転売元がどこかは置いておいて、なぜ中古iPhoneを海外へ転売するのか、疑問に思われる方もいると思います。
中古事業者の視点から言うと、
A.海外の相場が国内相場より高いから
B.海外じゃないと大量数がさばけないから
C.ネットワーク利用制限がかかりそう、またはかかった機種だから
この3つが考えられます。
Aの場合、
を加味して、国内相場より高いかどうかの判断になります。SIMロック解除された日本版iPhoneの販売価格を調べましたが、今回は、上記4点を加味しても国内相場より高い数字は出ませんでした。
全ての会社や店舗を回ったわけではないですし、タイミングもあるため、Aが転売の理由ではない可能性はあります。また、他の国や地域では、国内相場よりも高いところがあるかもしれません。Cは欠陥のある端末なので、香港、深センに販売を限定していると考えると、Bが主な理由になりそうです。
海外に流れると、国内の消費者は恩恵を受けるのでしょうか? 筆者は現時点では、マイナス面の方が大きいと考えています。
総務省が「携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース」の中で、SIMロック解除期間を見直しました(関連記事)。SIMロック解除が今よりもより安価かつ手軽にできるようになれば、SIMロック解除された端末がより多く流通します。そうなると、海外で転売される数がさらに増える可能性があります。
今回、中古iPhoneのゆくえと同時に、日本メーカーのスマホが流通しているかも探したところ、ドコモの「Xperia Z3 SO-01G」を香港の深水ホで発見しました。
売られていた端末は、SIMロックが解除されていました。どこから入手したのかと店長に聞くと、「香港で働いている日本人から買ったけど、全然売れないから困っている」とけげんそうな表情で答えました。なぜ買ったのかと聞くと、「SIMフリーと言われたから」とのこと。国内メーカーのスマートフォンも、SIMロック端末は敬遠されることが分かった瞬間でした。
粟津浜一
株式会社携帯市場 代表取締役
1979年岐阜県生まれ。2004年筑波大学大学院理工学研究科修士課程修了。その後ブラザー工業にて、さまざまな研究開発業務に従事。2009年株式会社アワーズ設立、社長に就任。2017年株式会社携帯市場に社名変更。中古携帯を日本中に文化として広めることをビジョンとして、中古携帯市場動向セミナー、事業説明セミナーを行い、これまでに1000以上の店舗に中古携帯事業を展開、コンサルティングを行っている。
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