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» 2017年01月13日 10時00分 UPDATE

石川温のスマホ業界新聞:「So-netにはソニーグループの力を投入し、One Sonyを目指す」――プロバイダ業界の再編に距離を置く姿勢を見せた平井CEO

米国のラスベガスで開催された「CES 2017」。その会場で、ソニーの平井一夫CEOが日本の報道陣とのラウンドテーブルに臨んだ。記者との一問一答のうち、モバイルに関連するものに突っ込んでみようと思う。

[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 年始からアメリカ・ラスベガスでCESが開催されているが、初日には、ソニー・平井一夫CEOのラウンドテーブルが行われた。日本人記者からの質問に1時間、矢継ぎ早に答えていくというものだ。そのなかでも、モバイルや通信に関する質疑応答に対して、突っ込んでみたい。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2017年1月8日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額540円・税込)の申し込みはこちらから。


「石川温のスマホ業界新聞」バックナンバー

―― スマートフォンで、背面に2つのカメラを搭載するモデルが増えている。イメージセンサー事業を持つソニーにとって、どんな影響があるか。

平井CEO 「1つより2つ搭載していただければ、ソニーにとっては2度おいしい。スマートフォン市場の伸びが鈍化している地域があるなかで、2眼カメラという新たな展開があれば、センサーの観点では、失速を抑えることができる。ビジネスに対するインパクトはポジティブだと、論理的には思う。

 ただ、全体のパイからすると、2眼スマホのラインナップはまだ少ない。メーカー各社が2眼で体感できるメリットをユーザーにどのように浸透させられるのか。深度センシングやより幅広いレンジでのズームなどのベネフィットを訴求できるかどうかがポイントになってくるのではないか」

(★ CESでは、ファーウェイ、ASUS、ZTEと言ったメーカーが相次いで2眼スマホを発表。1月4日公開の日経電子版コラムで「今年は2眼カメラとTangoが来る」と予測記事を書いただけに、早くも的中してうれしい限り。2眼カメラは、効果がわかりやすいだけに、結構、普及すると思う)

―― Xperiaは画質の良さをアピールするが、2眼といった目新しさの訴求がない。今後、このトレンドを取り込んで行く気はあるか。

平井CEO 「確かにXperiaは単眼で展開している。それを今後どうしていくのかは、いろいろと検討していて、時期が来たらお話することになるだろう。

 これは個人的な考えだが、仮に背面のカメラが2眼や複眼でメリットが出てくるなら、インカメラも複眼にするとおもしろい提案ができるかも知れない。撮像、撮影に対する楽しさを増やすことになる。その際に弊社のセンサーを使っていただければ、ビジネスに対してもさらにポジティブになるのではないか」

(★ 平井CEOがいうように、インカメラが2眼になれば、自撮りもワイドアパーチャで背景をぼかすこともできそうだし、面白い展開になりそう。果たして、ソニーはいち早く出すことができるのか)

―― 数年前のこの会で、平井CEOは「ウェアラブルを定着させるのは大変ではないか」と予言していた。いま、この状況を振り返って、どのように感じているか。

平井CEO 「ウェアラブル市場についての見方は、変わっていない。市場が大きくなるかどうかは、お客様が商品を買ってくれるかどうかで、機能、サイズ、バッテリーライフのバランスが取れた製品が出てくれば当たると思う。いろいろな方が予想したほどウェアラブル市場が伸びていないのは、本当に刺さっている製品が出てきていないからだ。

 最近のソニーで言うと、Eインクを使った腕時計であるFES Watch Uやwena wristを展開している。ウェアラブルを辞めたということはまったくなく、いろいろなトライをしていかなければいけないというスタンス。数年前はCES=ウェアラブルだったが、その過熱気味からすると、トーンダウンしている感がある」

(★ これ、自分の質問。Apple Watchですら、苦戦している状況を見ると、やはりこの先も厳しいような気がしてならない。腕時計にLTEが内蔵されて、通話できたり単独で通信できても、なかなかメリットが見いだせない。メーカーとしては地道にやっていくしかないのかも)

―― ここ最近、国内のプロバイダ業界に再編が起きている。ソニーとしては、So-net・ソニーネットワークコミュニケーションズをどうしていくつもりか。いまなら、KDDIが高く買ってくれる気がするが。

平井CEO 「So-netはご存知のとおり、スマートフォンのビジネスと一緒にしていて、十時(ソニーモバイルコミュニケーションズ社長)がマネージメントしている。コミュニケーションデバイスとそれを支えるネットワークサービス、プロバイダの組み合わせで、ユニークなサービスやスマートフォンとの連携を提供していこうと再編した。

 業界の中で再編の話も聞こえてくるが、ソニーとしてはグループとしての持てる力をつぎ込み、One Sonyとしての動きができる形を進めていきたい」

(★ これも自分の質問。本当にしたかった質問がこれで、ウェアラブルの質問はまぁ、アイスブレイクといった感じ。さすが売却を検討していても、「売るつもり」とは答えないわけで、こうした回答になるのかと。ただ、プロバイダ事業をやっていても、通信回線は自前でもっていないわけで、現状ではあまりメリットがないように思えるのは自分だけなのか。それとも十時さんには秘策があるんだろうか)

―― (昨年、9月にドイツ・ベルリンで開催された)IFAでのラウンドテーブルでは、確か石川さんが、iPhoneにおけるFeliCa搭載の可能性を質問していたが、結果、iPhoneに採用された。モバイルペイメントが主要な機能となったが、FeliCaを持つソニーとしては、今後、どのように展開していくのか。

平井CEO 「日本ではFeliCaがかなり普及していて、アジア、特に香港などに入っている。これをもっと大きい地域で展開したいという願望はあるが、すでに先行された方々がNFCでビジネスをされている。そこに対して投資するという考え方もある一方、リーダーシップを取っている市場で、もっと発行枚数を増やすという戦略もある。

 今は、海外戦略を語る時期ではない、と考えている」

(★ この質問も自分でしたかった内容だが、ひとり2問までだったので諦めた。アップルが正式発表する直前のIFAで自分が質問したのだけど、言っていた内容は今回とほぼ同じ。聞いている感覚としては、平井さんとしてはこれ以上、FeliCaを海外に積極的に展開したいという気持ちはなさそう。一方で、JR東日本は、GSMAに働きかけるなど、FeliCaの海外展開に積極的なだけに、この2社での温度差が伝わってくる)

■取材を終えて

 次に平井CEOに話を聞けるのは、9月のIFAになりそう。果たして、それまでにSo-netに動きはあるのか。このあたりが、業界的には注目かも。

© DWANGO Co., Ltd.

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