楽天は、ユーザーとの接点を増やすことを目的に、楽天モバイルのリアル店舗の設置を進めている。2016年内に100店まで拡大する計画をより進めるため、新たにゲオと提携し10月までに「ゲオショップ」「ゲオモバイル」の10店舗で順次取り扱いを開始する。また、販売代理店が楽天モバイルショップを運営する「パートナーショップモデル」を導入する。これらの取り組みにより、6月29日現在でリアル店舗は北海道から沖縄県まで計72店となる。
楽天モバイルの実店舗展開をしていく中で、予想以上にシニア層(65歳以上)の来店が多かったという大尾嘉氏。楽天が自社Web調査をしてみたところ、シニア層(65歳以上)の54%がMVNOサービスを利用したいと答えている一方で、スマホを使いたくても使い方に不安を覚ているために踏ん切りが付かない人も少なくないという実態も見えてきた。
そこで、店舗が近くにない人を想定した「出張申込サポート」を5月23日に1都3県を対象に開始し、6月19日からは「ご自宅出張申込(設定サポート付き)」としてサービスの全国展開を開始した。
さらに「物理的な制約をテクノロジーで超える」(大尾嘉氏)ものとして、「あんしんリモートサポート」を7月下旬から提供する。月額500円(「端末補償」とセットの場合は800円)のオプションサービスで、電話、チャット、リモート操作によってサポートを受けられるという。楽天モバイル以外のスマホ・タブレットやPCのサポートも受けられるという。リモート操作によるサポートはAndroid端末で利用できる予定だ。
従来から、楽天モバイルはSIMカードと端末のセット販売比率が高い。しかし月額料金と端末代金はあくまで「別」であるため、「全て込みの料金」に慣れている人を取り込めずにいた。
そこで、「ZTE BLADE E01」「HUAWEI P9 lite」「arrows M03」の3機種を対象に、音声SIMと端末をパッケージ化した料金で提供する「コミコミプラン」の提供を開始する。
過当競争とも言えるMVNO市場において、楽天モバイルは「音声通話に強い」「端末セットに強い」という特徴を補強するサービス拡充を矢継ぎ早に行っている。また、ユーザーとのタッチポイントをより多く設ける工夫にも余念がない。
平井副社長は「そのうち事業者(MVNO)の淘汰(とうた)も始まるかもしれない」と語る。品質、サービス、ユーザーとのタッチポイントを三位一体で改善することで、楽天モバイルはMVNOという「荒海」を乗り越えようとしている。
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