高まる認知度 高まる音声SIM比率――2016年のMVNOサービスの動向を振り返る(2/3 ページ)

» 2017年01月24日 12時45分 公開
[井上翔ITmedia]

メイン利用増加で音声プラン比率も向上

 従来のMVNOサービスは、別にメインのMNO回線を持った上での「サブ回線」として選択されることが多かった。そのようなこともあり、契約プランも音声通話(場合によってはSMS送受信も)非対応であるデータ(専用)プランの選択率が高い傾向にあった。

 しかし、その傾向に変化の兆しが見られる。MMD研究所が2016年10月に行った定点調査では、MVNOサービスをメイン回線として使っていると回答した人が全体の5.8%となり、1年前(2016年1月)の調査と比べて53%の伸びを示している(参考記事)。

メイン利用シェア MVNOサービスのSIMカードをメインで使っている比率は2016年10月段階で5.8%に

 この調査では、MVNOサービスを利用していると答えた人(5171人)を抽出して、主に利用しているサービス名のシェアも算出している。2016年10月時点でのトップは「楽天モバイル」の20.7%で、以下「OCN モバイル ONE」(13.5%)、「IIJmio」(9.2%)と続いている。

 吉本所長によると、直近では「mineo」と「UQ mobile」のシェアの伸び率が大きいという。そのため、次回(2017年4月)の調査ではシェアの順位が変動する可能性がある。

MVNOサービスに絞ったシェア メインで使っているMVNOサービスに絞ったシェア。この中で4位の「mineo」(8.9%)と6位の「UQ mobile」(5.2%)は特に伸び率が大きいという

 同じ母集団を対象にその契約プランが「音声」か「データ」かを尋ねたところ、音声プランが53.8%、データ専用プランが46.2%とほぼ半々になったという。ただし、2016年に入ってから契約した人に絞り込むと、音声通話プランの比率が約70%にまで高まるという。

音声・データ比率 MVNOサービス利用者の音声・データ比率。おおむね半々となっているが、2016年契約者に絞ると音声比率は7割程度にまで高まる
MVNOサービス別の音声・データ比率シェア MVNOサービス別の音声・データ比率シェア。楽天モバイルは音声プランでのシェアが抜群に高い

 さらに、MVNOサービスの契約方法についても調査したところ、35.1%がY!mobileを含むMNOからMNPで契約したという。音声プラン契約者だけを抽出すると、その比率は3分の2以上(68.8%)にまで跳ね上がる。NTTドコモやソフトバンクを利用していた人はMNPで移行する傾向にあるが、Y!mobile利用者はいったんそれを解約してMVNOサービスを改めて新規契約する「解約新規」をする人が多い傾向にあることも分かったという。

 音声プランの比率が高まり、MNP契約者が増えていることは、MVNOサービスをMNOサービスと並ぶ有力な選択肢として位置付ける人も増えているということだ。

MVNOサービスの契約状況 MVNOサービスの契約形態を円グラフにしたもの。MNOからのMNPが35.1%、MNOからの解約新規が20.3%、追加新規(MVNO・他のMVNOを解約せず追加契約)が32.6%、別のMVNOからのMNPが1.1%、他のMVNOからの解約新規が5.9%、初の携帯電話としてMVNOサービスを契約した人が4.9%という内訳だ
MVNOサービスの契約状況(音声SIMのみ) 上のグラフをMVNOサービスの音声プラン契約者に絞ったもの。実に3分の2以上が大手キャリアからのMNP契約となっている
MVNOサービスの契約状況(データSIMのみ) 同様にMVNOサービスのデータプラン契約者に絞った場合、54%が追加新規となる。ちなみにMNOからの解約新規は29.6%だ

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