Gioneeのブースには、外装に本革を用いた「M2017」というスマホも展示されていた。5.7型の2Kディスプレイを搭載し、7000mAhの大容量バッテリーを内蔵。さらにセキュリティ面も強化したというモデルだ。
最も高いモデルは1万6999元(約28万円)とのことで、中高年の富裕層をターゲットにしたモデルだ。このスマホをかっこいいと思うか否かは個人の趣向に依存するのは思うが、日本でも「らくらくスマートフォン」ではなく、こういうプレミアム感のある端末が出てきてもいいのではないかと思った。
OPPOのスマホに搭載されているのは「ColorOS」、Vivoは「Funtouch OS」、そしてGioneeは「Amigo OS」と、中国のスマホは、メーカーによって搭載OSが異なる。いずれもAndroidをベースとしたOSではあるが、素のAndroidとはかなり異なる部分があり、むしろiPhoneのUI(ユーザーインタフェース)に近い印象を受けるOSもある。
中国では、Googleサービスへのアクセスが規制されているため、Google検索、Gmail、Google Playなどは利用できない。Androidは、Googleサービスを快適に利用できることが特徴だが、中国ではAndroidをそのまま導入しても、その利点を生かせないわけだ。とはいえ、中国以外の国・地域に出荷する際は、Googleサービスは欠かせない。中国メーカーのスマホは、国内・国外どちらでも使いやすいOSを導入しているといえよう。HuaweiがAndroidに独自の「Emotion UI(EMUI)」を追加しているのも、そうした中国の事情も関係しているのだろう。
なお、MWCSの会場には、「YunOS」を大々的にアピールするコーナーもあった。中国の大手EC、アリババが開発したOSで、ローエンドモデルを中心に、採用するメーカーが増えているそうだ。
YunOSは、Androidベースというよりも、汎用(はんよう)OSとして普及を目指す新しいOSだ。中国では、WeChat Paymentやアリペイなど、スマホを用いたキャッシュレス決済が急速に普及している。MWCSの会場内でも複数の企業がデモを行っていたが、上海市内では、すでにモバイル決済が定着し、主権争いに移っているようにも見えた。中国で急速に普及する自転車のシェアリングもモバイル決済の登録者は簡単に利用できるそうだ。YunOSはアリペイをプリインするなど、モバイル決済やECサイトを利用しやすいことも特徴だ。
日本でもインバウンド対策として、中国のモバイル決済に対応する店舗・施設が増えつつある。FeliCaを用いるおサイフケータイやApple Payとは異なり、端末に依存しない決済方法として、その利便性を実感する欧米人や日本人は少ないだろう。例えば、大手キャリアやネットワーク企業などが提携すれば、中国式のモバイル決済が、世界の主流となる可能性も否定できない。今後の動向も注視したい。
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