格安SIMの料金競争は一段落し、料金プランは横並びになりつつある。これ以上の値下げは望めないだろう。MVNOにはぜひ、大手キャリアでは実現できないような、多様なプランを提供してほしい。例えばFREETELやエキサイトモバイルの、使った分だけ支払う段階制の従量課金はその1つだ(KDDIとソフトバンクも学割で段階制プランを打ち出したが)。
他には、料金をより安くする代わりに特定の時間帯のみ高速通信を提供するプラン、動画配信などに役立つ、上りの通信のみ使い放題のプランなどが増えてもいいだろう。お昼を中心とした混雑する時間帯でなかなか速度が出ないMVNOは依然として多く、mineoで実施している、通信品質を保証する「プレミアムコース」のような施策も求められる(関連記事)。
総務省が1月10日に発表した「モバイルサービスの提供条件・端末に関する指針」では、MVNO向けのSIMロックが廃止される(関連記事)。これまでau VoLTE対応のMVNO SIMを使うには、端末のSIMロック解除が必要だったが、2017年8月1日以降に発売される端末なら、SIMロックを解除が不要になる。
auユーザーにとっては朗報だが、“格安SIM難民”といえるソフトバンクユーザーの選択肢は依然として少ないまま。2015年5月以前に発売された機種は(一部を除き)SIMロックを解除できず、ソフトバンクユーザーが格安SIMに移行するには、端末を買い替えないといけない。特にユーザーの多いiPhoneは、「6」以前はSIMロックを解除できず、Y!mobileのSIMも使えない。「Hitスマホ」「ANAスマホ」といったソフトバンクのMVNOサービスも増えているが、万人向けではない。いっそのことソフトバンクとY!mobileのSIMを相互に使えようにしてほしいが……。余計なコストをかけず(端末を別途購入せず)、誰もが格安SIMを選択肢に入れられるような状況を望みたい。
MVNO SIMの利用にSIMロック解除が不要になったとはいえ、例えばau系のMVNO SIMではUQ mobileのみiPhoneでテザリングが可能だが、mineoやIIJmio(タイプA)など他のau系MVNO SIMでは、依然としてiPhoneでテザリングが使えないという事態になっている(関連記事)。せっかくのSIMロックフリーなのだから、不可解な制約は解消してほしいところだ。
UQ mobileやFREETELが販売店を強化するなど、2017年は販路の拡大もさらに進みそう。郵便局でIIJmioを案内しているIIJのように、格安SIMになじみのない層にアプローチする施策も有効だろう。より多くのユーザーが格安SIMを手に取れる環境が広がってほしいと思う。
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