これ聞いちゃって大丈夫? Simejiユーザーが気になる広告への疑問 10問10答

バナー広告が表示されるようになった「Simeji」。無料アプリの多くが広告収入に頼っているが、Simejiもそうなのか。ホントはもうかっていてウハウハなんじゃないのか? 矢野氏に聞いた。

» 2016年06月09日 10時00分 公開
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 最近のアップデートで、日本語入力アプリ「Simeji」のキーボード近くにバナー広告が表示されるようになった。無料アプリの多くに広告が表示されることは多いが、日本語入力アプリではちょっと珍しい。

SimejiSimeji 日本語入力アプリ「Simeji」(iOS版/Android版)の文字入力時にバナー広告が出るようになった。その理由とは?

 Simejiはなぜ広告を表示するようになったのか、自身もSimejiユーザーであるライターAが、気になる10の疑問を担当者にぶつけてみた。応えてくれたのは、Simejiの生みの親であり、バイドゥでモバイルプロダクト事業部マネージャーを勤める矢野りん氏だ。

バイドゥ モバイルプロダクト事業部 マネージャー 矢野りん氏 バイドゥ モバイルプロダクト事業部 マネージャー 矢野りん氏

質問1.なぜ「Simeji」に広告が出るようになったのか?

――(聞き手:ライターA、ITmedia Mobile) 先ごろのバージョンアップでSimejiに広告が出るようになりました。なぜ広告を表示するようにしたのですか?

矢野氏 無料アプリといっても、開発や運用にはコストが掛かります。ビジネスのため利益も考えなければなりません。Simejiは無料ですが、これはユーザーから直接お金を頂くのではなく、アプリ内の広告収入で賄おうという考えだからです。

 こうしたビジネスモデルでは、まずユーザーを増やすことがポイントで、ある程度普及したら次に機能を充実させ、次に収益を考えなければなりません。

 今まではSimejiの普及と機能の拡充を進めてきましたが、そろそろ次のフェーズに進みたい。ということで、広告を掲載して効果を測定することになりました。

 えっと、もっと分かりやすく説明するとバンド活動ですね。

―― バ、バンド?

矢野氏 学生のバンド活動って最初は親の金でやっていけますが、「その先どうすんだ?」ってなるじゃないですか。やはり自分で稼がないとバンド活動もできない。そんな感じですね。

―― な、なるほど。

矢野氏 楽器も買わなくてはいけないし、スタジオも高いし(笑)。バイトしたり、CMソングを作ったりする訳ですよ。

 あ、話を戻すとですね、ユーザー目線で「広告は邪魔……」と捉えられる傾向があることは認識しています。逆に、広告を出すことが「私たちの仕事なので理解してください」ということでもありません。

質問2. 広告を消すことはできる?

―― 広告は消すことができますか。また、どのような条件が必要なのでしょうか。

矢野氏 Simeji公式サイトのQ&Aでも取り上げていますが、課金することで「広告を消す」というメニューを用意しています。ユーザーから直接お金を頂く形式ですね。

SimejiSimeji 有料の「Simeji」プレミアムサービスに入ると広告は消せる

 ちなみにプレミアムサービスは広告を出さなくするためだけでなく、専門辞書の追加ダウンロードや入力した文字の翻訳(日英中)、2台持ちしているスマホでユーザー辞書や設定を同期できるといった機能を提供しています。料金は月額240円(税込)ですが、半年分や1年分なら割引もあります。また100円のお試しプランも始めました。

質問3. 広告なしでは運営できない?

