ここがわからないよ格安SIM!APN設定って何のためにしてるの?SIM通

» 2016年09月01日 06時00分 公開
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 格安SIMを初めて買った人、それをスマホに差し込んでみて、さて動かないぞ? と、SIMの説明書を見て、頭にクエスチョンマークが出ちゃった人はいないでしょうか。そこには、「APN設定をxxxxにしてください」なんて書いてあります。このAPN設定って、いったい何ものでしょうか?

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 APNとは「Access Point Name」の略字。日本語で書き直せばアクセスポイント名です。中年以上のオジサンなら、おや、と気づくかもしれません。アクセスポイントって呼び方、その昔、インターネット接続をするための電話番号をそう呼んでいたことに、何か似ているぞ、と。

 APNは、実はその通り、回線をインターネットに接続するための接続点の名前を指しています。携帯電話ネットワークは、それ単体ではインターネットにはつながりません。普通の電話回線がインターネットにつながらないのと同じです。インターネットに接続するには、「インターネットプロバイダ」まで何とかして接続する必要があります。正しく言えば、インターネットプロバイダがインターネットの一員であって、そこに接続することでパソコンやスマホがインターネットに参加できる、ということです。

 昔のやり方は、インターネットプロバイダに電話をかけて、電話回線上で0/1の信号を音声に変換してピロピロとやり取りすることで、インターネットに接続する、というものでした。しかし、3G携帯電話が出たころ以降、電話回線のほうが大きく変化します。電話回線自身が、インターネット外の独立したデータネットワークとして機能するようになったのです。どういうことかというと、電話のように電話番号を指定して接続し、切断するまでつながりっぱなし、という電話的な仕組みから、データパケットごとにアドレスで表された宛先に転送しあうことでデータ接続を実現する方法に変わったのです。

 その「独立したデータネットワーク」から外(インターネット)に出るためには、やっぱりプロバイダにお願いしなければなりません。そのプロバイダの接続点のアドレスを示すのが、APNなのです。3G/LTEネットワーク上でデータ通信を開始するとき、最初にこのAPNを指定して「ここに接続してその向こうのネットワークにアクセスしたいです」とお願いすることで、IPアドレスやその他の通信に必要な情報をもらってデータ通信ができるようになります。APNの向こうのネットワークは通常はインターネットですが、企業の社内ネットワークだったりすれば、社内ネットワークにモバイルから安全にアクセスする仕組みも実現できます。

APNはプロバイダの接続点のアドレスを示す

 大手キャリアのスマホの場合は、このAPNが最初から埋め込まれています。APNの指し示す先は、各キャリアが提供している独自のプロバイダサービス。大手キャリアを使っている人、SPモードとかLTE NETなんて名前で300円/月の基本料を取られていますよね? それが、キャリア提供プロバイダ料金です。

 最近では格安SIMも「格安スマホセット」が誕生したお陰で、一部のMVNOのAPN設定がSIMフリースマホに登録してありますが、基本的にはそれぞれの格安SIMに合わせたAPNの選択や設定の入力が必要です。

 格安SIMの場合、プロバイダ料金も基本料の中に含まれています。もともとインターネットプロバイダをやっていた会社が格安SIMを提供するケースが多いのは、逆に言えば、インターネット接続のための料金も込みで提供しやすいから、とも言えそうです。もちろん、この場合、それぞれ別個のインターネットプロバイダですから、データパケットの転送をお願いするアクセスポイントの名前=APNも格安SIMごとに異なる、ということになるわけです(MVNEと呼ばれる仲介サービスを使っている格安SIMの場合は違う会社でも同じAPNのことがあります)。

 ちなみに、本来の仕組み上は、どのSIMからどのAPNにでもアクセスできるものなのですが、SIM側の契約者情報やスマホに設定したID/パスワード認証で、契約しているキャリアのAPN以外は接続しようとしても拒否されるようになっていることがほとんどです。

 最初に設定してしまったあとはすっかり存在を忘れているAPN、でも、あなたがインターネットにアクセスするたびに、陰で一生懸命パケットの中継をしてくれている装置のお名前なんです。時々は思い出して、ねぎらってあげてくださいね。

(文:記者M)

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