「集大成」と「未来」を感じた新iPhone 生活を変える新Apple Watch石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)

» 2017年09月14日 18時23分 公開
[石野純也ITmedia]
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スマートフォンの使い方を変える「Apple Watch Series 3」

 もう1つ、モバイルを語る上で忘れてはいけないのが、「Apple Watch Series 3」だ。iPhoneのコンパニオンデバイスとして生まれたApple Watchだが、Series 2ではフィットネス用途の色合いを濃くしながら、ターゲットを明確化してきた。クック氏も発表会で「Series 2が出てから大きな成長を遂げた」と語っていたが、用途を明確に打ち出した戦略は功を奏したようだ。そのうえで、Series 3では、ついにLTEと3Gに対応した。LTEについては、省電力性を重視し、速度を下り最大10Mbpsに抑えたIoT向けの規格である「カテゴリー1」を採用しているようだ。

iPhone Apple Watch Series 3は、LTEや3Gに対応

 LTEや3Gに対応したことで、これまでの、主にBluetoothでの接続が必要だったApple Watchよりも利用シーンが拡大している。Appleの発表会では、象徴的なシーンとして、サーフボードに乗った女性が海(湖かもしれない)の上で電話を受けるデモが行われたが、ここまで極端なケースではなくても、LTEや3Gが活躍するシーンは多いはずだ。ランニング中や、ジムでのトレーニング中など、スマートフォンを携行しづらいスポーツはその代表例といえる。電話だけでなく、Apple Musicで音楽を聞いたり、マップを見たりできるのも、LTE/3Gに対応したメリットだ。

iPhone
iPhone 単独でのデータ通信も可能だ
iPhone こんなシーンでも、Apple Watchだけで電話を受けることができる

 もっとも、Apple Watchはフィットネス分野に重きを置いた製品ではあるが、それ以外での利用シーンも多い。ラグジュアリーブランドのエルメスとコラボレーションしていることも、Apple Watchがフィットネスバンドとは一線を画している証拠といえるだろう。

 より日常的な場面としては、近所のコンビニに買い物に行ったり、クリーニング店に洋服の受け渡しに行ったり、保育園・幼稚園に子どもの送り迎えに行ったりといった、手ぶらや手ぶらに近い状態で外出する際にも、iPhoneを持ち歩かずに、急ぎの電話を受けたり、メールをチェックしたりできる。Series 3も引き続きFeliCaを搭載しているため、ちょっとした買い物までできてしまうというわけだ。

 これまで、iPhoneやスマートフォンが入り込みづらかったシーンに、ネットワークを活用したサービスを広げていけるという点では、むしろSeries 3こそがスマートウォッチとしてのあるべき姿のように思えてくる。eSIMの採用や、ディスプレイをアンテナにするなど、技術的なバックグラウンドがそれを支えている点も、見逃せないポイントだ。

iPhone
iPhone eSIMを採用したり、ディスプレイ全体をアンテナにしたりと、技術的な挑戦も多い端末だ

 もちろん、これまでもLTEや3Gを搭載したスマートウォッチは存在したが、製品としてのクオリティーはやはりApple Watchが群を抜いて高い。しかも、単一のシリーズとしては世界で最も販売量の多いiPhoneと密接に連携し、世界各国で多くのキャリアが取り扱うアドバンテージがある。

iPhone 複数国、複数キャリアに一気に展開できるのは、Appleのアドバンテージ

 実際、Apple Watch Series 3発表直後には、日本でも、ドコモ、au、ソフトバンクの3社が取り扱いを表明。ドコモは「ワンナンバー」、auは「ナンバーシェア」といったネットワークサービスを導入する予定だ。これによって、1つの電話番号を、iPhoneとApple Watchのどちらでも利用できるようになる。Apple Watch Series 3は、ポストスマートフォン時代の一端をのぞかせてくれた製品だが、こうしたAppleの“提案”がどこまでユーザーに受け入られるのかも、引き続き注目したい。

取材協力:アップルジャパン

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