「18:9ディスプレイ」「デュアルカメラ」「AI対応チップ」 IFA 2017で見えたトレンド石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)

» 2017年09月10日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]

各社模索の続くデュアルカメラも、ミッドレンジへの搭載が進む

 18:9のディスプレイと並び、もう1つのトレンドになっているのが「デュアルカメラ」だ。デュアルカメラはHuaweiが早くから搭載してきたが、ライカと共同開発を行った「P9」が高く評価され、その後継機である「P10」「P10 Plus」や、大画面モデルである「Mate 9」にもこれが採用されている。Huaweiのデュアルカメラは、モノクロセンサーで精細な画像を撮りつつ、そこにカラーセンサーで色づけしていくというのが技術的な特徴だ。2つのカメラで深度を記録し、一眼レフのように背景をボカした写真が撮れるのも、デュアルカメラのメリットといえる。

 一方で、AppleもiPhone 7 Plusでデュアルカメラを採用した。Huaweiとはアプローチが異なり、広角と望遠のカメラを切り替え、疑似的に光学ズームを実現するというのが、iPhone 7 Plusのデュアルカメラだ。同様の手法はASUSも採用しており、「ZenFone Zoom S」や、8月に発表されたフラグシップモデルの「ZenFone 4」シリーズにもデュアルカメラが搭載された。

IFA 2017 IFAに先駆け、ASUSはZenFone 4シリーズを発表。全機種デュアルカメラ搭載
IFA 2017 Samsungも、Galaxy Note8でデュアルカメラに取り組んでいる

 Snapdragonなどのプロセッサがデュアルカメラを標準でサポートしていることもあり、IFAでもデュアルカメラを搭載したスマートフォンは、数多く発表された。LGは2016年、ドコモやauから発売された「V20 PRO」と同様、LG V30も広角撮影が可能なデュアルカメラに対応。先に挙げたWikoのVIEW PRIMEもその1つで、同モデルはインカメラがデュアルカメラになっており、セルフィー利用時に背景をボカしたポートレートを撮影できる。ALCATELとBlackBerry、2つのブランドの端末を手掛ける中国のTCL Communicationも、片側がモノクロセンサー(200万画素)の「alcatel A7 XL」を発表、IFAのブースに端末を展示した。

IFA 2017 「V20 PRO」に続き、「LG V30」もデュアルカメラ対応モデルになった
IFA 2017 Wikoの「VIEW PRIME」は、インカメラをデュアルカメラ化
IFA 2017 TCL Communicationの「alcatel A7 XL」は、カラーセンサーとモノクロセンサーの2つを搭載

 さらに、LenovoもMotorolaブランドでデュアルカメラ搭載モデルを発表している。同社は「Moto X4」を、IFAに先立って開催されたプレスカンファレンスで公開。Moto X4は、ミッドレンジ上位のMoto Xシリーズに属するモデル。通常のカメラに加え、120度の広角撮影が可能なカメラを搭載し、2つを切り替えて使うことが可能だ。他のデュアルカメラを採用したスマートフォンと同様、深度を測定して、背景をボカしたり、被写体の一部にだけ色を付けたりできる機能を用意した。

IFA 2017
IFA 2017 Motorolaの「moto X4」。時計のベゼルを模したデザインのボディーにデュアルカメラが実装されている

 18:9のディスプレイと同様、デュアルカメラもハイエンドモデルの独壇場ではなくなってきたというのが、IFAの展示を見渡したときの印象だ。ミッドレンジモデルの中でも、特にカメラをアピールしたい機種では、今後はデュアルカメラ搭載が当たり前になっていくだろう。ただ、メーカーや機種ごとに、そのアプローチは異なる。ズームのように使う機種もあれば、広角撮影用に使う機種もあり、どれが主流になるかは定まっていない。Wikoのように、セルフィー用のインカメラをデュアルカメラ化するメーカーもあり、各社とも、まだその使い方を模索している印象を受けた。

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