―― 各プランの値付けは業界最安ではありませんが、そこは意識しなかったのでしょうか。
栗原氏 BB.exciteモバイルLTEでは最安値を狙っていました。そういう文化はあったのですが、MVNOというモデル上、100円で仕入れたものを120円で売るとなると、仕入れ先の金額次第で限界が来てしまうので、価格競争に挑むのはやめました。最安までは行かなくても、お求めやすい価格に設定しました。
―― 同じ容量でも、最適料金プランの方が定額プランより安いですね。
栗原氏 最適料金プランは容量の繰り越しができず、容量面で定額制よりもメリットが薄いので、金額で反映しました。繰り越しを付けると、翌月の計算が分かりづらくなってしまうので、毎月リセットを掛けています。
―― 当月のデータ残量を確認できるアプリは提供していますか?
栗原氏 容量はマイページ上で確認できます。アプリの提供も検討はしていますが、現状はWebのみです。
―― 最適料金プランと定額プランは、どちらの契約者が多いのでしょうか。
橋本氏 内訳はお伝えできませんが、最適料金プランの方が多いです。想定よりも多かったですね。定額プランを選ぶ方は、各月のコストを一定にすることをメリットだと感じていらっしゃいます。最適料金プランを選ぶ方は利用量と料金のバランスに価値を置いていらっしゃいます。
―― データSIMと音声SIMの比率はいかがでしょう。
橋本氏 カウント方法が難しくて、1枚コースと3枚コースで変わってきます。それぞれのSIMでデータか音声を選べるのですが、例えば3枚コース全てのSIMで音声を申し込む方はレアです。当然、データの方が割合が多くなります。1枚コースだと、当初はデータが多かったですが、最近は音声が伸びています。
―― SIMカードの追加は、BB.exciteモバイルLTEでやっていたことを引き継いだということですか。
栗原氏 1枚コースと3枚コースは引き継いだものですが、4〜5枚の追加オプションは、今回から加えました。
―― 4〜5枚まで追加可能になったのは、家族での乗り換えを意識したからですか?
栗原氏 企画当初のタイミングだと、MVNOは広まってはいるけど、個人で使う域から出ていないと感じていたので、今後は複数枚でシェアして、家族で使うことができるようになればいいなと。
―― BB.exciteモバイルLTE時代は、個人で複数使う人が多かったのでしょうか。
栗原氏 そうですね。きっちりと調査をしたわけではありませんが、お客さまの声を聞くと、ゲーム用やタブレットなど、1人が複数デバイスで使う方が多かったです。
―― 最適料金プランと定額プラン、どちらが複数枚SIMの利用が多いですか?
橋本氏 どちらも、複数の方が多いですね。
―― 2枚のSIMを持てるコースがないのはなぜですか?
栗原氏 2枚のコースを作っても、3枚コースよりも金額面でメリットが出せません。基本、1枚か3枚かを選んでいただいて、3枚に4枚目と5枚目を追加する形です。
―― ドコモがMVNOに対して、SIMカードの発行手数料を徴収するようになりましたが、エキサイトモバイルでも事務手数料が上がるなどの影響はありますか?
栗原氏 お話はうかがってはいますが、現状は(手数料を上げるなどは)予定していません。
―― ターゲットとしているユーザーは、BB.exciteモバイルLTEから変わってきていますか?
橋本氏 結果としては、30〜40代男性が多くなっています。販路がWebのみなので、当然ボリュームゾーンはそこになっていきます。今後は、一般層や女性などへどうアプローチしていくかを考えないといけない状況です。ただ、申し込んでいる人が、リテラシーが高くて、想定している使い方をしているかが分からないので、直接話を聞いていきます。
―― 販路についてもお聞かせください。現在はオンラインのみですが、拡大する予定はありますか?
橋本氏 リアルな販路、外部の販路を含めて検討はしています。ただ、大きく販路を広げるよりは、サービスを拡充していく方が優先度は高いです。
―― どの部分を拡充していきたいと考えていますか?
橋本氏 お客さまに聞いてみるのが1つですし、他社がやっていて弊社ができていないところですね。回線に付随するオプション、セキュリティやクラウドサービスは拡充し、9月から「ウイルスバスター モバイル」や「i-フィルター」「クラウドバックアップ AOS BOX Android Pro」などを提供しています。
―― オプションを提供するに当たって、どのあたりを重視していますか?
栗原氏 セキュリティを気にされている方が非常に多いです。他社さんの動向を聞くと、セキュリティサービスの付帯率が高いと聞いています。MVNOに対しての漠然とした不安があると感じていて、それらがセキュリティ系オプションへのお申し込みにつながっているのかなと。あとはお子様に持たせる場合にフィルタリングも必須になっていきます。
―― 現在はSIMの契約のみですが、端末とセットで販売する予定はありますか?
橋本氏 現在、検討しているところです。
―― 使い放題プランは検討しなかったのですか。
栗原氏 使い放題も検討はしたのですが、品質を担保するのが難しくなります。どれぐらい使うか分からない状態で、ある程度の帯域を確保しないといけないので。各社さんで無制限でやっているところを見ると、苦戦されているようなので、慎重になりました。
―― 5分以内はかけ放題などの、通話オプションを提供する予定はありますか?
栗原氏 通話に関しては、かけ放題もやりたかったのですが、まだハードルが高いですね。今のところ予定はしていませんが、プレフィックス番号を付けて通話料が安くなるサービスは、今後検討していきたいと思っています。
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