしか利用できない。2つのSIMで同時に待受けできるのは、海外で片方にGSM対応SIMを入れた場合だけだ。

通信速度と対応SIM
通信速度(下り/上り) 対応SIM
HUAWEI Y6 150Mbps/50Mbps microSIM
ZenFone Go (ZB551KL) 150Mbps/50Mbps microSIM×2
Priori3S LTE 150Mbps/50Mbps microSIM、nanoSIM
UPQ Phone A01X 150Mbps/50Mbps microSIM×2
雅(MIYABI) 150Mbps/50Mbps microSIM×2
ZTE Blade V6 150Mbps/50Mbps microSIM、nanoSIM(GSM専用、microSDと排他利用)

 各端末の対応回線と対応周波数帯について見ていこう。周波数帯の表記は日本の総務省のものを用いている。SIMロックフリースマホのカタログでは2.0GHz帯(Band1)ではなく2100MHz(Band1)など、LTEやW-CDMAの規格を定めた3GPPの用いる表記を記載していることが多い。この場合は、Bandの数字が同じなら同じ周波数帯を指していると判断してほしい。

 通話や通信を全国で利用するには、ドコモのネットワークなら2.0GHz帯と800Mhz帯、ソフトバンクやY!mobileのSIMを利用するなら2.0Ghz帯と900MHz帯の両方に対応している必要がある。

NTTドコモの対応ネットワーク
LTE W-CDMA
2.0GHz帯(Band1) 1.7GHz帯(Band3) 1.5GHz帯(Band21) 800MHz帯(Band19) 700MHz帯(Band28) 2.0GHz帯(Band1) 800MHz帯(Band6/19)
HUAWEI Y6
ZenFone Go (ZB551KL)
Priori3S LTE
UPQ Phone A01X −/○
雅(MIYABI)
ZTE Blade V6

ソフトバンク、Y!mobileの対応ネットワーク
LTE AXGP(TD-LTE) W-CDMA
2.0GHz帯(Band1) 1.7GHz帯(Band3) 900MHz帯(Band8) 2.5GHz帯(Band41) 2.0GHz帯(Band1) 1.5GHz帯(Band11) 900MHz帯(Band8)
HUAWEI Y6
ZenFone Go (ZB551KL)
Priori3S LTE
UPQ Phone A01X
雅(MIYABI)
ZTE Blade V6

 実際に表を見てみると、UPQ Phone A01Xのみ周波数対応に問題を抱えている。ドコモの場合、W-CDMAの800MHz帯(Band6)に対応していないので、屋内のほか郊外や山間部エリアをカバーするFOMAプラスエリアで圏外になる可能性が高くなる。ソフトバンクとY!mobileのプラチナバンドである900MHz帯(Band8)にも対応しておらず、こちらも屋内のほか郊外や山間部で圏外になる可能性が高い。

 広いエリアで通話や通信を利用したいなら、UPQ Phone A01Xを除く5機種から選んだ方が無難だろう。

GPSと電子コンパス対応をチェック

 スマホにはさまざまなセンサーが搭載されているが、1万円台の機種になると気圧計などあまり需要のないセンサーは外されている。だが、多くの人にとって、Google マップやナビアプリで利用する電子コンパスや、GPSなど測位衛星への対応は外せないところだろう。これらの点について調べてみた。

位置情報アプリ向けの対応センサー
電子コンパス 測位衛星
HUAWEI Y6 GPS、GLONASS、BeiDou
ZenFone Go (ZB551KL) GPS、GLONASS、BeiDou
Priori3S LTE GPS
UPQ Phone A01X × GPS
雅(MIYABI) GPS、GLONASS
ZTE Blade V6 GPS、GLONASS

 結果、電子コンパスは5機種が搭載。UPQ Phone A01Xのみ、マップアプリなどで方位やスマホの向いている方向を調べることができない。なお、搭載機種で電子コンパスの動作が鈍いと感じた場合は、端末を8の字を書くように振って校正しよう。これは1万円台の端末でもハイエンド端末でも必要な動作だ。

 位置情報を知るために必要な測位衛星は、米国のGPSに加えて、ロシアのGLONASS、中国のBeiDouにも対応した機種が増えている。複数の国の衛星に対応していると、ビル街など上空の見通しの悪い場所でも、多くの衛星をつかんで正確な位置情報を測位しやすくなる。ナビ機能をよく利用するなら、最低でもGPSとGLONASSには対応した端末を選びたい。

最新スマートフォン徹底比較最新スマートフォン徹底比較 AndroiTS GPS Test Freeを空の見通しの良い場所で起動し、認識している衛星を表示した。左がHUAWEI Y6、右がUPQ Phone A01。複数の国の衛星に対応していると、ビル街でもより正確な位置を測位しやすくなる

高画質ディスプレイと、2GBメモリ搭載モデルが狙い目

 ここまで1万円台の6機種について比較してきた。驚かされるのは、このクラスのスマホでもブラウザやLINEなどのSNSアプリであれば十分快適に利用できることだ。以前はディスプレイの画質が低く、LTEにも対応していない製品が多かった。だが、今ではLTE対応は当たり前で、ディスプレイ画質も良好な製品が増えている。

 今回オススメしやすいと感じたのはZenFone Goだ。5.5型の大画面に、そこそこの処理性能のCPUと2GBメモリを搭載。大容量バッテリー搭載で動作時間が長く、そのうえ充電時間もそこそこ高速だ。1万円台ながら、スキの少ない端末に仕上がっている。

 ビジネスユーザーならZTE Blade V6もオススメだ。アルミ合金とガラスパネルを採用した薄型軽量ボディーは、質感が高く胸ポケットへの収まりもいい。1万円台としては処理性能が高く、2GBメモリ搭載で動作のもたつきも少ない。バッテリー持ちはそこまで長くないが、SNSやメール中心の利用なら問題にはならないだろう。

 1万円台のスマホを購入する際にチェックしておきたいのが、メモリを2GB搭載しているかどうかと、ディスプレイの画質と本体の質感だ。CPUの処理速度よりも、メモリの多さの方が体感速度に影響するほか、低価格を実現するために、機種によって画面や外装の品質の差が激しい。1万円台のスマホは、実際に動作する端末を触って品質を確かめたうえで購入するようにしよう。

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