2016年の格安SIMを振り返る&2017年への期待(2/3 ページ)

» 2017年01月16日 15時31分 公開
[田中聡ITmedia]

カウントフリーの開始

 特定サービスの通信量をカウントせず、データ通信の定額料だけで使い放題になる「カウントフリー(ゼロ・レーティング)」が増えたのも、2016年の特徴だった。特にLINEモバイルのLINE、Twitter、Facebookなどを対象としたカウントフリーは注目を集めた。他にFREETELも主要SNSのカウントフリーを進めている。

格安SIM 月500円で1GBの通信+LINEが使い放題の「LINEフリープラン」
格安SIM FREETELもSNSを中心としたカウントフリーを提供

 またb-mobile、DTI SIM、FREETELで「Pokemon GO」の通信量をカウントしない施策も話題を集めた。

 11月には、BIGLOBE SIMでAbema TV、YouTube、Google Play Music、Apple Musicの通信量をカウントしない月480円の「エンタメ・フリーオプション」を提供(関連記事)。今後はSNSだけでなく、こうした動画、音楽サービスのカウントフリーも増えていきそうだ。

 一方で問題視されているのが、カウントフリーは「通信の秘密」と「ネットワーク公平性」に反するのでは、という点。特に通信の秘密は憲法や電気通信事業法でも言及されているセンシティブな問題だ(関連記事)。

 カウントフリーに対するスタンスが、MVNOによって異なるのは興味深い。例えばLINEモバイルは、カウントフリーを提供するにあたり、ユーザーから個別に同意を取ることを前提としている(関連記事)。一方、FREETELのカウントフリーは全ユーザーに自動で適用されるが、「どのアプリを使っているかを見ているだけで中身を見ていない。中立性も秘匿性も問題ない」(プラスワン・マーケティング増田薫社長※関連記事)との認識だ。

 IIJは「通信を見るのはプライバシーの観点から適当ではないため、今のところ予定していない」(IIJ勝栄二郎社長※関連記事)、UQは「通信の中身を見るというのはあまり感心できない」(UQコミュニケーションズ野坂章雄社長※関連記事)としており、カウントフリーとは距離を置いている。

 議論の余地が残されているカウントフリーだが、「安さ」とは違った差別化ポイントが生まれたことは、注目に値する。

大容量プランが登場

 2016年は、ソフトバンクの「ギガモンスター」をきっかけに、大手キャリアが20GB〜30GBの大容量プランの提供を始めた(関連記事)が、一部のMVNOもこの動きに追随した。

 エキサイトモバイルでは20GB、30GB、40GB、50GB、DMM mobileでは10GB、15GB、20GB、イオンモバイルでは20GB、30GB、40GB、50GB、楽天モバイルでは10GB、20GB、30GB、U-mobile MAXとb-mobileでは25GBの大容量プランを提供している。

 大手キャリアは20GB+音声込みで月6300円だが、格安SIM(通話SIM)の場合、20GBの音声SIMは月4000円台のところが多い。U-mobile MAXの25GB音声SIMは月2880円でさらに安く(関連記事)、b-mobileの25GBプランも音声が月3180円と安い(関連記事)。

格安SIM U-mobile MAXの25GBで月2880円の音声SIMは、大手キャリアはもちろん、他のMVNOと比べてもお得だ

 使い放題プランは、Fon対応公衆Wi-Fiサービスと3Mbpsの無制限通信をセットにしたワイヤレスゲートの「WirelessGate SIM Fon プレミアム Wi-Fi」、IIJをMVNEに据えたU-NEXTの「U-mobile PREMIUM」が目立ったが、大容量プランの影に隠れてしまった感もある。

コミコミプランの広がり

 データ通信料+音声通話料+端末の割賦代金込みで月1000円台〜3000円台というセットプランが増えたことも印象的だった。楽天モバイルは月1880円〜、FREETELは月1590円〜、Y!mobileとUQ mobileは月1980円〜という価格で提供。ただしこれらの料金は最安値で、選択する端末によっては高くなる。

格安SIM 写真のFREETELをはじめ、端末代込みの月額料金を打ち出すMVNOが増えた

 MVNOのSIMと端末は、もともとは別々に販売されることが多かったが、大手キャリアのように、端末とセットで契約したいというニーズもある。セット端末が購入しやすくなったことは歓迎したい。

 UQ mobileでは端末の割賦代金を割り引く「マンスリー割」、Y!mobileでは毎月の利用料金から割り引く「月額割引」を提供しており、例えば2社のiPhone 5sは頭金を除けば実質0円で運用でき、データ通信料+音声通話料+割賦代金込みで月1980円となる。端末代金をここまで割り引いているMVNOはなく、コミコミの分野でも2社が大きな強みを発揮している。

格安SIM Y!mobile(写真)やUQ mobileのiPhone 5sは、端末の割賦代金込みで月1980円〜という価格を実現

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