機能を自分好みに拡張できる「Moto Z/Z force」と、世界初のTango対応スマホ「PHAB2」の実機をチェック「Lenovo Tech World 2016」現地レポート

» 2016年06月15日 16時00分 公開

 米国サンフランシスコでLenovoの製品発表イベント「Tech World 2016」が開催された。既報の通り、Androidを搭載した新型スマートフォンなどを発表しているが、いずれも日本市場での発売は未定だ。会場で実機を手にする機会を得たので、基本仕様を紹介するとともに特徴などを紹介しよう。

スタンダード機となる「Moto Z」は薄さ5.2ミリのスリムモデル

 モトローラブランドから登場したのが、新型のフラグシップモデル「Moto Z」とタフネスモデル「Moto Z Force」の2つだ。5.5型でWQHD(1440×2560ピクセル)表示に対応した有機ELディスプレイを採用。プロセッサにはSnapdragon 820を搭載し、4GBのメモリと32/64GBのストレージを内蔵するなど、基本仕様は両モデルとも共通だ。本体正面下部には指紋センサーを搭載。認識速度にこだわったとのことで、素早く認識できるという。

「Moto Z」の背面。シックなデザインで高級感がある

 両モデルの違いは、本体の厚みなどの外観とカメラ機能などだ。Moto Zのサイズは153.3(幅)×75.3(高さ)×5.19(奥行き)ミリとなっており、質量は約136グラムとなる。一番の見どころは5.19ミリという薄さだ。

 実際にMoto Zを手にしてみるとその薄さに驚く。リアカメラはわずかに飛び出してはいるが、十分に薄さは堪能できる。非常にスリムだが、金属製ボディを採用していることもあり、日常利用は問題なくできそうな堅牢性を確保しているとは感じられた。

約5.2ミリと非常にスリムなボディ。手に取るとその薄さに驚かされる

 このほかのスペック回りとしては、リアカメラには有効1300万画素のセンサーを搭載し、レーザーAF機能も採用する。F1.8と明るいレンズを採用している点も見逃せない。また、フロントカメラは有効500万画素でレンズはF2.2だ。

 バッテリー容量は2600mhAで、駆動時間は約30時間。急速充電機能「TurboPower」により約15分の充電で約8時間利用できるという。充電に使用するUSBコネクタには、microUSBを採用している。

落としても割れないタフネスモデルの「Moto Z Force」

 独自の「Moto ShatterShield」技術を採用するのがタフネスモデルのMoto Z Forceだ。基調講演でも、俳優のアストン・カッチャー氏が高いところから落とすデモを行ったのが印象的だった。関係者によると、日常的な高さからの落下で割れる心配はないという。

「Moto Z Force」を横から見たところ。こちらは約6.99ミリだ

 Moto Z Forceに搭載するプロセッサなど基本仕様はMoto Zと共通だ。異なるのは本体サイズやバッテリー容量、そしてカメラ性能だ。サイズは155.9(幅)×75.8(高さ)×6.99(奥行き)ミリとなっており、質量は約163グラム。内蔵するバッテリー容量は3500mAhで約40時間のバッテリー駆動が可能で、15分の急速充電により約15時間の充電ができるという。

 リアカメラは有効2100万画素のセンサーを搭載。レンズはF1.8と共通だ。大きく異なるのが、レーザーAFに加え手、位相差AFにも対応すること。より素早く、正確にフォーカスを合わせて撮影することができそうだ。

 本体の厚みとバッテリー容量が大きいため、Moto Z Forceの方が質量は重くなる。両モデルとも金属ボディのため、手に取ると若干重みは感じるが、薄さもあり、スマートに携帯できそうなイメージだった。

磁石で接続できるアタッチメントで、機能を自在に拡張できる

 Moto Zシリーズで最も注目したいのが、専用のアタッチメント規格「Moto Mods」を用意していることだ。両モデルの背面下部に接点が配置されており、背面にピッタリとくっつくようにアタッチメントが取り付けられる仕様だ。スマートフォンとMoto Modsは磁石で接続される仕組みで、簡単には外れないぐらいに非常に強力に貼り付いていた。