―― アプリ内課金はプレミアムサービスのほか、きせかえ素材の有料ダウンロードなども行ってますよね。またiPhone版のみですがアプリ自体が有料の「Simeji Pro」(税込1080円)もあります。こうした広告以外の収入で全てのコストを負担することも考えられるでしょうか。

Simeji Pro きせかえ素材のダウンロード販売も収入源の1つ
Simeji Pro iPhone版のみの有料アプリ「Simeji Pro」(税込1080円)

矢野氏 事業の在り方を左右する問題で、ちょっと難しいですね。ただ、広告の表示方法について常に社内で議論し、ユーザーからのフィードバックをもとに改善しています。

 Simejiの事業には、開発・運用を担当するわれわれプロダクト部門だけでなく、収益化を担うビジネス部門も関わっています。ビジネス担当のSimejiに対する熱意には、敬意と感謝が絶えません。常に「使いやすいツールってなんだろう」と議論しながら、理想の形を目指しています。

―― エネルギッシュですね。

矢野氏 まぁ、開発部門とビジネス部門がケンカになるのは、当たり前のことだと思うんですよ。他社さんもそうやって開発していると思いますし、ウチもそうですよ、という話です。

 ただ、チームに敬意を持って、感謝して取り組む姿勢が前提だと思います。「営業は分かっていない!」ということは簡単ですが、それをいったところで何も変わらない。お互いの仕事を尊重して、常に建設的な話をしているという感じですね。

質問4. アプリ内課金やキャラクタービジネスがうまくいくと広告はなくなる?

―― 似た質問ですが、現在は広告が収益の柱ということですが、課金やキャラクタービジネスの展開など、事業を多角化することで、広告以外のビジネスがメインになる可能性はありますか。

Simeji 「Simeji」のキャラクターはLINEスタンプにもなっている。

矢野氏 いくつかの選択肢があると思います。アプリ内課金については有料辞書を拡充することが重要だと思います。それ以外でも、課金にふさわしいコンテンツをトライアルして、広告の比重を減らしていけたらと思います。

 現状、モバイルサービスの収益化は広告が中心です。しかしバナー広告を出す手法がいつまで続くのか? という思いは、私自身も1ユーザーとして感じています。常に新しい収益の形を考えなくてはいけないし、選択肢は多ければ多いほどいいと思っています。

―― アプリ内課金によるビジネスは、広告モデルがなくなるような規模ではないということですか?

矢野氏 そうですね、今は難しいと思います。ゲームアプリにも必ず広告がどこかにある。収益のポートフォリオを複数持ち、リスクヘッジしていると思います。

―― 手段は増やしていくが、だからといって明日にも広告が出なくなるということではないと。

矢野氏 はい、それは違うと思います。

質問5. 広告が邪魔です……

―― Simejiを使っていると実感しますが、広告を出すなら間違えて押さない場所にしてほしいのですが。

矢野氏 本当にそうですね……。これは改善に努めます、としかいいようがないんですが、本当にそう思います。

―― 表示位置の改善やテストは続けているのですか。

矢野氏 ビジネス的に広告をなくすことはできませんから、操作の邪魔にならず、かつ広告効果ができるだけ大きくなる表示方法を考えなければなりません。

 「こっちがダメならこっち、それでもダメならそっち!」「こういうのはどうか!」と、さまざまな提案を繰り返し、代案を出し続けています。これがプロダクト担当の責任でもあります。

―― 広告の位置やデザインの変更は難しそうですね。

矢野氏 難しいですね。日本語入力アプリは精度を求められるツールなので、真摯に考えなくてはいけない。ユーザー目線で(広告の)押し間違いをどこまで減らせるかで、存在意義みたいなものが変わってきます。

―― 実用ツールであることは相当、気にしているわけですね。

矢野氏 気になります。自分自身が1人のスマホユーザーとして、1番気にしているところです。カメラと文字入力のレスポンスは、スマホの存在意義自体が問われる部分だと思いますから。

質問6. 広告が出る場所はこれからも増えていく?

―― 今は変換候補のちょっと上にバナー広告が表示されますが、これがもう1つ増えるとか、あるいは大きくなるとか、広告の面積が増えるようなことはありえますか?

矢野氏 キートップに関しては、ありえないといいたいですね。現状が限界です。

―― 表示する場所やタイミングを調整していく感じですか。

矢野氏 そうですね。あと広告の種類は変化します。受け入れられる広告と、受け入れがたい広告に2極化し、さらに新しい形式の広告も提供され始めるでしょう。時代に最適化しつつ、変わっていくだろうと思っています。

―― SNSでは動画広告が普及していますが、Simejiでは難しそうですね。

矢野氏 そうですね、キートップ画面では難しいと思います。

質問7. 入力した内容やユーザー属性で違う広告が出たりする?

