――お父さんにもっとも感謝したいことは?
娘 60歳まで、ずっと勤め上げてくれたことかな……。
父 いっぺんだけ、父さんに泣きついてきたことがあったな。
娘 え? いつだっけ。
父 高校に入ってすぐ、聞いたこともない妙な会社から高い学習教材を買ってしまっただろ。
娘 そうだった。夜中に訪問販売されて、ママと私が口車に乗せられてしまって、大量の教材を購入してしまったんだった。学習室が使えたり、電話相談もできたり、チューターもついてくれるので安心だよ……って調子いいことを吹聴されてつい。
父 らしいな。
娘 しかも、教材が死ぬほど高いという……。いくらだっけ、50万くらい?
父 100万近かった。
娘 よく買ってくれたね(笑)。買ってからしばらくは良かったけど、担当が数カ月後に異動してから、まったく相手にしてもらえなくなって、「こりゃおかしい」ってネット検索したら、悪い評判が出るわ出るわ(笑)。
父 ふむ。
娘 電話でクレームを入れたんだけど、子供だと思って取り合ってくれなくて、太刀打ちできなかった。で、パパに「どうしよう〜」って半泣きで相談したら、目の前で電話してくれて、ものすごく落ち着いた対応してくれて収拾がついた。「パパすごい!」って思ったよ。
父 そうか(笑)。
娘 あと、もう1つパパに感謝しているのは、留年の報告をしたときの対応かな。よくあっさりと受け入れてくれたなあ、と。普通はカミナリが落ちてもおかしくない。
父 カミナリを落としたら、留年が取り消されるのか? 卒業できるのか? ってことだよ。意味のないことは言わないポリシーなの。
娘 その性格は自分にも受け継がれてるね。今、すごく似てるって思った。
――仕事も将来の伴侶も大切な娘さんにとっての幸せってなんでしょう?
娘 私にとっての幸せは、やりたい仕事を家族のそばでやることじゃないかと。(実家のある)栃木の家族のそばで、好きな仕事ができることだと思います。将来的に栃木で働きたいって気持ちがありますね。
父 お前が東京に就職が決まって、一人暮らしのために家を出るとき、母さんがしょんぼりしていたよ。
娘 高校からずっとお母さんが送り迎えしてくれてたからね。
父 急に話し相手がいなくなって、さみしかったんじゃないかな。
娘 私も、一人暮らしをして初めて家族のありがたさ、親の偉大さを知った。将来のことだからまだ分からないけど、栃木で子どもを育てた方がいいんじゃないかなって気はしてる。両親に孫を育ててほしいし(笑)。
父 孫の世話を父と母に押し付けるつもりか!(笑)
娘 うれしそうな表情で何言ってんの。まあ、互いに近くに住んでいるってのはいいことだよね。
父 遠くに行かれるよりは全然いいよ。将来的に栃木に居住する可能性が聞けて、父さんもほっと一安心だよ。
――お父さんが内心ホッとしたところで、お開きということに!
自分自身で選んだ道なのだから、楽しんで頑張ってほしい。お父さんとお母さんの娘に生まれて来てくれて、ありがとう。孫の顔を早く見たいな。
定年おめでとう。口数が少なく、背中で見せるタイプのパパは、心が幼かった頃の私にはそのかっこよさは伝わりづらかったけど、今なら分かる。私もそんな風に、無償の愛を家族にそそげるような人になりたいと思ってるよ。
プライバシーがダダ漏れの父と娘のインタビューにご協力くださった鈴木親子に深く感謝です。そしてお読みくださった方もお付き合いありがとうございました。最初から読みたい方はアーカイブからどうぞ。
ロードバイクをこよなく愛するアラフォーブロガー。freee株式会社勤務&起業ハッカー編集長。ブログ「サイクルガジェット」運営。“徹底的&圧倒的なユーザー目線で情熱的に情報発信する”ことがモットー。ちょっぴり健康が気になって、自転車でも始めようかなとお考えの方が、「こんなコンテンツが読みたかった!」とヒザを打って喜ぶ記事をつくります。
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