背面下部に配置されたMoto Mods用の接点

 イベントにて発表されたMoto Mods機器は、4つだ。「JBL SoundBoost | Speaker」は3Wのスピーカーを2基搭載し、総出力6Wとなる外付けスピーカーだ。1000mAhのバッテリーも内蔵しており、約10時間駆動できる。接続するとスマートフォンとは思えないほどに重みと広がりのあるサウンドが体験できた。質量は145グラム。USB Type-Cによる充電ができる。

JBLのスピーカーは自立する仕組み

 「Moto Insta-Share Projector」は最大70インチのサイズで投影できるDLP方式のモバイルプロジェクターだ。明るさは50ルーメンで、投影できる映像のサイズは854×480ピクセル。1100mAhのバッテリーを内蔵し、60分間映像を投影できる。

同社の「YOGA Tab 3 Pro」などでも採用されている小型プロジェクター

 最も需要がありそうなのが、拡張バッテリーである「Incipio off GRID Power Pack」だ。2220mAhのバッテリーを内蔵し、Moto Zシリーズのバッテリー駆動時間を約22時間伸ばすことができる。ノーマルタイプとワイヤレスチャージ対応タイプが用意され、それぞれ質量は79gと85gとなる。

kate spadeデザインのバッテリーなども

そして、最後が、カバーとなる「Moto Style Shell」。さまざまなデザインが用意される予定だ。

マグネットで接続できる専用カバー

 Moto Modsの面白い点は、規格が公開されているということにある。つまり、レノボ以外の周辺機器メーカーが、さまざまなMoto Modsを開発できるというわけだ。Moto Modsを取り付けることにより、機能が拡張できるのがMoto Zシリーズの魅力となる。関係者によると、北米での発売タイミングである9月には、さらに多くの対応アタッチメントが登場する予定だという。

4つのカメラで空間を把握できる「Project-Tango」対応スマートフォン

 もう一つの目玉が、世界初の「Project Tango」技術搭載スマートフォンである「PHAB2 Pro」の登場だ。2560×1440ピクセルの6.4型IPS液晶ディスプレイを採用した大型端末で、プロセッサにはSnapdragon 652を採用。メモリは4GB、ストレージは64GBを搭載する。

 本体サイズは88.57(幅)×179.83(高さ)×10.7(奥行き)ミで重量は約259グラム。バッテリーは4050mAhを搭載し、約18時間の連続駆動に対応する。

6.4型と大型の「PHAB2 Pro」。フィット感は悪くない

 最大の特徴は、本体背面に複数のカメラを搭載することだ。1600万画素のリアカメラに加えて、深度センサーと、モーショントラッキングカメラを備え、これらが被写体の位置や大きさ、距離、そして動きなどを認識する。その結果をさまざまなアプリやサービスで活用するのがProject Tangoだ。

 PHAB2 Proでは取得した情報をもとに、GPS情報が得られない場所でも正確な位置を把握したり、家具の設置シミュレーションをしたりできるという。

複数のカメラで空間を把握する仕組み

 既にProject TangoによるVR/AR関連のアプリケーションは数多く開発が進んでいるそうで、PHAB2 Proが発売される9月までには多くのアプリがお目見えすることになりそうだ。同モデルの発売により、Project Tangoはプロジェクトが取れ、今後は「Google Tango」という正式なサービス名になるという。

 PHAB2 Proにはもう一つの特徴ある。それがサウンド機能の充実だ。広がり感のあるサウンドを再現できる「Dolby Atmos」を搭載。大画面を生かして映画などを視聴するシーンでも、あわせて迫力のサウンドが楽しめるのだ。また、内蔵の3つのマイクを利用して5.1ch録音ができるDolby Audio Capture 5.1にも対応している。サラウンド録音も可能だ。

基調講演でもサウンド機能が紹介された。このサウンド機能は下位モデルにも搭載される

 なお、同シリーズにはAR/VRには対応しない下位モデルも用意する。デュアルカメラとフルHDディスプレイを搭載する「PHAB2 Plus」、そしてより低価格で購入できる「PHAB2」は、大画面スマートフォンが欲しいユーザーに魅力的なモデルとなりそうだ。

 今回発表されたスマートフォンの日本市場で展開は未定とのこと。しかし、モトローラブランドのスマートフォンは過去にも国内で発売されたことがある。また、アジア太平洋地域では、日本市場は中国に続く2番目の大きな市場でもある。これらモデルが発売されることを期待したい。

取材協力:レノボ・ジャパン

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