インタビュー
» 2016年08月05日 17時17分 UPDATE

「データローミング=怖い」を解消したい――KDDIに聞く「世界データ定額」の狙い (1/3)

KDDIが7月22日に開始した「世界データ定額」は、対応する国と地域で1日980円でデータ通信が利用できる。その安さはもちろん、予期せぬ高額請求を防げる仕様にした点も注目したい。KDDIの担当者に、サービス提供の狙いや苦労を聞いた。

[らいら,ITmedia]

 「この夏、auは大きく、変わります」――。KDDIが打ち出したキャッチフレーズ通り、auでは海外でのデータ通信サービスを大きく進化させ、「世界データ定額」の提供を7月22日に開始した。

 世界データ定額の料金は24時間980円で、「海外ダブル定額」の1日1980円〜2980円よりも大幅に安くなっている。また、海外ダブル定額では日本時間の0時〜23時59分を1日としてカウントしていたが、世界データ定額では「利用開始」ボタンを押してから24時間に変更されたので、課金の期間が分かりやすくなった。

 海外ダブル定額では24.4MBまで1日1980円、それ以上はどれだけ使っても1日2980円だったが、世界データ定額で使えるデータ容量は、国内のデータ定額プランから賄う形になった。例えば7GBプランなら、7GBの中から国内と海外の通信を分け合う。

世界データ定額 「海外ダブル定額」と「世界データ定額」の違い

 世界データ定額ではどのような経緯で提供されることになったのか。プロジェクトを進めてきた、商品・CS統括本部 商品企画部 国際モバイル企画G グループリーダーの石丸亜希氏、商品・CS統括本部 商品企画部 国際モバイル企画G マネージャーの藤井洋平氏、コンシューマーマーケティング本部 コンシューマーマーケティング2部 マネージャーの白井大介氏に、サービスの詳細を聞いた。

「利用開始」ボタンを押さないと、データ通信が発生しない

世界データ定額 KDDIの石丸亜希氏

――(聞き手、らいら) まず「世界データ定額」とはどんなサービスでしょうか。

藤井氏 24時間980円で、国内で利用するデータ定額プランの容量を、海外でも同じように使えるサービスです。今まではデータローミング設定をオンにしてしまったことで、勝手にデータ通信が走り高額請求が発生する怖さがあったと思います。世界データ定額ではその怖さをなくすため、お客さまが必ず自分で「利用開始」ボタンを押さないと、データ通信が発生しない作りにしました。

―― サービスを立ち上げた背景を教えてください。

石丸氏 法人は会社用ケータイがスマホに変わったことで、データローミングの利用率は増加していますが、一方で個人での利用が減少しており「ユーザーのローミング離れ」が甚だしい状況です。

 海外に行く個人のauユーザーのうち、データローミングの利用率は3割程度。ホテルのWi-Fiやレンタルルーターを利用するお客さまが多いのです。スマホでマップを見たり、お店を探したりするのも旅の醍醐味(だいごみ)だと思いますが、分かりづらい料金プランや高額請求の不安があると、旅を楽しめないよね、というところから始まりました。

白井氏 最近弊社は「ライフデザイン企業」と称しているように、国内外で同じネット体験が提供できれば、お客さまにとって便利だという思いもあります。

―― 世界データ定額を利用するための詳しい使い方を教えてください。

石丸氏 サービスを利用する方法は、Webブラウザとアプリの2通りがあります。

藤井氏 国内にいるうちに「世界データ定額」アプリをダウンロードして、画面の指示に従って初期設定を済ませておけば、簡単にサービスを使えるようになります。アプリで旅行先を検索すれば「世界データ定額」「海外ダブル定額」「従量制」のうち、どのプランが対応しているかも確認できます。サービス開始当初は、日本人の海外渡航先約7割を占める海外32の国と地域をカバーします。

世界データ定額世界データ定額 「世界データ定額」アプリを起動して,世界地図から任意の地域を選択すると、その地域が世界データ定額に対応しているかが分かる
世界データ定額 世界データ定額には対応しておらず、2980円/1日の「海外ダブル定額」に対応しているエリアは、その旨が表示される
世界データ定額世界データ定額 世界データ定額は、ブラウザ(写真=左)かアプリ(写真=右)からワンタップで利用開始できる

―― 日本で初期設定と下調べをしておくわけですね。旅行先に到着したら、(テスト端末で実際にやってみる)アプリを立ち上げて利用開始ボタンをタップ。ポップアップの「利用開始しますか?」の画面で「はい」を選択すると……おお、終了時間までのカウントダウンが始まりました。ここからローミング料金が発生すると。

藤井氏 はい、日本であらかじめデータチャージオプションにさえ入っていれば、全世界、世界データ定額未対応の地域でも、端末の設定でデータローミングをオンにしていても、完全にノーリスクです。

石丸氏 従量制のみの対応地域だったとしても、高額になる可能性があるという注意が画面でアナウンスされます。今後はデータローミングオンがデフォルトの状態で、端末を出荷するくらいでもいいかもしれませんね。3Gを使うフィーチャーフォンやiPhone 4sはサービス対象外となります。

海外での利用が「怖い」という認識がある

世界データ定額 KDDIの藤井洋平氏

―― 世界データ定額は「24時間980円」という安さだけでなく、データローミングによる高額請求の解消が注目ポイントのようですが、やはり高額請求によるユーザーからの不満の声が多かったのでしょうか。

石丸氏 というより、「海外でデータ通信を“使えなくする”にはどうしたらいいですか」という声の方が多く寄せられていました。それだけ海外での利用が「怖い」という認識がお客さまの中にある。あとは1日最大2980円の海外ダブル定額が、「思ったより高かった」というご意見もありました。

藤井氏 ユーザー調査をしていると、「使い方が分かりにくい。何回もショップに通って聞くけれど、心配で心配でしょうがない」という声があるのです。

―― 先日、ソフトバンクのアメリカ放題の定額キャンペーンが突然終わり、混乱が起きました(その後、キャンペーンは再開した)。ああいったニュースを見ると、不安になる人もいるでしょうね。

石丸氏 地元に帰ったとき、まったくスマホのリテラシーがない人の間でも、「データローミングは絶対オフにしなきゃいけないよ!」とそこだけ妙に伝達されていました。「何も分からないけど、怖いよね」というネガティブな状態が起きてしまっています。

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