―― Facebookなどでは、性別や年齢、住んでいる場所に合わせて広告が表示されますよね。日本語入力アプリのように、自分で明示的に入力するアプリで広告が出るなら、入力した内容に合わせているんじゃないか? という疑問があります。

矢野氏 Web検索では検索結果に合わせた広告が出てきますが、これは当たり前のこととして受け入れられています。どんなアプリ(サービス)で広告が出ているのか、あるいはスマホのエコシステムとして自然なのか、という認識の違いかもしれません。そうした差があることは常に考えています。

 今はできませんが、ユーザー全体の統計データをもっと活用する、また個々のユーザーに最適化してサービスや広告を提供する、というのがこれからの大きな流れになると思います。

―― なるほど、将来は自然にそうなっているかも? ということですね。

質問8. 変換候補に広告が出るようになる?

―― 新しい形式の広告といえば、例えば「六本木ヒルズに来た」と入力したら、変換候補に近くのお店の名前が出てくる、なんて広告方法は考えられますか?

矢野氏 今のところ、それはないと思います。私たちが持っているデータの質に関わる部分なので、ハードルが高いですね。

―― 矢野さんも出席した「Google I/O 2016」では、AI(人工知能)が会話をサポートするメッセージアプリ「Allo」が発表されました。こういった技術が日本語入力の中で広告と組み合わされて……ということは考えられるでしょうか。

矢野氏 できたらカッコイイな、とは思いますが、まだ考えにくいですね。

質問9. 変な広告は見たくない!

―― 表示する広告の内容についてです。例えばアダルト系や人に見られて恥ずかしいような広告は出してほしくない。広告内容の審査などはあるのでしょうか。

矢野氏 表示する広告の基準はありますが、100%コントロールすることは難しいです。

 というのもSimejiの広告はアドネットワーク広告といい、複数のサイトやアプリ向けにまとめて広告を配信する仕組みを使っています。スポンサーはわれわれに直接広告を出しているのではなく、ほかのアプリなどと一緒にアドネットワーク事業者を介して配信しています。

 もちろん「出会い系アプリはNG」などカテゴリーを決めることはできます。ただそれも完璧ではないので、常に監視して、ふさわしくない広告が出ないようにしています。

質問10. 実はものすごくもうかっていてウハウハとか?

―― 会社が六本木ヒルズだし、実はものすごくもうかっていて、ウハウハなんじゃないか? と見ているのですが……

矢野氏 そんなにもうかっていたら、まず、この会議室の椅子を全部交換しますね。

―― え、結構いい椅子ですけど。

矢野氏 いやぁ、部屋によってはもっと古くて……。まぁ、残念ながら開発にかかるコストをカバーするほどの売上ではないです。

―― 持ち出しの方がはるかに多い。

矢野氏 残念ながらそういう感じです。お金を稼ぐことは生半可なことではございませんね。

―― ユーザー数がどこまで増えたら黒字になるとか、ビジネスとして成り立つという基準はあるんですか? 目標とか。

矢野氏 目標は常に持ってはいますが、そこまで突っ込んだビジネス上の判断は、もっと上の人間が下します。われわれはもっと細かくした課題、タスク化されたものに取り組んでいます。ぜひ社長に聞いてみてください(笑)。

―― でも運用チームも大きくなっているそうですし、まったくもうかっていない様ではなさそうですが……。

矢野氏 まったく売上がなかったら、やっても仕方がないですからね。毎週、毎週、みんなで集まって報告し合ったり、社長からありがた〜い言葉をもらったり、ということで日々やっています。

 開発の現場だと数字の見通しは効かず、なかなか難しい面はありますが、現場は現場で使いやすいツールを追求していきたいと思います。

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提供:バイドゥ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia Mobile 編集部/掲載内容有効期限:2016年6月15日

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