―― ジャンプ+にとって、Myジャンプはどんな存在ですか。どんな影響があると考えていますか。
細野氏 ジャンプ+では無料で読んでいただく形、ジャンプBOOKストア!では単行本を買っていただく形を提案してきました。Myジャンプは読み放題的なところもありながら、自分で選べる、新しい読み方を提案できたと思っています。これまでも、読者にとってどんな形がいいかを実験してきたところがあるので、Myジャンプもそういう意味では1つの実験だと思っています。
―― Myジャンプからジャンプ+への導線はあるのでしょうか?
細野氏 今のところはありませんが、ジャンプのことを語ってくれる人はこれで増えるだろうと思っています。それはジャンプ+にとっても大きくプラスになると思います。あとは、これまでのジャンプ系アプリの中でも、Myジャンプはユーザー動向を測れる最も優れたアプリなので、そこからのフィードバックは期待しています。
例えば、Myジャンプで人気があった作品をジャンプ+でレコメンド連載するという単純なことから始まって、(Myジャンプで)今も読まれる懐かしいマンガがあるなら、それを元に(ジャンプ+で)新しいマンガを作るという新企画にもつながります。
―― ジャンプ+の作品をMyジャンプで配信することは検討していないのでしょうか? ジャンプ+にも本誌に載っていてもおかしくないほど面白い作品があると感じています。
森氏 そのような声は既にいただいているので、前向きに検討しています。
―― ジャンプ+のダウンロード数など、現状を教えてください
細野氏 ダウンロード数は550万で、想定以上に伸びています。1000万を目標にしていますが、ダウンロード数よりもアクティブユーザー数を増やしたいと思っています。4〜5月の新連載の成果で、毎週のアクティブユーザーが110万から130万に伸ばしました。その起爆剤になったのが、「ファイアパンチ」と「終末のハーレム」です。
―― 2作品とも過激な描写が多いので、本誌での掲載は難しそうですよね。ジャンプ+とジャンプ本誌に掲載する作品は、どのように切り分けているのでしょうか。
細野氏 ジャンプ編集部の考えとして、本誌もジャンプ+も、編集者に「こういう方針で作品を持ってこい」とは言わないんですよ。「面白いものを持ってこい。以上」みたいな感じで。編集者が出し分けを考えています。
―― ジャンプ+向けの作品はあるのでしょうか?
細野氏 本誌では試しづらそうなものをやってみよう、というところはあります。本誌で連載が始まった「約束のネバーランド」の作家さんは、もともと読み切りをジャンプ+で試していたんですよ。本誌だと少し方向性が違うところがあるので、そこを足掛かりにして、本誌にステップアップできました。ジャンプ+は、刺激が強いものや、短期的に話題があるものが受けると思っています。
―― 他のユーザーが公開したMyジャンプBESTに、コメントを付けられる機能を追加する予定はありますか?
森氏 あり得るとは思いますが、コメントは運営側の視点だと難しいんですよね。誹謗中傷や公序良俗に反しているかを管理せざるを得ないのですが、ユーザーさんは、あまり管理されたくないと思うんですよ。なので、今はまだ難しいかなと思っています。
―― 他に、今後追加したい機能や企画はありますか?
森氏 僕らからおすすめ作品をピックアップする取り組みはやっていますが、ユーザーさんの声を集めた企画はやってみたいとは思っています。例えばジャンプにまつわる思い出を語ってもらったり、座談会をやったりですね。
―― 表紙とアオリ文は自動で生成されますが、自分で作りたいというニーズもあるのでは?
森氏 そういうご意見があるのはごもっともなんですが、ただでさえ(配信作品と話を決めるのが)面倒なので、さすがに表紙まではやってくれないだろうと。例えば「ジャンプカメラ!!」アプリと連携する方法もありますが、技術的なハードルもあります。
どこまで許すのかという問題もあります。例えば少年マンガの主人公の顔を女性のスカートの中に入れることもできてしまいます。アオリ文もある程度カスタマイズ性を出すことも考えましたが、どこまで許すべきかのルールができていません。とはいえ、表紙の表現は、まだ広げられる余地はありますね。
―― マンガのビュワーもこだわったそうですね。
森氏 外部の会社と共同開発をして、かなりこだわって作りました。例えば、「目次」を押すと作品の絵と話数が出たり、目次から作品を選んですぐに飛べたりできます。これらは既存のビュワーだとできないんですよ。「ジャンプ再生紙モード」という機能も入れて、当時の紙を疑似的に再現しています。僕らは“ジャンプ”を読んでもらいたいので、無駄かもしれない機能もあえて入れました。
―― 目標のダウンロード数はありますか?
森氏 Myジャンプでは、ダウンロード数は指標にしていません。何人の方に読んでもらったか、ジャンプBOOKストア!やジャンプ+にどう送客するか、全体がどう盛り上がるのかがキーになるので、ダウンロード数が適するアプリではないですね。まずは定期購読者数を積み上げていくことに注力していきます。
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