河野氏は「産業用ドローンのニーズは無限。今後、あらゆる業界でさまざまなドローンが使われるようになる」と語り、2020年以降にドローン市場が急拡大すると説明した。一方で、「ドローンによる複雑な作業を確実にこなすためには、高機能な機体と地上との通信技術、管制技術の確立が急務」と指摘し、安定した通信ネットワークを持つKDDIと詳細な地図データを持つゼンリンとの協業に期待を寄せた。
ゼンリン 上席執行役員 第二事業本部長の藤沢秀幸氏は「地図はロボットが読む3次元化の時代になっている」と語り、同社の車の自動運転に関する取り組みについて紹介した。自動運転のためには先読み情報、経路設定、高度な自己位置特定が重要で、それらを円滑にするために高精度マップを提供している。それを「そのまま空に持っていけるのではないか」と考え、ドローン用の3Dマップを開発しているという。ドローンでは従来の要素に加え、高さの情報を取り込んだ地図が必要になるため、ゼンリンの保有しているデータを活用し、ドローンが自律飛行するために必要な地図を開発する。
「都市部では、まだドローンは飛ばせない。それは安全に飛ばすことができないという理由の裏返し。ドローンが安全、安心して利用できる時代が到来したときのために、地図作りの面から協力したい」と藤沢氏は本プロジェクト参加の意図を語った。
またKDDIの山本氏は、プロドローンの資本提携とKDDIムゲンラボでのアイデアソン開催、ハウステンボスとのコンシューマー向けサービスの検討についても発表した。
発表会ではアーム付きドローンの飛行デモンストレーションも行われた。
ヒカリエから233キロ離れた愛知県豊田市の藤岡ヘリポートにあるドローンを4G LTEでつなぎ、遠隔操作による航行、荷物のキャッチ&リリースを行った。運航の開始指示、ドローンのアーム操作、機体操縦、映像伝送は1つの回線で行われ、会場ではその様子がライブ映像で流された。
ドローンは、機体を操縦するパイロットとロボットアームを動かす2人で操作。パイロットのタブレット操作で離陸し、自動的に飛行した。荷物をキャッチする場所では、アーム操作の担当者がグローブをはめた右手を動かすと、すぐに豊田市にあるドローンのアームが反応。しっかりと荷物を握って上昇し、別の場所に降下して地面に荷物を安全に下ろした。
プロドローンの河野氏は、「233キロ離れた場所でできるのは画期的なこと。オートで飛ぶのではなく、実際にフルコントロールしていることが大きい」とアピールし、将来的には、熟練した担当者が遠隔地の作業を行うことも可能になると語った。
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