プロジェクターや完全ワイヤレスイヤフォンも――ソニーモバイルが「Xperia」のスマートプロダクトを広げる理由(2/4 ページ)

» 2017年03月26日 06時00分 公開
[山本敦ITmedia]

 プロトタイプの頃から気になっていた電源の仕様は、結局のところ有線による供給とフル充電から1時間の容量を持つバッテリーとのハイブリッド構成に落ち着いたようだ。1時間は映画を観るのにはやや心許ないが、使う場所は“家の中”がメインになると想定した場合、頻度の高い場所は電源ケーブルにつなぎ、たまにダイニングに持ち出してお菓子のレシピを表示しながら料理を楽しむといった使い方なら内蔵バッテリーで持つだろう。

Google Playストアから入手できるAndroidアプリが利用可能。Android 7.0を搭載する

 ソニーモバイルではもちろん、スマートフォンのXperiaについてもソニーの先端技術を惜しみなく詰め込みながら常に飛躍を追求しているが、かたやXperiaスマートプロダクトでは「新しいコミュニケーションのかたち」を広げるためにさまざまなことにチャレンジしている。Xperia Touchで目指したのは、タッチというフィジカルなインタフェースを取り込んだ新しいコミュニケーション端末であると伊藤氏は語る。

「昨年のMWCでお披露目して、その後いくつかの展示会やイベントでもプロトタイプとして紹介してきたコンセプトモデルの中から、最も反響の大きかった本機が商品化されることになりました」という伊藤氏。Xperiaスマートプロダクトの開発陣が目指している1つの目標は「スマホを超える、スマートなプロダクト」を作ることであるという。そのために、はじめは面白そうなコンセプトを種まきして、芽が出そうなものを商品化しながらユーザーに提案するというスタイルが今は採られている。そして、いうまでもなくXperia Earはこの成功戦略の足がかりとなる製品だ。

 筆者もMWCの会場でXpeia Touchのデモンストレーションを体験してみたが、タッチ操作への鋭いレスポンスはタブレットのそれとほぼ変わらない。先ほど述べたとおり、画面の精彩感や明るさについても実用レベルではほぼ問題ない。唯一気になったのは、壁面に投写しながら画面を大きくするために本体を壁から少し遠ざけた場合にも、タッチセンサーがトラッキングできるのかという点だったが、「そこは発売時までに音声コントロールによる操作を実装する予定です。また近い将来にはアップデートによってジェスチャー操作にも対応します」と近藤氏が説くように抜かりはない。

アップデートによりジェスチャー操作にも対応を予定

 外部入力はHDMI端子を設けているので、Blu-ray Discプレーヤーやゲーム機をつなげば普通のプロジェクターとして活用できる。本体をWi-Fiでホームネットワークに接続すると、NetflixやdTVなど動画配信サービスのアプリを入れてVODコンテンツも楽しめる。大画面をタッチして操作する感覚がより新鮮に感じられそうだ。またSpotifyやGoogle Play Musicなどの音楽配信をXperia Touchで受けて、本機からBluetoothでペアリングしたワイヤレススピーカーに音を飛ばすこともできる。家族で好きな音楽を選んで再生する時には、大きな画面に映せるスマートなタッチコントローラーとしても活躍してくれる。

充電用のUSB Type-C端子のほか、HDMIも装備する

 コンテンツの再生に集中できるよう、プロジェクター本体はファンノイズや放熱対策を入念に施したという。伊藤氏が太鼓判を押すその性能をインタビューを行った静かな会議室で確認してみたが、確かにファンノイズはほぼ聞こえず、朝から午後までフル回転しているというユニットに手で触れてみても本体はそれほど熱を帯びていない。余分な光漏れを押さえた本体の機構を含む作り込みには、さすがソニーのブランドを背負った商品ならではの丁寧な気配りを感じる。日本での発売が決定した折にはまたぜひ体当たり取材を試みたい。

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